【小田原】自然×アートが融合する『江之浦測候所』へ、八木莉可子が行く。海を見渡せる絶景スポットも
MORE編集部
八木莉可子とめぐる、小田原深呼吸旅
東京駅から約1時間半。城下町のムードと海沿いの開放感が漂う小田原へ。癒されながら刺激をもらえるスポットに、八木さんと“こでかけ”してみました。
やぎ・りかこ●2001年7月7日生まれ、滋賀県出身。2015年にデビュー。Netflixドラマ『First Love 初恋』や、NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』など、話題作に多数出演
江之浦測候所で自然とアートの融合を感じる
小田原の風景×静寂の空間。悠久の時の流れを感じるひとときを
写真、建築、執筆など多岐にわたる分野において世界で活躍する現代美術家・杉本博司が構想10年、建築10年かけて制作した広大な敷地のランドスケープ「江之浦測候所」。自然やアートと一体になったような写真が撮れると話題の「夏至光遥拝100メートルギャラリー」や「冬至光遥拝隧道」をはじめ、茶室、ガラス舞台など圧巻の建築や作品が敷地内に。相模湾を眼下に見渡せる絶景の中、各所に点在する作品をゆったりと散策すれば、心を静められる贅沢な鑑賞時間に。
夏至光遥拝100メートルギャラリー
全長100メートルのギャラリーでは杉本博司の名作が一堂に
杉本氏は“古代人が自らの存在を確認する際、天空との関係を大事にしていたこと”に着目し、太陽の動きを観測できる作品を施設の随所に仕掛けている。「夏至光遥拝100メートルギャラリー」は、夏至の朝日がギャラリーにまっすぐ射し込むよう設計。彼の代表作「海景」シリーズを鑑賞できるので、どの海の作品なのか、想像をめぐらせながら鑑賞してみては?
冬至光遥拝隧道
刻々と変化するシースケープをトンネルの中から愛でる
冬至の太陽の軌道に合わせて作られた、全長が70mある「冬至光遥拝隧道」。冬至の朝には、相模湾から昇る陽光が鉄製のトンネルを貫き、対面して置かれた巨石を照らす仕組みになっている。天候や時間によって変化する、トンネルから見える海景はまるで絵画作品のよう。トンネルの途中には、中にガラスの破片が敷き詰められた「光井戸」を設置。雨の日に、天井から井戸に向かって雨粒が降り注ぐ様子を眺めるのもいい。
冬至の日の絶景
冬至の日には、実際にこの場所で日の出の鑑賞会を実施している。2023年は、11月から公式ウェブサイトで事前申込み、抽選制にて参加募集を開始予定。
茶室「雨聴天」へ続く庭園
茶の聖域へと続く露地を進むと現れるトタン屋根の茶室で“侘び寂び”を感じる
古墳時代を思わせる「石造鳥居」や、14世紀の朝鮮灯篭など、長い歴史を持つ美術品が、自然とその場に溶け込むように配置されている庭園。そこの中心にある茶室「雨聴天(うちょうてん)」は、侘び寂び精神を広めた千利休が、“侘び”の世界を伝えるために造った茶室「待庵」を再現しているもの。屋根には、かつてみかん畑だったこの地に残存する、みかん小屋の“サビ”たトタン屋根を再利用。雨の日には、トタンに響く音を聴けることからこの名がつけられた。
冬至光遥拝隧道の上にて
やぎちゃんのひとこと。
世界各地から取り寄せた、さまざまな素材で造られたアート空間は細部まで見逃せない! 特に「冬至光遥拝隧道」の上から望む圧巻の景色には、想像力を刺激されました。
明月門
長い歴史が刻まれた、重厚な門の先に広がる唯一無二の空間
室町時代に鎌倉の建長寺派明月院の正門として建てられた「明月門」。関東大震災で半壊後は、東京・南青山にある根津美術館の正門として使われていたが、2006年の建替えの際に「江之浦測候所」に寄贈された歴史あるもの。半分に割った竹を縦に並べて造られた塀や、江之浦測候所独自の紋章が入った瓦などを観察してみて。
江之浦測候所の全体像。壮大な敷地に52個もの建築やアートが点在する
アートを求めてちょっと遠出。時間を忘れて鑑賞することが身も心もリフレッシュさせてくれる。
「アート好きの親や祖父母に連れられて、小さい時から美術館にはよく足を運んでいました。地元の滋賀から、数時間で行ける京都や徳島までアートを観るために、日帰りで出かけることも。ショッピングや食を満喫する刺激的な旅ももちろん素敵ですが、自分をリセットしたい時や、上質なインプットをしたい時は、芸術に触れる旅が、ぴったりだと思います。日常をほんの少しだけ離れて、今日訪れた『江之浦測候所』のような場所で作品に没頭しながら、感じたり、アートの意味を考えてみたり……。そんな非日常の時間は心を解放させ、知的好奇心を満たしてくれる。だから、またいつか今日のような旅に出たいです」(八木さん)
■小田原文化財団 江之浦測候所
住所/神奈川県小田原市江之浦362の1
電話/0465-42-9170
営業時間/午前の部/10:00〜13:00、午後の部/13:30〜16:30(事前予約、入替え制)
休館日/火・水曜、年末年始、臨時休館日
HP/https://www.odawara-af.com/ja/
入館料/(ネット事前購入の場合)午前の部&午後の部各¥3300
撮影/嶌村吉祥丸 ヘア&メイク/池田奈穂 モデル/八木莉可子 スタイリスト/石田 綾 取材・原文/海渡理恵 ※MORE2023年11月号掲載