【石川県小松市】GEMBAモノヅクリエキスポ2023で【木桶作り体験&工房見学】
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No.409 岩井なな
こんにちは!MOREインフルエンサーズ、東京⇄富山の2拠点生活を送る取材・インタビューライターの【岩井なな】です♡
石川県の観光名所といえば金沢市を先に思い浮かべる人が多いかもしれませんが、小松市も熱いんです!
石川県小松市は、来年春に北陸新幹線が全線開通することによって、首都圏からさらに簡単にアクセスができるようになります。「魅力に溢れる小松に人が押し寄せる前に!」ということで、今回は小松市を訪れました。
2023年11月2日から4日までの5日間で行われている【GEMBAモノヅクリエキスポ2023】で、さまざまな工房でもの作りの現場を見学したり、実際にもの作りを体験したりしたのでその様子をレポートしていきます!
- 石川県小松市で開催【GEMBAモノヅクリエキスポ2023】ってどんなイベント?
- 1. 地味かっこよさがたまらない!木桶作り体験【U-frat工房】
- 2. お酒だけじゃない!コーヒーも美味しい【西出酒造】
- 3. 小松のお正月の伝統菓子「辻占」作り体験【長池彩華堂】
- 4. 九谷焼の土台はこうやって作られる!【二股製土所】
- 5. 小松から世界へ!ファッションオタクが憧れる【小倉織物】
- まとめ
石川県小松市で開催【GEMBAモノヅクリエキスポ2023】ってどんなイベント?
2023年3月16日(土曜)に北陸新幹線が石川県内全線開業します。石川県小松市では、新幹線小松駅誕生に向けて、国内外からの人々を迎え入れる準備を進めている真っ只中。
小松市には、石材、粘土、うつわ、繊維、機械などさまざまなもの作りの現場が広がっています。今年で3回目の開催を迎えた【GEMBAモノヅクリエキスポ2023】は、小松市内にあるもの作りの工房でお菓子作りやうつわ作りを実際に体験したり、普段は入れない現場を特別に見学したりできるというもの。
小松市交流推進部部長 山本ゆかりさんのお話によると「本物のよさを感じていただける人にきてほしい」とのことでした。
それほど、本気の・本物のもの作りを行っている工房や会社が小松市には多いということ。私も【GEMBAモノヅクリエキスポ2023】を通して、お菓子、うつわ、布など小松市で作られるあらゆるものに対する価値を肌で感じることができました。
1. 地味かっこよさがたまらない!木桶作り体験【U-frat工房】
まずは、小松市内の【U-frat(ゆーふらっと)工房】で木桶(きおけ)作りを体験!
木桶とは、文字通り木でできた桶のこと。近年は見る機会が減りましたが、温泉に行った際に設置してあると、その地味かっこよさにキュンとしてしまいます。
材料となる杉の木が適当な大きさに切られ、表面がかんなできれいに整えられた状態から木桶作り体験がスタート。
かんなを使った作業を少しだけ体験させてもらいましたが、刃の向きを考慮しつつ力加減を調整しながら木を削るのがとても難しかったです。
カットされた木を丸く並べて、タガという竹を円形に整えたものを外側にはめます。その後、タガをトンカチでたたきながら、丸く並べた木と木の間隔をきつく締めていく作業を行いました。
トンカチに力を込めながら、全体のバランスを見ながら進めるのは至難の業。職人さんの体力とセンスのバランスのよさを思い知りました。
最後は、かんなとやすりで木桶のふちを整えていきます。円のカーブに沿ってかんなを滑らせるにはかなりコツがいるよう。
丁寧に教えていただき、頭と体力をフル稼働しながら行っていると、少しずつ作業のコツや木桶の仕組みを理解することができました。
およそ1時間20分で、手作りの木桶が完成。杉のいい香りと独特のテクスチャー、質量、すべてが愛おしく感じられました。
U-frat工房の杉本さんは、普段は大工をメインにお仕事をされているそうです。県外に修行に行き、3年ほど前から小松市で木桶作りを始めました。
木桶の使い道は風呂桶としてだけではなく、自然の湿度調整機能を活かして玉ねぎなどの野菜を保存するとき、家庭でぬか漬けを作るときなど幅広い用途で使えることを教えてくださいました。薄く油を塗って使うと長持ちすることや、タガの部分はたわしを使って掃除するといいことなどもお話ししていただき、とても学びになりました。
2. お酒だけじゃない!コーヒーも美味しい【西出酒造】
小松市にある【西出酒造(にしでしゅぞう)】は、商品の企画から製造・販売までを行う、ほぼ家族経営の酒蔵です。大正2年創業と歴史は古いですが、新たな取り組みを積極的に行って地域活性化に貢献されています。
西出酒造では、お米を炊いたりこしたりする工程について説明をしていただいたり、完成したお酒を入れるタンクのすぐ側まで入らせていただいたりしました。
「木桶でお酒を作る酒蔵が減少している原因は、酒税による理由から」というお話が、とても印象に残りました。
酒税は、お酒の量に対してかかっています。そのため、作ったお酒の量を測りやすいステンレス製などのタンクが増えてきているそう。木桶は、下よりも上の方が円周が大きくなっている(テーパーがかかっている)ため、お酒の量を測りづらい、つまり酒税を正しく計算することが難しいのです。
ここでお話をうかがわなければ知り得なかった情報に、目から鱗が落ちました。
西出酒造は酒蔵の機能と店舗の機能どちらもを持っています。店舗では曜日限定でカフェをオープン。お酒を作るときに使用する超軟水を使って淹れたコーヒーをいただくことができます。
超軟水コーヒーとレモン風味の酒ケーキをいただきました。コーヒーは清らかな美味しさがたまらなくて、コーヒー好きの私にとって至高の1杯となりました。
さらに、西出酒造では併設の自宅で猫を4匹飼っています。お酒の商品名&ラベル、オリジナルグッズになったり、わざわざ会いにくる人がいるほどのアイドル猫!出会えるとラッキーです。
3. 小松のお正月の伝統菓子「辻占」作り体験【長池彩華堂】
石川県加賀(かが)地方にのみ伝わる「辻占(つじうら)」というお菓子を知っていますか?
