芳麗

芳麗

NHK山形放送局のキャスター業を経て、ライターとして活動開始。デビュー雑誌がMORE! 以来、10年以上にわたってMOREで執筆。 ロングインタビュー、 女心をつかんだコラムに定評があり、書籍、雑誌、WEBなど数多くの媒体で連載・執筆する。著書『相手も自分も気持ち良く話せる秘訣』『Love リノベーション』(主婦の友社)など。
【公式HP】http://fafa-yoshirei.com/

【ごあいさつ】 MORE読者のみなさん、こんにちは! 芳麗です。 ここでは、恋に効きそうなカルチャーやライフスタイル。わたしが恋したこと、もの、人を紹介していきますね。よろしくお願いします。

“母と息子”の甘くて優しいラブストーリー。

“母と息子”の甘くて優しいラブストーリー。_1
(c)2015「母と暮せば」製作委員会
先週末に、公開したばかりの映画『母と暮せば』。
わたしは、試写にて少しだけ早く鑑賞したのですが、今なお観た時の感情や感覚が残っている、余韻の深い作品です。

舞台は、原爆が落とされて3年が経過した長崎。
ある日、助産婦をして暮らす伸子(吉永小百合)の前に、3年前に原爆で亡くなったはずの息子・浩二(二宮和也)がひょっこりとあらわれる。亡霊か幻影か、彼の姿は伸子にしか見えないのだけれど。2人はその日から、たびたび時間をともにするように。でも、そんな幸せな時はいつまでも続かなくて……。

映画のオープニング。浩二が原爆によって、一瞬にして命を奪われる描写に圧倒されました。戦争を知らない世代にも、原爆の残酷さが伝わってくる。日常の中に起こったあまりにも大きな悲劇。病や事故で失われたのとも違う、瞬時に消えた命は、死んだ本人はもちろん、周囲の人にも受け入れようがなく。

奪われた命の無念はもちろん、残された人々の哀しみをとても繊細な描写やセリフで伝えている。光や空気や人々のたたずまいまで、当時の日本の情緒や暮らしぶりが肌感覚をともなって、リアルに伝わってくるのは、山田洋次監督作品ならではの醍醐味です。

本作のストーリーやテーマにふれると、ひたすらに悲しい映画のようですが、重みはあれど、湿り気はない。とても優しくて味わい深い作品です。

それは、母と息子のやりとりが、温かくて、軽やかだから。そして、何だか甘くていい匂いがします。

これは、ラブストーリーだなと私は感じました。浩二と母親、浩二と残された恋人の町子(黒木華)の愛の物語。

それぞれの愛が切なくもとても魅力的なものに感じられたのは、役者陣の力によるところも大きいと思う。

吉永さんの希有なチャーミングさと人間味、黒木華さんの一途で純潔たたずまい。
もちろん、二宮和也さんの存在感やセリフまわしの的確さも。カラリと明るくて、理知的だけど情緒的な面もあわせもつ浩二が、カッコよくも可愛らしくも見えたのは、ニノだからこそ。

だって、「母さん!」をあんなに連呼するのに嫌味にならず、折々に感情移入できるって、なかなかないですよね(笑)。

浩二は、マザコンといえばマザコンだけど、こんな風に恋人みたいな母と息子関係って素敵だなと素直に感じられて、物語により深くとりこまれていきました。

家族や恋人や友人など、大切な人と一緒に観たい映画です。
ちなみに、ラストには、いろんな意味で驚きました。

ぜひ、劇場でたしかめてみてくださいね。

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