12星座全体の運勢

「いっそヒラリと宙返り」 

夏のじめじめとした暑さと梅雨の不安定な天候との合わせ技で、服装選びに悩む衣替えの時期に入った5月30日には、ふたご座9度(数えで10度)で新月を迎えていきます。 

サビアンシンボルは「アクロバット飛行」であり、これは自然のもっとも基本的な働きである"重力”に逆らう力を象徴化した度数です。 

すなわち、年齢を重ねるごとに身体は老化し、体力は落ち、新しいことに挑戦する気概も失せ、心身ともに昔とった杵柄にすがりつき、なるべく現状を維持することに心血を注ごうとする傾向にあり、こうした“重力”はしばしば呪縛ともなってしまう訳ですが、今回の新月ではそうした当たり前のように人生にふりかかってくる呪縛を、いかに解き放っていけるかがテーマになっていくのだと言えます。 

さながら、梅雨の不快な空気感を吹き飛ばす「青嵐(あおあらし、せいらん)」という季語が、青葉を吹きわたる清らかな空気を意味するように、「この年齢ならば」「この立場ならば」こうなって、こうして当然という流れに反するようなアクションやチャレンジを取り入れ、停滞した人生状況に風穴をあけてみるのもアリでしょう。 

いずれにせよ、分かりやすいしがらみから思い切って離れ、地図にない未知の領域へと飛び込んでみることで得られる見晴らしは、あなたの人生をよりエキサイティングなものにしてくれるはず。 

とりわけ、剣の上を渡るとき、氷の上を行くときは。そぞろ歩きを諦めて、いっそヒラリと宙返り。今期はそんなアクロバットを決めていけるかどうかが問われていくでしょう。 
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魚座(うお座)

今期のうお座のキーワードは、「人間にしかできない営みや役割の追求」。

魚座のイラスト
近年急激な発達を遂げてきた人工知能の研究開発の蓄積は、逆説的に人間がいかに高度で複雑なプロセスを何気なく遂行しているかという、人間の営みの再発見のプロセスでもありましたが、今後も重要な焦点となっていく命題をひとつ挙げるとすれば、それは「人間の子供の育児を行うロボットは開発可能か?」ということでしょう。 
 
この点に関して、例えば1980年代に〈バイオエシックス、生命倫理学〉を日本に導入した倫理学者の加藤尚武は、「ロボット」という言葉を1920年に作り(チェコ語で賦役robotaを負うもの=無給労働者)、戯曲として作品化したカレル・チャペックの『ロボット』から、今後ロボット化が禁止されていく可能性が高い領域をあえて推測すれば、それは「家族愛」に関与する領域なのではないかとも述べています。 
 
妊娠・出産もまた特殊なリスクが想定される営みですが(少なくとも子宮のロボット化は当面は技術的に不可能)、それが育児・教育にまでなだらかに広がっていく過程で総体的に成立していく家族的コミュニティの形成までロボット化の可能性を考えてみると、そこには「業務」や「機械的命令と実行の反復」によっては決して成立しえない“何か”が含まれているように思えるからです。 
 
育児や教育というのは、そうした“何か”の内実と深く関係している人間的営みであると考えられていますし、また、世代間コミュニケーションの継続性や、世代交代の持続性を保っていく上でも必要不可欠な営みですが、さらに言えばそれはヒトという種の存在理由を問うという意味でも、証明されなければならないテーマでもあるのではないでしょうか。 
 
現代では人間は「自分にしかできない仕事や役割」を自分の社会的アイデンティティーとしていますが、将来的には「人間にしかできない営みや役割」を自身の存在理由として追求するようになる時代がそう遠くない未来に訪れるかもしれません。 
 
その意味で、5月30日にうお座から数えて「心の支え」を意味する4番目のふたご座で新月を迎えていく今期のあなたもまた、育児や教育など、人間にしかできない営みや役割を追求していくことが重要なテーマとなっていきそうです。 
 
 
参考:加藤尚武「ヒトはその存在を失う前に存在理由を失う」(『現代思想2020年9月臨時増刊号 総特集=コロナ時代を生きるための60冊』所収) 
12星座占い<5/29~6/11>まとめはこちら
<プロフィール>
慶應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