【韓国初】まるで本物?現地で話題の"ロン・ミュエック展"を徹底レポート。作品からアクセス、チケット購入方法まで一挙紹介!
- 韓国初開催"ロン・ミュエック展"を徹底レポート
- 【アクセス方法】アートと歴史が交差する『国立現代美術館 ソウル館』
- 【チケット購入方法】価格と予約方法をチェック
- 【展示作品を一挙紹介】見どころやポイントは?
- 《Mask II》
- 《Chicken/Man》
- 《In Bed》
- 代表作《Mass》
- 《Woman with Sticks》
- 《Woman with Shopping》
- 《Ghost》
- 《Young Couple》
- 《Man in a Boat》
- 制作の舞台裏を映像と写真で
- 作品世界の余韻に浸れるグッズも!
- 7月13日までの開催!
韓国初開催"ロン・ミュエック展"を徹底レポート

ソウル・光化門エリアにある国立現代美術館ソウル館(MMCA Seoul)で、ハイパーリアリズム彫刻の旗手として世界的に知られるロン・ミュエックの“韓国初”となる大規模個展【Ron Mueck Solo exhibition】が、2025年7月13日まで開催中。
本展ではロン・ミュエックの代表作《Mass》や《In Bed》《Chicken/Man》《Mask II》《Woman with Sticks》《Man in a Boat》など選りすぐりの約30点を一堂に公開。さらに、スタジオの25年にわたる制作過程を収めた写真や映像も展示され、作家の思考と技術を深く読み解く貴重な機会になっています。
“リアルを超えるリアル”とも言われる彼の作品は、細部まで緻密につくられた人間の姿を、大きくしたり小さくしたりとスケールを自在に変えて表現。どこか不気味で、でも目が離せない……そんな不思議な魅力に引き込まれます。
今回の展示は、韓国では初となる大規模な個展ということもあり、現地でも大きな話題に!会場には代表作はもちろん、制作風景の映像や、25年にわたる創作の軌跡を辿る写真も展示されていて、作品の裏側までじっくりと楽しめました。
今回は、そんなロン・ミュエック展の見どころや、チケットの購入方法、現地での回り方、アクセス、グッズ情報まで詳しくご紹介します!ソウル旅の予定がある方は、ぜひ旅のプランに加えてみてくださいね。

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【アクセス方法】アートと歴史が交差する『国立現代美術館 ソウル館』

展示が行われているのは、ソウルの光化門エリアにある「国立現代美術館 ソウル館(MMCA Seoul)」。古宮・景福宮のすぐ近く、落ち着いた三清洞(サムチョンドン)エリアに位置しています。
赤レンガのモダンな建物は、実はかつて朝鮮王朝時代の宮廷施設や軍の施設があった敷地に建てられており、歴史の空気をまとったアート空間。周囲にはおしゃれなカフェや韓屋(ハノク)の建物も点在していて、美術館を訪れるだけでソウルの“今と昔”を味わえます。
アクセスは、地下鉄3号線「安国(アングク)駅」から歩いておよそ12〜15分。地下鉄3号線景福宮(キョンボックン)駅 5番出口からは徒歩約6分です。景福宮駅や光化門駅からも徒歩圏内なので、旅の途中にふらりと立ち寄れるのも魅力です。
さらに、MMCAの他の分館とを結ぶ無料のアートシャトルバスも平日限定で運行中。ソウル館だけでなく、徳寿宮館や果川館も一緒に楽しむアート巡りもおすすめです。
<国立現代美術館 ソウル館> 국립현대미술관 서울관
住所:서울특별시 종로구 소격동 165
ソウル特別市 鐘路区(チョンノグ) 昭格洞(ソギョットン) 165
営業時間: 日~火 , 木〜金曜10:00~18:00
水〜土曜10:00~21:00
※最終受付は閉館の1時間前
アクセス:
地下鉄3号線安国駅 1番出口 徒歩8分
地下鉄3号線景福宮駅 5番出口 徒歩6分
【チケット購入方法】価格と予約方法をチェック

