おしゃれ映画? オカルト映画? クリステの画像_1

シャネルが本店を構えるアートとカルチャーの最先端ストリート、パリのカンボン通りが登場し、衣装協力したシャネルやカルティエなど、ハイブランドのショップが次々とスクリーンを彩る本作。シャネルのミューズを務めているクリステン・スチュワートが主人公のモウリーンを演じているということもあり、一見女子ウケ抜群のおしゃれ映画に見えます。ただし、2016年のカンヌ国際映画祭で上映されるやいなや、「型破り」、「心をかき乱される」という批評が駆け巡ったように、イメージを裏切る予想外の展開にきっと度肝を抜かれるはず。 冒頭から、誰も住んでいない大きな屋敷で恐ろしい現象を目撃してしまうモウリーン。実は彼女は、世界を飛び回る女優に代わり服やアクセサリーを買い付けるパーソナル・ショッパーとして働きながら、霊媒師としても活動している設定。同じ能力を持っていた双子の兄を3か月前に亡くしたばかりで未だに立ち直れておらず、兄からの“サイン”を待ち続けていたのです。そんな彼女の携帯にある日奇妙なメッセージが届きはじめ、やがて周りで不可解な出来事が次々と起こり、ついには殺人事件に巻き込まれていきます……。 メッセージの送り主の謎、モウリーンが抱く兄への強い思い、クライアントである女優への憧れと嫉妬など、ミステリーやサスペンス、ホラーやオカルトの要素も全部ごちゃまぜにした、観る人の解釈に委ねる展開はとにかく衝撃的。最後までおなじみの仏頂面を崩さないクリステン・スチュワートのミステリアスさも、物語の謎のひとつとして見事に機能。何度も観て、何度も思い出すことによって自分なりの答えを見つけ出せる作品です。ただし、ユニークで抽象的な物語の中でもひと際目を引くのが、モウリーンを演じたクリステン・スチュワートの美しさ。普段は味気ないパンツスタイルの中性的なモウリーンが、買い付けたクライアントの衣装にこっそり袖を通し、別人になりたいという欲求を満たしていく描写はゾクゾクするほど刺激的でエロティック! 女性なら誰もが着てみたいと思う、ハイブランドのファッションの数々にも注目です。 (文/松山梢) ●公開中 ©2016 CG Cinema – VORTEX SUTRA – DETAILFILM – SIRENA FILM – ARTE France CINEMA – ARTE Deutschland / WDR

映画『パーソナル・ショッパー』公式サイト