12星座全体の運勢

「大きな物語に取り込まれていく」

6月21日の夏至の日の夕方16~18時にかけて、蟹座1度で部分日食(新月)が起こり、晴れていれば日本全国で欠けていく太陽が観測できます。これは日食と新月、そして一年のうち最も日が長くなる夏至が重なる特別なタイミングであり、時代の移り変わりの上でもひとつの節目となっていきそうです。そのキーワードは、「大きな物語」。これは例えば「むかしむかし、あるところに……」といった語りで始まる昔話のように、歴史ないし共同体のもつ空間的・時間的射程の中に自らを位置づけ直していくことで、個人として好き勝手に振る舞う自由を失う代わりに、手で触れられる夢のような生々しい物語の中へと取りこまれていく。今季はそんな"クラい”感覚の極致をぜひ味わっていきたいところです。

双子座(ふたご座)

今週のふたご座のキーワードは、「喫茶」。

双子座のイラスト
民衆的で革命的であった鎌倉新仏教と言えば、親鸞や道元などの名前が必ずあげられる一方で、臨済宗の始祖である栄西(えいざい)の名を挙げる人は少ないかも知れません。

しかし、栄西は中国から禅だけでなく茶を持ち帰って喫茶の法を伝えた人物、すなわち日本の茶祖としても知られているのですが、なぜそれほどまでに茶に力を注いだのかは、栄西が禅と密教とによる仏教の総合化を目指していたことにヒントがありそうです。

男女の性的合一など性的な要素を仏教に持ち込んだ密教は、そのおおもとに身体への関心がありましたが、医書としても読まれた栄西の『喫茶養生記』という著作には、例えば次のような記述があります。

天が万物を造った中で、人を造るのがもっとも貴い。人が一生を過ごすのに、生命を守るのが賢明である。一生を過ごす源は養生にある。養生の術を示すと、(心・肝・肺・脾・腎の)五臓を健全にすることである。五臓の中でも心臓が中心である。心臓を健康にするには、茶を飲むのがいちばんよい方法である。

ここにもやはり身体への深い関心がありますが、これは彼が"救い”を追求する仏教というものを心だけのものではなく、身体を含む生活文化全体に関わるものであると考えていたことが如実に表れています。

ちなみに、肝臓は酸味を好み、肺は辛味を好み、心臓は苦味を好み、脾臓は甘味を好み、腎臓は酸味を好むとされています。

こうした身体やその原動力である五臓が求める"味”や、それらを調和させていくことを重視し、本当に生きるということの基盤においていった栄西のアプローチは、「自己価値をいかにあげられるか」ということが今季の大切なテーマとなっていくふたご座にとっても大いに参考になるのではないでしょうか。


出典:古田紹欽訳『栄西 喫茶養生記』(講談社学術文庫)
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<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