アニキ

アニキ

今年本厄の3児の父。ってことで「アニキ」ではなく、本当は「オヤジ」が正しい編集部の黒一点。『週刊プレイボーイ』(男塾)→『MORE』(女子の園)という異例のキャリアの持ち主でもある。
「モツ煮&ハムカツ&黒ホッピー」があれば、他になにもいらない“ひとり呑みニスト”。ホームグラウンドは横浜・野毛。
好きなことわざは「他人のふんどしで土俵を取る」。過去に取材した数多くの偉人・偉才の考えや言葉を多用して、モア世代の悩みを解決しますよ。

【お悩み10杯目】仕事を辞めて、社交ダンスのプロを目指すか悩んでます……

【お悩み10杯目】仕事を辞めて、社交ダンスのプロを目指すか悩んでます……_1
アニキ:「居酒屋アニキ」へようこそ! さて、10回目のゲストは周防さん(26歳・仮名)。なんでも営業のお仕事のかたわら、本気で社交ダンスに取り組んでいるとか。ということで、ツーショットも微妙に社交ダンスの決めポーズっぽくなっちゃいました。では、周防さんShall we dance?  じゃなくてお悩みプリーズ!


周防: いまの仕事を辞めて、社交ダンスのプロとしてやっていくか迷ってるんです……。


アニキ:……仕事かぁ。俺、何度も言ってるけど転職とかお仕事系の悩みが苦手なんですよ。さすがにいい加減なこと面と向かって言えないから。ピアスの話とかならいい加減にさらっと言えるんだけどさ。でも、社交ダンスのプロの世界って興味あるなぁ。まずはそのあたり詳しく教えてください。

周防:社交ダンスの世界は少し特殊というか“男性上位”の世界なんですね。単独じゃなく男女で踊るジャンルだから、必ずパートナーがいる競技なので。だから、男性パートナーがプロだとプロの競技会にでるし、アマチュアだとアマチュアの競技会に出るんです。


私は現状プロの正式な資格はとってないんですが、いまの男性パートナーがプロなので、プロの競技会に出ている“セミプロ”という感じなんです。ほぼ週5で22過ぎから終電まで練習して、5時に起きてお弁当など作って会社に言ってる日々です。


悩むのは仕事としてプロになると、きっと収入的には現状より厳しくなること。プロは競技会に出て、優勝すれば賞金はもらえるのですが、そんなに大きな額ではなくて。だから、プロの多くは、ダンス教室を開いたり、教室に所属して講師をする方が多いのですが、競技会で結果を出して名前を売ることで、そのプロに習いたい生徒が増えるので、やっぱり結果も出さなきゃいけない、みたいな。


アニキ:なるほど。ちなみに社交ダンスのプロのトップってどのくらいの収入があるものなの? 日本のプロスポーツ界なら、プロ野球で5億とか、Jリーガーなら1億5千万とかがその業界のトップクラスだけど。


周防:そのあたりはよくわからないけど……。あ、そういえば統一競技会という日本最高峰の大会で、6連覇を達成して引退された織田慶治・渡辺理子ペアという夫婦のトッププロがいたのですが、そのプロが『マツコの知らない世界』というテレビ番組で語ってたのを観たことあります。ふたりで2千万円とか言ってたような……。


アニキ:お! ググったら出てきました! 『マツコの知らない世界』の話。概要はこんな感じみたい。「夫婦の年収は合計2100万円。内訳はレッスン料800万円。大会賞金300万円。ゲストダンス料が1000万円」「ふたりの自宅は2LDKのマンションで家賃は16万円」などなどリアルなネタです。


世帯年収2100万円はぜんぜん悪くないだろうけど、プロでしかも、日本一6連覇したトップ・オブ・トップなわけだからね。比べる対象は間違ってるけど、5月のメイウェザー対パッキャオのボクシング世界王座統一戦は、1試合のファイトマネーが両者あわせて約360億円以上だったから!
じゃあもっと普通のプロとなると……。


周防:厳しいと思います。私は上京してひとり暮らしなので、給料が少なくなるとリアルに生活できないし……。ダンス教室の講師に誘ってもらったこともあるんですが、その雇用体系は出来高だし社会保険とかもない。社交ダンスは実際にお金もかかりるんです。毎回変えるわけじゃないけれど、大会に出る衣装のドレスはオーダーだと40万円とかしますし……。

何を選択しても「正負の法則」のように「後悔と満足」はある!