ロン・ミュエック展のチケットは、現地でもオンラインでも購入することができます。観覧料は一般5,000ウォン(約500円)と、日本と比べてかなりリーズナブル。展示のクオリティを考えると、とてもお得に感じました。
当日は1Fのチケットカウンターで購入しましたが、現金もカードも使えるので、特に困ることはありませんでした。時間帯によってはやや混雑することもあるようなので、できるだけ午前中や平日の早めの時間帯に訪れるのがおすすめです。
また、公式サイトや韓国の旅行予約サイトを通じて、事前にオンラインでチケットを購入することも可能。とくに土日や連休などの混雑が予想される時期は、事前購入をしておくと安心です。英語対応の海外向けチケット販売サイトもあるので、韓国語がわからなくても心配ありません。

ちなみに、美術館では今回のロン・ミュエック展だけでなく、特別展を3件以上観覧する場合いうチケットも用意されています。(統合観覧券:7,000ウォン)ロン・ミュエック展以外の展示にも興味がある方にはこちらもおすすめ。タイミングが合えば、無料観覧デー(主に水曜・土曜の夕方以降)もあるそうなので、旅程が合えばチェックしてみるのもいいかもしれません。
また、満24歳以下、満65歳以上はチケット無料。そのほかの人も、入館だけれあれば無料なので、フラッと立ち寄って雰囲気だけ味わってみたいという方にもおすすめ。
次は、いよいよ展示の見どころについてご紹介します!思わず立ち止まってしまうほどリアルな彫刻の世界を、じっくりとレポートしていきますね。
※最新情報は公式HPからお確かめください。
【展示作品を一挙紹介】見どころやポイントは?
展示室に足を踏み入れた瞬間、目の前に広がるのは“リアル”という言葉では片付けられない、圧倒的な存在感。ロン・ミュエックの作品たちは、まるで本当に呼吸しているかのように、ひとつひとつの作品が強い「生」そして「死」の気配を放っていました。
でもそれは、ただ写実的だからというだけではありません。作品たちには、どこか不自然なスケール感や、絶妙な表情や距離感があり、ただのリアルを超えた“人の内面”が滲んでいるように感じました。ふと目が合ったような気がして立ち止まってしまったり、少し距離を置いて全体を見てみたり…。その一瞬一瞬が、観る人自身の心の動きと静かに重なっていくような感覚でした。
《Mask II》

ロン・ミュエックの《Mask II》は、自分の顔をもとに作られたと言われる作品で、等身大のリアルさやその大きさが印象的です。近くで見ると、柔らかな毛質、肌の質感や細かいシワまで感じられて、まるで本当にそこに人がいるような気がします。目を瞑って横たわっている姿は、寝ているけれども、今にも目を覚ましそう。
角度を変えたり距離をとったりすると、まるで人面のマスクを見ているようで、違った表情が見えてくるのも面白いポイント。私も見ている間、いろんな気持ちが胸の中で動きました。
《Chicken/Man》

《Chicken/Man》は、2019年にニュージーランド・クライストチャーチのアートギャラリーに特別に制作された作品です。老年の男性が下着姿でテーブルに座り、目の前にいるニワトリと対峙しているというシンプルながらも印象的な構図となっています 。
一見するとユーモラスで奇妙な光景ですが、よく見るとその静かな緊張感に引き込まれます。男性とニワトリは、まるで何かをかけて真剣に対決しているかのような、微妙な空気を漂わせています。テーブル越しに交わされる視線の先に、何があるのか、何を意味しているのか…その答えは見る人それぞれの心の中にあるような気がします。
この作品は、日常の中に潜む非日常、つまり「普通の中の異常」を描いているように感じました。老年の男性とニワトリという一見不釣り合いな組み合わせが、逆に人間の存在や孤独、そして日常の中での小さな戦いを象徴しているように思えます。
《In Bed》

