
若き日から読書家として知られる小泉さん。
童話ミヒャエル・エンデの『モモ』や、吉本ばななさんの『キッチン』など。
彼女が世に紹介したことで、大ヒット、多くの人に影響を与えた本は数多あります。
本書は、昨年までの10年間、「読売新聞」の読書委員をつとめていた彼女が、その読書欄に発表した書評97本を収録しています。
小説を中心に、エッセイ、対談集、ノンフィクション、マンガまで、幅広い分野の本を選びとり、その本に秘められた本質やメッセージをふかく掬う目線と言葉は、とても愛情深くて魅力的です。
小泉さん自身が、あとがきにて「その本を読みたくなるような書評を目指して」と語っているとおり、どれも読みたくなるような書評です。
一方、書評でありながら、小泉さん自身の人生観や人柄がにじみ出ている“エッセイ”になっているのも、また興味深く。
来年50歳を迎える、小泉さんの40代、人生の変化や女性としての成熟が読みとれて、胸が静かに熱くなります。
読書にも本や人物にも、こんな風に愛を持って生きられたら……人生も年齢を重ねるのも豊かになっていくのか。
小泉さんのように素敵な大人の女性になれるのか。
読者の楽しみを味わえるとどうじに、大きなところで励まされる一冊です。