今年もお正月にたくさんの感動を与えてくれた「箱根駅伝」ですが、実はこの毎年恒例の大規模な大会が学生によって運営されているものだと知っていましたか? そこで陸上競技経験のあるMOREモデルのいげちゃん(井桁弘恵)が、関東学生陸上競技連盟の現幹事長・本松貫太さん(千葉大)と次期幹事長候補の高橋花奈さん(日大)に、「箱根駅伝」を支える学生たちの舞台裏を教えていただきました!
井桁弘恵さん、箱根駅伝を運営する関東学生陸上競技連盟幹事長の本松さん、次期幹事長候補の高橋さん
いげちゃんを挟んで右側が現幹事長の本松さん、左側が次期幹事長候補の高橋さん

関東学生陸上競技連盟ってどんな団体?

井桁 今まで学生が箱根駅伝を運営しているなんてまったく知らなかったです! 皆さんが所属する関東学生陸上競技連盟(以下、関東学連)って、どんな団体なんですか?

本松 関東(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨)に所在する加盟大学の陸上競技部で構成された団体で、僕たちは団体の中の「学連幹事」というポジションになります。 

井桁 え、じゃあおふたりも陸上競技部に所属しているってことですか? 

本松 そうですね。普段は競技をするわけではありませんが、大学の陸上競技部の代表という形で関東学連で従事しています。僕は千葉大学、高橋は日本大学で、私立国公立関係なくいろんな大学から集まってきています。学連幹事は現在、35人くらいですね。 

井桁 普段はどのような活動をされているのですか? 

本松 箱根駅伝の業務はもちろん、トラック&フィールドの大会を運営したり、準備したりすることが主な活動です。毎年1月3日に箱根駅伝が終わると、その年の反省を踏まえつつ、次の箱根駅伝に向けて動き出します。

昨年はコロナによって大会が中止になるなどイレギュラーではありましたが、通常は5月に関東インカレというトラック&フィールドの大会があるので、それに向けて3月頃から準備。関東インカレが終わると、次は10月に行われる箱根駅伝予選会のために7月頃から準備を始めます。

予選会が終わり次第、箱根駅伝の準備が本格的に始まっていくということを、その他の主催競技会の準備や運営などを行いながら毎年繰り返しています。 

井桁 なんと。すごく忙しそうですね!
MOREモデルの井桁弘恵も箱根駅伝を運営する関東学生陸上競技連盟の話に興味津々!
あの箱根駅伝を運営するのが学生と知って、いげちゃんも興味津々

本松 基本的に平日はリモートで活動をしますが、コロナ禍前はそういった文化がなかったので、毎日授業後に千駄ヶ谷の事務所に通っていました。トラックシーズンになると3週間に1度くらい大会があるので、土日がなくなったりも……。かなり充実した経験をさせてもらっています。

井桁 ポジティブ(笑)! でもそもそもそんな大変な活動に、どうして携わろうと思ったのですか?

本松 僕は高校時代に長距離選手だったのですが、あまり真面目に練習をしていたタイプではなく、結果もまったく残せていませんでした。

ただ、もともと箱根駅伝はすごく好きだったので、順天堂大学の陸上競技部でマネージャーをしていた兄から学連幹事の活動を教えてもらい、「やってみたら?」と言われまして。「今度こそ真剣に取り組んでみよう!」と思って参加することを決めました。 

高橋 私は小学生の頃から陸上競技をやっていて、選手として活動するために投てきが強い日本大学に進学を決めたんです。でも高校3年生の時に記録が伸び悩んでしまって。

大学で活躍できないかもしれないことを大学の監督に相談したところ、学連幹事をすすめていただきました。そこで初めて学連幹事の存在を知りましたが、大学の監督が開いてくださった新しい道に挑戦したいと思って参加することにしました。 

井桁 素敵です。経緯は人それぞれなんですね!

箱根駅伝を支える学生たちの舞台裏とは!?

井桁 箱根駅伝では、具体的にどんなことをしているんですか? 

本松 主催団体なので、前回大会の反省を踏まえてルールを見直したり、警察との打ち合わせなども学生が主体となってやっています。大会当日は、スタート、フィニッシュ、中継所の運営もしています。もちろん学生だけでできることではないので、審判の方たちや読売新聞社、報知新聞社、日本テレビの皆様など、たくさんの方たちと協力しながら進めています。 

井桁 本松さんは、当日は何を? 

本松 僕は競技的な仕切りをする審判長とふたりで“大会本部車”に乗り込み、選手や走路を守る活動をしています。レースの状況にもよりますが、基本的には先頭近くを走るので、今大会の復路は青山学院大学の運営管理車の近くを走っていました。 

井桁 テレビ中継を観ていると、監督が乗っている運営管理車の他にもたくさんの車が走っていますよね。「すごいたくさん!」って思っていたけど、本松さんたちの車もあの中に! 

本松 各大学に一台運営管理車がついていますが、その他の車を含めて当日は30台くらい走っています。 

高橋 私は“緊急対応車1”という車にお医者さんと一緒に乗務をしています。脱水症状や低血糖など異変が起こった時に、選手の近くまで行ってお医者さんと一緒に判断したり、本松さんが乗っている大会本部車に連絡をしたりします。 

井桁 知らなかった! そんな大変な活動もしているんですね。 

高橋 緊急対応車は全部で3台走っていて、そのすべてに学連幹事が乗車しているんです。 

井桁 ご家族には「こういう車に乗ってるよ」と事前に伝えたりしましたか? 

