ダメな自分を許せたことで、すごくオープンになれた気がする。

【三浦春馬さんインタビュー】映画『アイネの画像_1
10年間のめぐりあいの連鎖を描いた、伊坂幸太郎の小説『アイネクライネナハトムジーク』が映画化。三浦さんは、映画『君に届け』、ドラマ『僕のいた時間』に続き、多部未華子さんと恋人同士を演じた。

「多部さんは僕にとってワークパートナー的な存在。もちろん信頼しているし、安心もしますが、きっと僕のダメなところも苦手なことも全部わかっているので、緊張感を持って向きあわないといけないなと思う相手です。繊細な演技がとても上手な方なので、彼女に引き出してもらった部分もあると思います」

演じたのは劇的な出会いを待つだけの平凡な男・佐藤。歌も踊りもお芝居も軽やかにこなす多彩な三浦さんとは、対照的な人物に見えるが。

「いやいや、誤解です。僕も佐藤みたいにものごとを決めきれないことがけっこうあるし、たまに挙動不審になったりするところもわかる。僕、全然クールじゃないですから(笑)」

順調なキャリアの過程でも、コンプレックスと常に闘ってきたという。

「ネガティブ思考で緊張しぃだし、『不器用なんです』ってこともちゃんと言えず、以前は人との距離の詰め方に臆病になっていました。『こんなことも知らないの?』と思われないよう、虚勢を張っていた気がします。でも最近は単純に大人になったんでしょうね。困った時は『助けて』と言えるようになったし、ダメな自分を許したことで、すごくオープンな性格になったと思います」

好奇心に忠実に、積極的にいろんな場所へ出向くようになったことで、交友関係も広がった。

「先日、パリでの仕事から帰ってきたところなんですけど、現地でイギリス人の方とお話しする機会があって。自分がなんのために役者をやっているかという話を、たどたどしく英語で話せたんです。目を潤ませて『いい話だね』と言ってくれて、伝わったことにすごく感動しました。日本語だったら普段、絶対にそんな話はしないんですけどね。第二言語の英語だからこそチャレンジ精神が生まれたし、自然と伝えられた気がします」

今年は20代最後の年。「精いっぱい、がむしゃらに働きますよ!」と、いたずらっぽく相好を崩した。

「もしかして30代になったら、家族が増えたりすることもあるかもしれないじゃないですか。だから20代のうちにいっぱい悩んで、いっぱい立ち止まって、いっぱい失敗できたことは悪くなかったなって思うんです。最後の1年も『あいつがんばってるなー』と言ってもらえる仕事ができるように、走り続けます!」


みうら・はるま●1990年4月5日生まれ、茨城県土浦市出身。映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』、『SUNNY』、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』、ドラマ『僕のいた時間』、大河ドラマ『おんな城主 直虎』など話題作に多数出演。『キンキーブーツ』など舞台でも活躍

『アイネクライネナハトムジーク』

【三浦春馬さんインタビュー】映画『アイネの画像_2
マーケティング会社に勤める佐藤(三浦)は、劇的な出会いを待つだけの男。ある日、仙台駅前での街頭アンケートに快く応えてくれた本間紗季(多部未華子)の手の甲に「シャンプー」の文字を見つけ、密かに心惹かれる。●公開中
©2019「アイネクライネナハトムジーク」製作委員会
取材・原文/松山 梢 撮影/北浦敦子 ヘア&メイク/倉田明美(Cinq NA) スタイリスト/岡井雄介