1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして今夏「モア・リポート」と並行して、性別を問わず、ジェンダーレスに20・30代の恋愛やセックスの本音に迫る「モア・ボイス」がスタート!

セックスに求めるものは男女で違う? 20・30代のセックスに対する悩みは? 

連載を開始するにあたり、多様化するセックス観について、産婦人科専門医の宋美玄先生にお話を伺いました。

教えてくれたのは……

産婦人科専門医 医学博士、丸の内の森レディースクリニック院長
宋美玄(ソン・ミヒョン)先生

1976年兵庫県神戸市生まれ、大阪大学医学部医学科卒。2010年に出版した『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社刊)がシリーズ累計70万部突破の大ヒットとなり、各メディアから大きな注目を集め、以後妊娠・出産に関わる多くの著書を出版。“カリスマ産婦人科医”としてメディア出演、医療監修等、女性のカラダの悩み、妊娠・出産、セックスや女性の性など積極的な啓蒙活動を行っている。2児の母。

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CONTENTS
  1. 男性はセックスに何を求めている?
  2. 20代は痛いセックスをしている?
  3. あなたにとって「人生で最高のセックス」とは……?
  4. 男性のセックスの悩みは根深い?

男性はセックスに何を求めている?

20代〜30代のセックス観

――男性と女性ではセックスに求めるものは違うのでしょうか?

セックスの目的は男女で非対称です。『【ジェクス】ジャパンセックスサーベイ2020』の調査によると、男性がセックスをする目的で一番多かったのは「性的な快楽のため」。一方女性は「愛情を表現するため」がトップで、次いで「ふれあい(コミュニケーション)のため」「相手に求められるから」でした。

つまり、男性はしたいからセックスをする、女性はしたいか分からないけれど、相手に求められてする=受け身なんです。(宋先生、以下同)

20代は痛いセックスをしている?

20代〜30代のセックス観

――セックスに対する意識の違いが明確になっていますね。

上記の結果に連動して「セックス(性交渉)の時に痛みを感じることがありますか」と聞いた調査では、女性の役6割が「痛い」と回答しています。そりゃあ、受け身でセックスしていたら痛いですよね。

 ――パートナーに求められたら「応じなきゃ」とか「嫌われたくない」とか、そういう気持ちもあるのかもしれません。

驚くことに「痛い」と回答した年代で最も多かったのは、20代です。性交痛は高年齢女性の特有の悩みというイメージがありますが、渋々セックスを受け入れているのは、実は若い世代なんですよ。

あなたにとって「人生で最高のセックス」とは……?

20代〜30代のセックス観

――セックスに求めるものがここまで違うと、パートナーとのすりあわせが大変だなと思います。

とある雑誌で「人生で一番最高だったセックスについて教えてください」というテーマがあったんです。

その中で、女性は「ずっと大好きだった人としました!」とか、相手への想いが最高のセックスにつながったエピソードを紹介していて、男性は「巨乳としました!」「キャビンアテンダントとしました!」とか、相手の属性とか身体的特徴を挙げていたんです。

男性は「したいからする」、女性は「求められるからする」。

だからこそセックスレスの問題も起きます。女性が受け身であり続けると、パートナーから求められなくなったら、セックスすることがなくなる。そうなってしまってから、レスに悩むことも多いんです。

 

――「モア・リポート」の取材でもセックスレスでつらいのは、性欲の問題ではなく、「パートナーに求められなくなった」ことだという声は多かったです。

求められなくなってからでは遅いんです。セックスがある時からお互い意思表示をして、そこに愛が見出せるように、しっかりコミュニケーションを取っておくことが大切です。

 

男性のセックスの悩みは根深い?

20代〜30代のセックス観

――今夏から「モア・リポート」と並行し、より多くの人の本音に迫るべく、ジェンダーレス版「モア・ボイス」が始動します。事前リサーチで20・30代の男性に、セックスについての悩みを聞いたところ以下が挙がりました。

  • 男性1:セックスの途中で性器が萎えてしまう
  • 男性2:彼女を見ても勃起しなくなった
  • 男性3:妻が子育てでピリピリしているので、セックスに誘いづらくなった
  • 男性4:仕事が忙しくてセックスに興味がなくなった

――先ほど性交痛を感じる女性が多いという話もありましたが、男性と女性でセックスの悩みも大きく違ってくるのでしょうか。

これも全然違います。事前調査にもありますが、セックスって結局、男性が勃起しないと成り立たないもの。だから男性のセックスの悩みのほうが根深いかもしれませんね。

先ほどの調査を参考にしてみると、男性のセックスの悩みで最も多いのは「挿入や射精までの時間が短い」こと。年代問わず、男性の約3割が悩みとして挙げています。

次いで「勃起しづらい・できない」や「自分の性器の大きさや形・色などが気になる」など自身の性器に関することです。

一方、女性は挿入や射精の時間の短さについて悩むことはなく、自身が「オーガズムに達することができない」ことに悩んでいる人が最も多い結果になっています。

 ――男性は感情的な悩みではなく、身体的な悩みを抱えている可能性があるということですね。

 男女のみならず、多様性の時代に大切なことは、お互いの非対象なところをコミュニケーションで埋めることです。

 パートナーとセックスについて話し合うことで、お互いの立場を理解できるパートナーシップを築いてくださいね。

「モア・リポート」のジェンダーレス版「モア・ボイス」が始動!

2回にわたって、宋先生に20・30代のセックスについてお話を聞いてきました。

したいからこそ知るべきこと。求められるからこそ伝えるべきこと。

次回から、「モア・リポート」のジェンダ―レス版「モア・ボイス」が始動します。

 

参考サイト:【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2020

取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。