小松市内の【長池彩華堂(ながいけさいかどう)】では、11月頃からお正月にかけて辻占を製造・販売しています。辻占は、お餅の生地を薄い三角形にスライスし、その中にメッセージが書かれた紙を包んだお菓子。加賀地方には、お正月の集まりで辻占をあけて遊ぶ風習があります。
長池彩華堂の工房に入ると、もち米の甘い香りが広がっていました。
三角柱の長いお餅をスライスする人、メッセージが書かれた紙をお餅に包む人などに分かれて黙々と作業をされているのが印象的。私たちもペーパーキャップとマスクをし作業する様子を間近で見学させていただきました。
私たちと会話しながら、手先を器用に使って辻占の形を作っていく様子は、まさに職人技!
GEMBAモノヅクリエキスポ2023では、辻占作りも体験させていただくことができました。
柔らかくて手にくっつきやすいお餅の生地に、きれいに紙を包むのは大変。辻占が可愛い形になることも考慮しながら、慎重に進めました。
作ってトレーに並べた辻占は、パッケージングしていただき完成!石川県小松市ならではの手作りのお土産を持って帰れることが嬉しく、とても特別な思い出になりました。
餅粉と砂糖というシンプルな原料で作られる辻占。すぐに食べると少し柔らかく、数週間経過してから食べると固くなっているとのこと。開けるのがもったいないので、もう少し眺めてからいただこうと思います。
長池彩華堂の工房と道を挟んで向かい側にある店舗では、お煎餅や大福を購入できます。
塩大福はふわもち食感の生地とあっさりあんこが相性抜群!忘れずに買って帰ってほしい逸品です。
4. 九谷焼の土台はこうやって作られる!【二股製土所】
石川県といえば、九谷焼が有名です。その九谷焼のベースとなる“土”を作っている【二股製土所(ふたまたせいどじょ)】の現場も、見学させていただくことができました。
かつては石川県に11ほどあった製土所も、現在は2軒のみとなりました。赤とんぼがたくさんとんでいるのどかな場所でご夫婦で営みながら、九谷焼作りを支えていらっしゃいます。
土をとってきて乾燥させ、細かいものとそうではないものとをわけ、粘土と調合をして…など工程の多さに驚きました。
普段は見ることができないような、大きくて複雑な機械を使って、九谷焼の土台となる素材に使える土をよっていきます。とってきた土の状態から九谷焼の土台になるまでは、約2週間かかります。
原料となる土をとってくるにしても、土壌が数十センチずれると土の性質がまったく異なるそう。土と粘土、そして水と向き合いながらお仕事をしておられるのが、真剣な眼差しから伝わってきました。
5. 小松から世界へ!ファッションオタクが憧れる【小倉織物】
新卒でアパレル業界に飛び込んだ私が、最も楽しみにしていたのが、石川県小松市から世界に通用する「シルクジャカード素材」を織っている【小倉織物】。
有名なハイブランドや、人気急上昇中の「マメ・クロゴウチ」「ザ・ノースフェイス」などでも、小倉織物で作られた素材が使用されています。
近年は社長の娘さん2人が先陣を切って、都内でのポップアップショップやクラウドファンディングなどを実施し、成功させることで小松市で作られる小倉織物の価値を伝えてきました。
この日も、ポップアップショップで出会ったというデザイナーのご婦人が、金沢から駆けつけていました。
ジャカード素材の織り機が実際に動いている様子を見せていただくことができました。
大きなボビンに驚きましたが、基本的なことは一般的なミシンと同じです。巻いた糸が緩まないように、画像の黄色いおもりで巻き具合を調整しているとのことでした。
たくさんの糸をかけて生地が編まれていきますが、糸が切れるとランプがついたり、そもそも糸の色を変えて細さの異なる糸を管理したりと、間違いがないようにさまざまな工夫がなされていることを初めて知りました。
織った生地に異物や他の繊維などが挟まっていないかを検品する作業の現場も。ルーペで見ていると、3mに1箇所ほど何かが見つかることがあるとのことでした。
何本にも太く巻かれた生地の量に対してのルーペの大きさを考えると果てしない作業ですが、欠かせない作業でもあります。
まとめ
小倉織物の社長の娘さんが、現場見学の直前にお話しされていた「これから現場を見ていただくと、これ(1着30万するジャカード素材の服)が高いか安いかがわかると思う。相応の価値があるとわかってもらえると思う。」というお言葉。
石川県小松市で参加したGEMBAモノヅクリエキスポ2023のどの現場でも、職人さんの手仕事や、物作りの工程を深く理解し機械を動かしていることなどに感動し、物の価値を強く感じることができました。
実際に頭を使って手を動かして体験するのが好きな人、普段は見られないような物作りの現場見学に興味がある人は、ぜひ来年の開催を楽しみに待って参加してみてはいかがでしょうか。私も次回も必ず参加して、まだ見ぬ小松の魅力を発見したいと思います!