1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。20・30代の世代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!

美容整形費用はクラウドソーシングでためた

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ーDATAー

後藤さん(仮名)20代後半 /会社員

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二重整形は「周りがみんなやっていた」

副業で美容整形費用を稼いだ会社員Gさんのの画像_1

――美容整形をしたことがありますか?(整形に省略、以下同)

はい。二重の埋没と、鼻と輪郭。あとは、太ももの脂肪を顔に注入したり、ヒアルロン酸注射をしたり、肩にボトックスをしたりと様々な整形をしています(後藤さん、以下同)


――初めて整形をしたのはいつですか?


18歳の時です。私はもとから二重だったのですが、当時周りで埋没(※糸を使って、まぶたを切らずに二重にする方法)が流行っていて。最初は二重幅を広げる手術をしました。


――容姿にコンプレックスがあったわけではなく、軽い気持ちからだったのでしょうか?


そうですね。その時は、あまりコンプレックスを感じていませんでした。周りで流行っているからとメイクに近い気持ちだったんです。ただ、18歳だと施術するために、親の許可が必要です。シングルマザーだった母親に同意書のサインをもらおうと思ったのですが、なかなか許可してもらえず揉めた記憶があります。


――どのように揉めたのですか?


はっきりと覚えていないのですが、母親に整形したいと打ち明けたら、しぶられました。かなり時間をかけて説得した記憶があります。


私が整形したことを知っているのは、今も母親だけです。

二重整形をして異性が「優しくなった」

――二重にして変わったことはありますか?


私は当初、周囲で流行ってるからという軽い気持ちで二重幅を広げたのですが、思った以上に周囲の反応が変化したことに驚きました。


――どんな反応でしたか?


わかりやすく異性からの反応が変わりました。あからさまに異性が自分に対して優しくなったんです。

これだけ反応が変わることに驚いたのと同時に「見た目って大事なんだ」と思うようになりましたね。この変化があってから、自分の容姿にそれまで以上に気を遣うようになりました。

自分の容姿が気になって仕事に集中できない日々

副業で美容整形費用を稼いだ会社員Gさんのの画像_2

――その後、新たに整形をしようと思ったきっかけは?


私はとあるメーカーの営業職として就職したのですが、その会社はきれいな人が多い会社だったんです。きれいなだけでなく、コミュニケーション能力も高い人たちが集まっていました。

それで今まで感じたことのないコンプレックスを抱えるようになったんです。同期入社の子が自分より早く昇級すると「あの子は可愛いからだ」と短絡的に考えてしまうこともありました。


仕事でプレゼンをする前日、私はプレゼンの練習をするのではなく、どの服を着たらスタイルがよく見えるかなとか、メイクはどうしようかな、とかそんなことばかり考えるようになっていましたね。容姿にとらわれて、業務そのものに集中できなくなっていたんです。


――そういう経験から、また別の整形をしようと思われたのでしょうか?


そうですね。中身を変えるよりも外面を変える方が楽だと思ったんです。頬骨を削る輪郭の手術と鼻の手術を韓国で受けました。かなり大きな手術だったので、術後1週間くらいは、口を開けることができず、ストローからしか食事を取れませんでした。


――仕事はその時どうしたのですか?

長期休暇を使いました。それに手術したのは、ちょうど3年前のコロナ禍で、全員マスクをしている時期だったので周囲にバレなかったんです。最近やっとマスクを外すようになりましたが、誰も整形を指摘する人はいません。

整形費用はクラウドソーシングでコツコツ貯めた

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――総額の整形にかかった費用はいくらですか?

今までの整形代の総額は120万円程度です。韓国で手術したこともあって、日本の相場より安いと思います。


――そのお金はどうやって捻出したのですか?

会社員の給料だけでは難しかったので、クラウドソーシングを使ってWEBライターの副業を始めました。すぐに大金を稼げるわけじゃないので月15万円ずつ、休日や業務時間外の時間を使ってお金を貯めて、そのお金をすべて整形に投入しました。


――どのくらいの期間働いてお金を貯めましたか?

毎日仕事が終わって家に帰ったら3時間は副業、土日もフルで働いて6カ月かかりました。

整形をする人の中には、手っ取り早く稼げる夜の仕事をする人も多いのですが、私はかなりコツコツ地道にお金を貯めました。

――それだけ、整形をしたいという気持ちが強かったということでしょうか。


そうですね。プライベートな時間を削ってでも「外面を変えたい!」という気持ちは強かったと思います。最初は気軽に手を出した整形ですが、会社員生活での経験を経て、「整形したい」という気持ちを強く持つようになりました。


――整形後、変化はありましたか?


自分の見た目が気にならなくなりました。整形前は、整形垢(ツイッター)などをよく見ていたのですが、今は見ません。仕事も以前よりずっとやる気になり、今では同期の中で一番昇格しています。


――整形したメリットの方が大きかったということでしょうか。

私個人としては、メリットがありました。私は自分の思い通りの顔になったから、そう思うのだと思います。中には後遺症が残ってしまう人も多いし、整形をきっかけに病んでしまう人もいます。


だから私だけの経験で「整形がおすすめだよ!」とは言えません整形する前にリスクがあることを十分知って、それを背負える覚悟を持ってから整形を考えた方がいいと思います。


――今現在、恋人はいますか?

はい。恋人はいますが、整形していることは言っていません。気づいてもいません。

整形したことを伝えてすっきりするのは自分だけで、誰も得することはないと思うから。今後も言うことはありません。

――今後整形することはありますか?

いえ。今は生活が充実しているので、しないと思います。

取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。