《In Bed》は、2005年に制作された彫刻作品で、約1.6メートルの高さ、約6.5メートルの長さ、約4メートルの幅を持つ巨大な女性像がベッドに横たわっています。彼女は片手で顔を支え、膝を抱えるようにして寝転んでおり、その姿勢からは静かな不安や内省的な感情が伝わってきます。
この作品の魅力は、何と言ってもその圧倒的なリアルさとスケール感です。肌の質感や血管の浮き出た様子、髪の毛一本一本まで精緻に再現されており、まるで本物の人間がそこにいるかのような錯覚を覚えます。
眺めていると、私たちが日常的に抱える孤独や不安、そして心の奥底に潜む感情を浮き彫りにしているような感覚に。リネンベッドという私たちにとって最も身近でありながら、同時に最もプライベートな空間に横たわる彼女の姿は、私たち自身の心の中を覗き込むような感覚を与えてくれます。彼女の脳内や感情を想像しながらじっくりと観察することができるのも、見どころのひとつ。
展示された空間もまた、この作品を引き立てています。白一色のシンプルな空間に、巨大な女性像が静かに横たわる様子は、まるで夢の中の一場面のようで、観る者をその世界に引き込んでいきます。

代表作《Mass》

展示の中心には、2017年に制作され、メルボルンのビクトリア国立美術館のコレクションである巨大インスタレーション《Mass》が。韓国で初めて公開されるこの展示は、約3メートルの高さで積み上げられた100体の巨大な頭蓋骨が、圧倒的な存在感を放っています。
これらの頭蓋骨は、リアルな質感と迫力あるスケールで作られており、まるで一つの「生命の塊」を見ているかのよう。命のはかなさや、人間の存在に対する深い問いかけを感じさせます。100という数字は、人間の多様さや個々の人生の重なりを示しているようで、作品の前に立つと、生命の儚さと尊さが胸に迫ってきます。
私も初めてこの作品を見たとき、そのスケール感に息をのむと同時に、静かな厳粛さに心が動かされました。《Mass》はまさにロン・ミュエクの技術と哲学が結実した代表作として、見る人の心に深い印象を残す、そんな作品だと思います。
《Woman with Sticks》

《Woman with Sticks》は、細部にまでこだわったリアリズムと独特の存在感が際立つ作品です。複数の木を必死に抱えた女性の姿が描かれており、その身体は働きづめで傷だらけながらも、どこか諦めにも似た強さを感じさせます。
一見すると穏やかで落ち着いた表情の彼女ですが、手にした薪の重さが身体に負担をかけ、後ろに反り返るような姿勢からは、日常の厳しさや耐え忍ぶ力が伝わってきます。細かな肌の質感もリアルに表現されていて、生きているかのような生命感にあふれています。
《Woman with Shopping》

《Woman with Shopping》は、買い物袋を手にした女性をリアルに表現した彫刻です。日常の何気ない一瞬を切り取ったようなこの作品は、私たちが普段見過ごしがちな姿に、深いリアリティと物語を吹き込んでいます。
女性の身長や洋服、靴、ショッピングバッグはもちろん、そのバッグの中にあるトマト缶や日用品に至るまで、細部まで丁寧に縮小されています。
その繊細なスケール感の中に、日常に潜む小さな悲哀や痛みが凝縮されているように感じられます。疲れてぼんやりと目の前を見つめる女性の表情からは、どこか切なさや諦めにも似た感情が伝わり、彼女の胸で、彼女の顔を見上げる赤ちゃんの愛らしい仕草との対比がより一層その空気感を際立たせています。
《Ghost》
《Ghost》は、水着姿の少女が壁にもたれかかり、静かに目を伏せています。その姿には、成長期の不安定な心情や、自己を見つめる繊細な気持ちが表現されています。大きな身体とは裏腹に、どこか儚く繊細で、まるで現実の世界に完全には溶け込めていないかのような印象を与えます。
この作品は、成長する少女が抱える心の揺れや孤独感を映し出しており、ロン・ミュエックの卓越した技術がリアルな表情や質感を通じてその複雑な内面を伝えていると感じました。少女の静かな佇まいに引き込まれ、彼女の抱える感情に思いを馳せずにはいられません。
《Young Couple》

