先日、下北沢のハーフムーンホールというアットホームなイベントスペースで上演されたパフォーマンスを観てきました。

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ちぇりきかく『崖の上水族館』

出演者は全員ダンサーながら、適材適所で才能が発揮され、台詞や踊り、時に歌も織り交ぜられた、ちょっとしたミュージカルのようでもある短編作品です。

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脚本を手がけるのは 河田唱子さん(もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡) 出下真紀さん(甘党プロデュース) のお二人。 Twitter上の河田さんの言葉をお借りすれば、 「水族館勤務で荒れる魚たちを癒すため自分の足をちぎり作った酒を飲ませるタコ、唯一の友は小さな白い魚、酒より直接足を食えば酔いがはやいと魚たちに襲われ殺されかけるタコは海にかえれば魚たちの荒れ果てた心も救われるはず、とお腹に魚たちを詰め込み、排水溝から海へ脱出しようとするが…という話」

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可愛らしい世界観からはちょっと想像できないような、実は切なく繊細なストーリー。 個人的には舞台女優を目指しながら魚達との日々を過ごしている水族館の飼育員の視点が最初に入ってきたので、観る人によって響く箇所や、物語への入りどころも違うのだろうなと思ったりもしました。

物語が進むにつれ、あれ、これは以前どこかで覚えた感覚だな思いながら観ていたのですが、終盤に思い出しました。 それはディズニーのピクサー映画『インサイド・ヘッド』。そもそもの切り口やポップでカラフル、個性豊かなキャラクター達に共通点を感じたところから始まったのが、観終わってストーリーが明らかになると、純粋にこの作品そのものが、ピクサーやディズニー映画が持つ魅力と同じものを持っているように感じました。

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◼︎子供から大人まで楽しめるエンターテイメント ◼︎観る人の経験や年齢によって受け取れるメッセージが異なる この二点がまさに当てはまる感じ。

子供は子供で物語に入り込めるし、大人には大人だから抱いてしまう気持ちがある。 色とりどりの衣装を纏ったキャラクター達もまた、ディズニーの世界を思わせます。最近のピクサーも政治的な意味が含まれていたり、なかなかメッセージが鋭いのでそんなところも似ているなと。飼育員が夢を諦めずオーディションを受け続けている点もアメリカらしい、でもそれを彼に言えなくて...というあたりは日本らしいなとも思ったり。

"大人向け"、"子供向け"、"玄人向け"、"一般向け"、ターゲットが明確な舞台作品も素敵ですが、家族で気軽に楽しめるような、理解力や価値観によって楽しみ方、感じ方の幅が広い作品は、エンターテイメントがより身近なものになっていくのに必要なものだと改めて感じました。

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物語が深いのはもちろん、要所要所に入るダンスナンバーはそのもののクオリティー、ダンサーのスキルや表現力の豊かさもこの作品の魅力!あっという間のひとときでした! もう終わってしまった公演ではありますが...第2弾があることを願っています☆

-------- ちぇりきかく 〜崖の上水族館〜 ☆館長 miotchery(Dance Company MKMDC) ☆従業員もしくはそこに棲息するモノたち 河田唱子(もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡) 出下真紀(甘党プロデュース) ---- 赤井捺美 / あつざわまり / 大隅あずさ / 末冨真由 / 巽徳子(Dance Company MKMDC) / 永咲友梨 / 増田ゆーこ / miotchery(Dance Company MKMDC) ---- 大上のの / 大久保有紗 / 岡野桃子 / 岡本和子 / 折原明歩 / 香取莉紗子 / 島田萌 / JURI / 高崎沙耶 / 中平恵瑠 / 横山由貴 舞台監督 藤本貴行 照明 秋庭颯雅(LITEMAGIC) 音響 永井佑典 企画・制作・宣伝美術 miotchery 制作協力 出下真紀 JURI 岡野桃子 香取莉紗子 --------

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