アニキ:なら、いまのように仕事を続けながら、本気の趣味として続ける選択肢はないの?


周防:実は、最近まで実家に帰って地元で仕事しながらダンスは趣味でやって結婚して出産して、なんてことも真剣に考えてたんです。両親もそれを望んでいたので。でも、その時にいまのダンスパートナーと出会って! 


ダンスはこれも特殊なんですが、ペアとの身長差や踊りのフィーリングの相性がすごく大切なんです。彼とはお互いそこがぴったりのパートナーで! いまは彼と私の仕事時間が違うので、練習時間も毎日22時から終電まで1日2時間くらいしかとれない。私がプロになれば、朝も夜ももっと一緒に練習できるので……。でも、彼も「俺とプロになろう!」と強く言ってくるわけではないし……。ずっとこのままやっていくのか? 実家に帰って結婚するのか? いろいろ悩みはつきなくて……。


アニキ:夢をとるか、現実をとるか……聞けば聞くほど難しい問題だよねぇ。ここで普通なら「周防ちゃんガンバ! やらずに後悔するより、やって後悔すべし!」とか軽く言うんだろうけど、俺、それだけは言えないんだよね。多くの人にとってはそれって嘘だしね。


仕事でも恋愛でも人づきあいでも、人間は常にいろんな選択をして生きていくわけだけど、「後悔は何を選択しても大なり小なり絶対に起こる」って方が真理だと思うんです。まわりからはその道で成功して後悔なんて少しもしてないような人だって、少しは「ああしておけば」って後悔もあるはず。


ただ、そこで大事なのは「どちらを選んでも後悔するならやらない!」ではなくて、「その後悔は、どっちを選んだほうが満足より大きいのか、大きくなりそうなのか」をしっかり考えてみて選択することだと思うんです。


美輪明宏さんに『ああ正負の法則』という著書があって。取材などでもよく「いいことの次に悪いことが起こり、またその反作用で良いことが起こる。それを繰り返すので人生はプラスマイナスゼロになる。そんな『正負の法則』が地球にはある」ということをよくおっしゃってるんです。その正負の法則は、「後悔と満足」にも当てはまるんじゃないかと。きっと何を選択しても、後悔(負)と満足(正)の割合も足せばプラマイゼロになるんですよ。


いま周防さんの話を聞いていると、「好きなダンスの仕事を選んで満足する」よりも、それを仕事で選んだことで「収入面やパートナーとの今後、家族のことなどで、選んだことで後悔する」の方が、はるかに割合が多いように思うのだ。だから、どっちかといえばいま仕事をやめることはオススメできない。そもそも、本当にプロになる人ってそういう後悔の条件や他者のことより、「これが好きだから純粋に誰にも負けたくない!日本一になりたい!」という想いで突き進みそうだし。


周防:確かに。私はどちらかといえば石橋を叩いてわたる慎重派なので……。


アニキ:それは悪いことじゃないですよ。でも、人生って本当にびっくりするくらい、関係ないと思っていることとつながっているから。「芸は身を助ける」じゃないけど、これだけ好きで本気でやってる社交ダンスは、きっと営業の仕事にも役立ちますよ。普通に営業の中でのトークネタとしても絶対に興味もってもらえるでしょ。


あとほら、老紳士や老婦人が多い競技なわけだかから、ダンスの競技会やパーティーを通じて、「自社の社長と友人関係になったり」「他社のとんでもない偉い人たちとの人脈を作れて新しい大きな契約が取れたり」「ダンス教室の資金だしてくれたりする人に出会ったり」、いろいろありそうじゃない。ガハハハハ。


周防:……『釣りバカ日誌』ですか?


アニキ:……ホントごめん。結局、仕事の話はどうしても『釣りバカ』にしかならんのですよ……。




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今回の居酒屋
「大衆割烹 藤八」
●サラリーマンだけでなく国内外のファッション業界人も訪れる中目黒の名店。
ハマちゃんが釣ってはないけれど、お刺身など、たくさんの魚介メニューの美味。
もちろんホッピーもありますよ!

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