ロン・ミュエックの《Young Couple》は、若い男女の繊細な関係性をリアルに切り取った作品です。二人は寄り添いながらも、それぞれが内に秘めた思いを抱え、どこか不安げ。
その表情や身体の細部まで丁寧に作り込まれ、特に肌の質感や視線の交わり方に目を奪われます。絶妙な距離感が、見る者の心に静かな共感や、ちょっとした心配、不安の気持ちを呼び起こします。
《Man in a Boat》

一艘の小舟に乗り、遠くを見つめる裸の中年男性。《Man in a Boat》は、その静謐でありながらも張り詰めた空気感が、観る者の心に深く残る作品です。
身体は実物よりもやや小さく作られており、その非現実的なスケールが、かえって男性の孤独や内省の時間を際立たせています。視線の先に何があるのか、彼はどこから来て、どこへ向かおうとしているのか……はっきりとは語られない分だけ、想像はどこまでも広がっていきます。
舟というモチーフは、人生の旅や時間の流れの象徴のようにも思えます。何も語らず、ただそこに在る彼の姿は、私たち自身の姿でもあるのかもしれません。まるで時間が止まったかのような静かな空間に佇むこの作品は、観る人の中にある「沈黙」や「問いかけ」をそっと浮かび上がらせる、深い余韻を残す作品です。
制作の舞台裏を映像と写真で

ロン・ミュエック展では、彫刻作品の奥にある「制作過程」にも光を当てている点がとても印象的でした。地下スペースでは、作品と並列するように、彼のスタジオでの制作風景を写した写真やドキュメンタリー映像が展示されています。
展示には、作品の制作過程がわかる写真も展示されていました。たとえば、彫刻の土台になる鉄や木の骨組みが並んでいる様子や、シリコーンや樹脂で肌を作り込んでいく様子などが写っていて、思わずじっくり見入ってしまいます。細かな色づけや血管の表現など、ものすごく丁寧な作業ばかり。
また、25年にわたって制作の裏側を記録した貴重な映像作品《Still Life》や《Chicken / Man》も公開されています。彫刻が少しずつ形になっていく様子や、素材に触れる彼の手つきからは、作品に込められた思いやこだわりがひしひしと伝わってきます。
作品世界の余韻に浸れるグッズも!
館内1Fには、展覧会の世界観をそのまま持ち帰れるようなグッズが販売されていました。作品をあしらったポストカードやノート、Tシャツなどがずらり。繊細な表現を間近で見た後だからこそ、そのモチーフがプリントされたグッズにも特別な魅力を感じます。作品世界の余韻に浸りながら、記念にひとつ選んでみたくなるラインナップでした。
7月13日までの開催!

今回の展覧会では、代表作《Mass》をはじめ、驚くほどリアルな作品が多数展示されています。肌の質感や血管の細かな表現まで緻密に再現されており、その細部にまでこだわった作風に圧倒されます。
また、制作過程に迫る映像作品《Still Life》《chicken / man》も公開され、緻密な工程を間近に体験できます。作品が丁寧に仕上げられていく過程が、写真や映像で紹介されているのも見どころです。
韓国での初公開という特別な機会をぜひ体感してみてください!
撮影展覧会名:ロン・ミュエク展(Ron Mueck Solo Exhibition)
会期:2025年4月11日(金)~7月13日(日)
会場:国立現代美術館 ソウル館(MMCA Seoul)
住所:ソウル特別市 鍾路区 三清路30(30 Samcheong-ro, Jongno-gu, Seoul)
代表作《Mass》をはじめ、初期から最新作までの彫刻作品を展示
制作過程を記録した写真家ゴーティエ・ド・ブロンドによるドキュメンタリー映像《Still Life》《Chicken/Man》を上映
入場料:5,000ウォン(事前予約および当日購入可能)
*内容は全て個人の感想です。
*撮影可能なエリアを撮影・掲載しています。
*チケットの価格や展示の最新情報はHPをご確認ください。