歩いて回れる&歴史を感じる犬島へ

遺跡を探検するような気分になれる『犬島精錬所美術館』や島内に次々と現れる『犬島「家プロジェクト」』など、個性的なスポットで人気の犬島。お散歩感覚ですべて回れるコンパクトさも魅力のひとつ。今回はそんな犬島旅おすすめの島の回り方をご紹介します。

『犬島チケットセンター』にまずは寄るべし

『犬島チケットセンター』外観

犬島港に到着するとすぐ左手に見える黒い建物。ここで犬島内のアートスポットの鑑賞チケットや、帰りのフェリーのチケットも購入できる。コインロッカーやショップも併設されているので、まずはここに立ち寄るのが基本の回り方。

『犬島チケットセンター』
住所/岡山県岡山市東区犬島327の4
電話/086-947-1112
営業時間/9:00〜17:00
休業日/『犬島精錬所美術館』に準ずる
HP/https://benesse-artsite.jp/art/seirensho.html

『犬島精錬所美術館』で歴史とアートを感じる

『犬島精錬所美術館』外観

写真/阿野太一

実際に1909年から1919年まで操業していた、銅の製錬所の廃炉跡を利用した珍しい美術館。約100年前から当時のまま残っている煙突やれんがから感じる歴史の厚みと、作家・三島由紀夫をモチーフとした作品たちの絶妙な空気感はほかでは味わえない趣が。

ヒーロー乾電池/イカロス・タワー

三島由紀夫が暮らした家で使われていた家財などがつり下げられた作品。煙突に抜ける風でそれらが揺れる様子はまさに異空間
柳 幸典「ヒーロー乾電池/イカロス・タワー」(2008) 写真/阿野太一

ヒーロー乾電池/イカロス・セル

鏡の配置により、入口で観た太陽の映像が、ジグザグと迷路のように進む通路の出口まで背後についてくる
柳 幸典「ヒーロー乾電池/イカロス・セル」(2008) 写真/阿野太一

『犬島精錬所美術館』
住所/岡山県岡山市東区犬島327の4
電話/086-947-1112
営業時間/9:00〜16:30(最終入館16:00)
休館日/3〜11月/火〜木曜、12〜2月/全休
HP/https://benesse-artsite.jp/art/seirensho.html
鑑賞料金/¥2100

『犬島「家プロジェクト」』を散策してみる

犬島「家プロジェクト」 I邸

『I邸』部屋の中で向かいあう3つの鏡により、2方向の窓からの景色を眺められる不思議な仕掛けが
I邸 オラファー・エリアソン「Self-loop」2015 写真/市川靖史

島内に点在する個性豊かな“小さな”ギャラリーたち

民家が立ち並ぶ中にポツポツと現れるアート作品を、すべて徒歩圏内で楽しめるのも犬島の魅力のひとつ。2010年から立ち上がった『犬島「家プロジェクト」』では、国内外の著名なアーティストたちが島の風景やエネルギーからインスピレーションを得た作品を展示。島の自然や生活を感じながらアートを楽しめる、貴重な体験を。

『F邸』

『F邸』日本を代表する現代美術家・名和晃平の複数の作品が展示。F邸裏の神社からのエネルギーを表現したという、ダイナミックな彫刻が印象的
F邸 名和晃平「Biota(Fauna/Flora)」2013

『C邸』

『C邸』かつて集会所だった場所に、人間よりも大きな切り花のような木製彫刻が佇む
C邸 半田真規「無題(C邸の花)」2019 写真/井上嘉和

『A邸』

『A邸』色彩豊かなカラーシートで描かれたカラフルなエネルギーを感じて
A邸 ベアトリス・ミリャーゼス「Yellow Flower Dream」2018

『石職人の家跡』

『石職人の家跡』石職人が住んでいた敷地に、ゴム素材でさまざまなモチーフが描かれている
石職人の家跡 淺井裕介「太古の声を聴くように、昨日の声を聴く」2013 写真/Takashi Homma

『S邸』

『S邸』大きさや焦点の異なる無数の円形レンズは圧巻
S邸 荒神明香「コンタクトレンズ」2013 写真/Takashi Homma

●すべて鑑賞料は『犬島精錬所美術館』と共通

撮影/高村瑞穂 ※MORE2023年11月号掲載