芳麗

芳麗

NHK山形放送局のキャスター業を経て、ライターとして活動開始。デビュー雑誌がMORE! 以来、10年以上にわたってMOREで執筆。 ロングインタビュー、 女心をつかんだコラムに定評があり、書籍、雑誌、WEBなど数多くの媒体で連載・執筆する。著書『相手も自分も気持ち良く話せる秘訣』『Love リノベーション』(主婦の友社)など。
【公式HP】http://fafa-yoshirei.com/

【ごあいさつ】 MORE読者のみなさん、こんにちは! 芳麗です。 ここでは、恋に効きそうなカルチャーやライフスタイル。わたしが恋したこと、もの、人を紹介していきますね。よろしくお願いします。

なぜ成功した男に女は惹かれるの? 男の欲望と本音。羽田圭介さんのドキュメンタリーのような小説「成功者K」が刺激的!

新作小説『成功者K』を読みました。読み始めたら止まらない面白さで、一気読み。
著者は、芥川賞作家であり、テレビのバラエティ番組でも大ブレイク、一躍時代の寵児となった羽田圭介さんです。
本作の主人公は、芥川賞を受賞してテレビに出たら、突然、有名になってしまった“成功者K”。
つまり、小説とはいえ、主人公は羽田さん本人のことだと最初から読者に思わせます。当然、期待度は高まる、高まる。
(表紙も羽田さん本人が堂々と登場)

実際に、約1年前、私が羽田さんにインタビューした時も、「小説家なのに、テレビにたくさん呼ばれ、もてはやされている現状や、実際に自分が見たテレビやマスメディアの裏側を小説にするつもり」と語っていたのですが、本当に書いたんだなと。

ドキドキしながらページをめくると、そこにあったのはこちらの予想を超えた物語と、一人の男性のあられもない本音と葛藤でした。
成功者Kは、芥川賞受賞とあるテレビ番組を機に突然、有名人に。受賞後しばらくしても、テレビのバラエティ番組の出演オファーが殺到します。
彼は、最初は宣伝になると思ってテレビに出まくっていたものの、その流れは止まることなく、タレント並みにテレビに出るようになり、そのうち、本の宣伝以外の美味しいことも得られるようになります。
お金、名声、新しい体験、そしてモテ……。

文学界では知られた存在だったものの、つい最近まで、ワンルームマンションに住んで、節約しながらコツコツと小説を書いていた。いわゆる普通の30歳男子だった彼は、有名になったとたん、次々に女性たちが言い寄ってきます。
大学時代の同級生から、初対面の出待ちのファンまで寄ってくる女性たちに戸惑いながらも、自らの強い性欲を満たすために思い切って関係を持つことに。成功者Kは、自分好みの美しい女性を選んで次々に性交(せいこう)します。

言い寄ってくる女性たちの様子や、それに対する男の態度…そして、性交の描写までかなり事細かく描かれていて、ハラハラするし、面白い。
女性目線で言えば、男の心理とあからさまな欲望や本音が読めるのも恐ろしくて、興味深い。
考えさせられる部分も多々ありました。

どうして、女性は成功者や有名な男が好きなのだろう?
男のモテとは、有名になるとはどういうことか?
自分とは、アイデンティティとは、どれほどのものなのか?
マスメディアという巨大な怪物に意図せずとも飲み込まれ、世の中の気分に翻弄されることの恐怖と快感……etc.

「これ、どこまで実話?」と想像力を掻き立てられる、ギリギリ感。
現実と虚構の境目を読み手に忘れさせ、物語の世界に深く引きずり込むのは、羽田さんの筆力はもちろん、人間力だと感じました。どれだけ、テレビで道化に徹してようとも、根っこは揺らがない生涯・小説家。
また、「テレビに出ている時は、自分という人間がどう見られようとも構わない。すべて、小説で表現してやろう」と思っているのだろし、さらに、その小説も読み手に解釈を委ねているのだろうなと。潔い。

羽田さんの他の小説を読者はもちろん、「情熱大陸」や「アウトデラックス」などテレビで羽田さんを観て、自分なりの羽田さん像を抱いている人が、本作を読むと、ますます面白いし、さらに羽田さん本人と作品に興味が増すのではないかと。
そういえば、羽田さん、「そろそろ、テレビ出演は……」と話していたけれど、きっとこれからもオファーはあるだろうなぁ。

 実際はどうなのかわかりませんが、事実はともかくとして、ここにあるものはすべて真実なのだと私は受け取りました。

多くの人が楽しめる快作だと思います。よかったら、ぜひ!

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