高橋 はい、伝えました(笑)。 

本松 僕も一応、言いましたね(笑)。ただ、車の中では目の前で見えることだけではなく、各車両からの情報を集約し、テレビやラジオも活用してレース全体の展開をチェックしながら、とにかくトラブルが起こらないことだけを願っているのでそれどころじゃないのですが。 

井桁 確かに……視聴者と同じ目線では見られないですね! 

本松 それこそ日本テレビのアナウンサーさんの「大変です!」という声が聞こえたら、ピリッと緊張感が走ります。今年に関しては大きなトラブルもなく、選手たちが無事に大手町のフィニッシュに帰ってきてくれたので、すごくホッとしました。
関東学生陸上競技連盟の幹事長の本松貫太さん
常時笑顔の本松さん。その表情からも皆からの人望が伺えます!
井桁 今年の大会で、おふたりの目線から見えた印象的なシーンはありますか? 

本松 中央大学の吉居大和選手が区間記録を更新した1区です。前半から飛び出した時はドキドキしました。レースが一気に動くとカバーしなければいけないポイントが増えるので、一層気が引き締まりました。一見ドラマティックに見える場面も、僕たちにとっては緊張する場面になるんです。 

高橋 私はシード権争いが熾烈な7〜10位あたりを走行していましたが、監督たちの選手に対する熱い檄を間近で聞くことができたのは印象的でした。

井桁 それは思わずグッときてしまいます……! では、われわれ視聴者がテレビで観ることができる、学連幹事の活動は?

本松 コロナ禍になってからは各大学のスタッフに任せるようになりましたが、中継所に駆け込んでくる選手のタオル掛けをしたり、給水を渡したりしています。スタートやフィニッシュ地点にいる審判の横で順位の確認をしたりも。赤と黒のジャージを着ている人がいたら、それが学連幹事ですね。 

井桁 あ!フィニッシュテープを持っているのももしかして? 

本松 それも学連幹事です。
箱根駅伝のオリジナルグッズは毎年デザインを更新
学連のオリジナルグッズは大会ごとに更新されていくんです!
井桁 わー、私もやりたい! 争奪戦になりそうですね(笑)。練習とかするんですか?

本松 手を離すタイミングなども大事なので、当日に練習をしています。それこそテレビ映りを確認するために、フィニッシュ地点では日本テレビさんたちとリハーサルもします。その時は僕たちが選手の代わりにダミーでフィニッシュテープを切っているんです。なので、学連幹事が一番最初にフィニッシュテープを切ることに(笑)。 

井桁 すごい! 貴重な経験! 

本松 僕も1年生の時にやらせてもらいましたが、当時はコロナ禍前だったので沿道にお客さんもたくさんいまして。手を上げてノリノリでフィニッシュテープを切ったら、拍手をいただきました(笑)。

箱根駅伝に関わる大学生の存在を知ってほしい!

井桁 学連幹事に携わって感じるやりがいを教えてください! 

本松 社会人の方たちと一緒の目線でコミュニケーションを取りながら大会を作る経験は、本当に貴重だなと感じます。学生の立場で、なかなか経験できることではないですからね。 

井桁 本当にしっかりしているし、学生とは思えない貫禄がありますもんね! 

本松 それこそ名刺交換や電話対応、メールの打ち方まですべて先輩方に教えてもらいながら身につけるので、社会勉強になりました。 

高橋 大会でいろんな社会人の方とお話しする機会があるのですが、本松さんがいると自然と人が集まるというか。すごくその場が明るい雰囲気になるんです。誰からも慕われる先輩ですし、後輩としては勉強することばかりです。 

井桁 高橋さんは次の幹事長候補なんですよね! 

本松 高橋はいつも隣にいてくれて、僕が足りていない部分を遠慮なくズバッと指摘してくれるので、本当に助けてもらいました。コロナ禍という難しい状況下でも無事に大会を終えられたのは後輩たちのおかげ。高橋は次の幹事長候補としてビシッとみんなを引っ張っていってくれると思います。 

井桁 いいコンビですねー! 思わず胸が熱くなります。それでは最後に、箱根駅伝ファンにメッセージをお願いします。 

高橋 箱根駅伝は選手が主役ではありますが、各大学のマネージャーや私たちのような運営側の学生、さらには出場校に限らず、加盟校から多くの学生が走路員として従事してくれています。テレビでは見えないところでたくさんの学生が携わっているので、そのことを知っていただけたら嬉しいです。
関東学生陸上競技連盟の次期幹事長候補の高橋さん
次期幹事長候補としての意気込みはすでに万端の高橋さん
本松 去年と今年に関しては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために沿道での観戦をご遠慮いただきながら、テレビやラジオを通して応援いただけたことに本当に感謝しています。

僕自身、箱根駅伝は当たり前に開催されるものだと思っていましたが、この2年間、こんなにも開催することが難しいものなのかと実感しました。

2年後には節目となる100回大会も控えていますが、僕たちがおじいちゃん、おばあちゃんになっても当たり前に箱根駅伝が見られるように、これからも学連幹事の活動は継続していきます。引き続き箱根駅伝を愛してもらえたら嬉しいです! 

井桁 私も今回、皆さんの活動を知ることができてよかったですし、箱根駅伝を観戦する楽しみがまたひとつ増えました。これからも頑張ってください!
東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト
井桁さん衣装:ワンピース¥29700/UTS PR(ハチイチブランカ) イヤカフ¥16500・リング(人差し指)¥15400/ワームス ルミネ新宿店(ワームス) リング(薬指)¥17600/アテニア 
撮影/細谷悠美 ヘア&メイク/中村未幸 モデル/井桁弘恵 スタイリスト/内堀悠香 取材・文/松山梢 企画/渡辺真衣(MORE)