芳麗

芳麗

NHK山形放送局のキャスター業を経て、ライターとして活動開始。デビュー雑誌がMORE! 以来、10年以上にわたってMOREで執筆。 ロングインタビュー、 女心をつかんだコラムに定評があり、書籍、雑誌、WEBなど数多くの媒体で連載・執筆する。著書『相手も自分も気持ち良く話せる秘訣』『Love リノベーション』(主婦の友社)など。
【公式HP】http://fafa-yoshirei.com/

【ごあいさつ】 MORE読者のみなさん、こんにちは! 芳麗です。 ここでは、恋に効きそうなカルチャーやライフスタイル。わたしが恋したこと、もの、人を紹介していきますね。よろしくお願いします。

恋より心拍数のあがるミステリー。湊かなえさん『リバース』

恋より心拍数のあがるミステリー。湊かなえさん『リバース』_1
湊かなえさんの新作『リバース』を読みました。
物語は、地味で穏やかな日常からほほえましい恋が芽生えるという微笑ましい展開から始まるにもかかわらず……どんどん意外な方向へと転がって行き、随所にちりばめられている謎がさらなる謎を呼んでゆきます。クライマックスに向かうに従って、もうページをめくる手が止まらない。そして、最後の一文に心底驚かされ(だから、絶対に先に読まないでね!笑)、ミステリーを読むカタルシスを味わいました。

湊さんの作品は、映画化されて日本アカデミー賞を獲得した『告白』を皮切りに、小泉今日子さん主演のドラマ『贖罪』、榮倉奈々さん主演の『Nのために』など映像化も名作となった作品多数あります。それは、ミステリーとしての完成度はもちろん、思わず映像を浮かべてしまう鮮やかな描写があること、何よりも、物語を通じて人間の本質に迫りくるものが感じられるからだと思います。恋愛、親子、友情などの人間関係の複雑味について、「復讐とは何か?」「生きるとは何か?」などといった人間の命題を解き明かそうとしているからなのから。

本作『リバース』もそうでした。

主人公の深瀬は、事務機器を扱う会社で働く、とりたてて才気のない地味なアラサー男。でも、コーヒーが趣味で、コーヒーを淹れることに関しては、人を惚れさせるほど巧い。そんな彼は行きつけのコーヒ店で同世代の美穂子と出会い、付き合い始める。やっと訪れた幸せな恋の季節を過ごしていたある日、美穂子のもとに「深瀬知久は人殺しだ」という手紙が届いたことで、2人の関係には亀裂が入ってしまう。この手紙は、単なる悪戯ではない、平凡でまっとうな人生を歩んできた深瀬には、たったひとつだけ、誰にも言えない秘密があった。それは、大学時代の親友の事故死のことだった――。 

あらすじは、こんな感じです。

平凡な深瀬が隠しもっている友人の事故死と“非凡な秘密”。それは、深瀬自身のコンプレックスや人間性、大学時代の人間関係が原因で生まれたものです。
10年も経過して、すっかり解決して、忘れて生きていたのに、それがたったひとつの恋を壊してしまった。二度と思い出したくなかった記憶をリバース(遡る)せざるをえなくなります。あっと驚く、ミステリーでありながら、深瀬の姿と物語を通して、「自分とは何者なのか? 誰を愛して誰に愛されているのか?」について考えさせられます。
孤独だった自分を愛してくれた恋人との行方も、意外な着地点があって感動します。
恋というミステリーも解き明かされる。そう、ラブストーリーとしても楽しめる小説です。

ちなみに、作中で物語のポイントとなる“コーヒー”は、とーっても美味しそうに描かれていて。本書を読みながら、何度もコーヒーを淹れました。はい、飲みすぎました。
湊さんの作品って、実は本作以外でも、『花の鎖』のキンツバ、『海に見える星』の魚のフライ、ピーナッツクッキーなど、食べ物がすごく美味しそうだし、物語の鍵を握ることも少なからずあるんですよね。
ミステリーと恋にドキドキしながら読みながら、私のように思わず、ゴックンしてしまうかもしれません。

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