12星座全体の運勢

「存分に自分をぬかるませる」 

大地が目覚め、うるおい始める時期とされる「雨水」に入る直前である2月17日には、しし座の27度(数えで28度)で満月を迎えていきます。 

寒さがゆるんだり、厳しくなったりと、もしかしたら一年のうちでもっとも大地の息づかいを意識させられる時期にもあたるタイミングですが、そんな今回の満月のテーマは「不思議なほどの気持ちの明るさを楽しむこと」。 

冬が終わると光あふれる春の日が訪れるように、多大なフラストレーションや深い暗闇の後には、必ずふわふわとした浮遊感や解放感を伴うような回復期がやってきます。今回のしし座満月の時期もまた、厳しい冬の終焉と本格的な春の到来とをつなぐ過渡期であり、寒さと乾燥で張りつめていた神経や身体の末端のこわばりをどれだけゆるめていけるかということが大切になっていきます。 

ちょうどこの時期に雪解けや霜解けで土壌がぬかるむことを、昔から「春泥」と呼んでいたように、積極的にアクビをしたり、特に上半身の緊張や指先のとどこおりをほぐしていくことで、存分に自分をぬかるませていくイメージで過ごしてみるといいかも知れません。 

涙や鼻水もどんとこい。春への始動は、まずは身体の中から。全身がアクビそのものであるかのような赤ちゃんになったつもりで、たっぷりとゆるんでしまうことを自分に許してあげてください。 
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山羊座(やぎ座)

今季のやぎ座のキーワードは、「心臓と肺を喜ばせる」。

山羊座のイラスト
2年以上にわたるコロナ禍の影響で深刻化している問題の一つに、うつ病・うつ状態の人の割合が新型コロナウイルス流行以前と比べて2倍近く増えているという現実があります。 
 
もはやいつ自分や自分の家族がその当事者になってもおかしくない時代となりつつあり、そうであるにも関わらず、「うつのときの過ごし方」についてきちんと書かれた本はほとんど見当たらないといっても過言ではないでしょう。 
 
その意味で、今の日本社会はうつ病・うつ状態に関する限り需要と供給がきわめてアンバランスな状況にある訳ですが、そうした中で、昨年刊行された坂口恭平の『躁鬱大学』は、精神療法の達人として知られる精神科医・神田橋條治の語録を下敷きに、著者本人の実体験によってかみ砕きながら、実践的な躁鬱への対処法を伝えているという点で、きわめて異色かつ有効な一冊となっています。 
 
例えば、著者の提唱する三つの「鬱の奥義」の二番目、「心臓と肺だけがあなたをラクにする」の箇所を一部引用してみたいと思います。 
 
僕は娘と息子が死ぬのが怖いという状態になったときには、深呼吸の方法を教えてます。横になって心臓を落ち着かせて、吸うのを極力減らして、ゆっくり吐く量を増やすように伝えます。それは子供でもできます。そしていちばん効果があります。/心の悩みだと思われるものを治療することが、このように心臓と肺の動きを調整することによって可能になるんです。というか、心臓と肺にしかできません。どれだけ頭や言葉であなたの躁鬱の体質をコントロールしようと思ってもできません。苦手なことはしないようにしましょう。「できることをもっとできるようにする」ことが重要です。心臓と肺だけがあなたをラクにすることができますから、それをもっとできるようにしましょう。」 
 
誰にでも分かる平易なことばで書かれていますが、うつ病への移行の兆候である「窮屈」や「疲れ」に対して、もっとも効果があるのは「心臓と肺の観察・処置」であるという指摘はまさに“コロンブスの卵”であり、力を抜くと心臓と肺は喜ぶし、うつやうつ状態の人であっても、心臓と肺を喜ばせることならできるじゃん! という著者のスタンスは、「がんばること」や「がんばらせること」がしごく当たり前になってしまっている日本社会の重苦しい空気を換気していく上で、貴重な風穴となっていくのではないでしょうか。 
 
同様に、今期のやぎ座もまた、そんな風穴をまずは自分の中に開けてみるべし。 
 
 
参考:坂口恭平『躁鬱大学』(新潮社) 
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<プロフィール>
慶應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