2021年MORE8月号掲載企画から、インタビュー記事をお届けします。
2021年MORE8月号掲載企画インタビュー、伊藤千晃
いとう・ちあき●1987年1月10日生まれ、愛知県出身。2017年、AAAを卒業。2018年よりソロ活動を開始。アーティスト、モデル、タレントとして多方面で活躍。マルチな才能を生かし、ライフスタイルブランド『KIKI AND DAYS』のディレクターも務める

自分にも周りにもたくさんの愛をこめて優しく。そんな日々が今、心地よい。

アーティストという主軸を大切にしながら多方面で精力的に活動し、1児の母としても奮闘中の伊藤さん。そんな彼女が手がけたアルバム『sheer』。リード曲『Merry GoRound』は、戸惑いの多いこの時代に生きる私たちに語りかけるようなフレーズが印象的に耳に残る。

伊藤さん「たとえ輝いて見える人だって、生きていく価値を探すために無理をしたり、人と比べたり、それぞれの悩みを抱えているもの。でも、“変われない自分でもいいじゃん!”って私は思うんです。歌詞にこめたのは、そんな想い。以前は苦手なことにも“ポジティブに向きあって前に進まなきゃ”って思っていて、前作のアルバム『B e 』はまさにそれがテーマでした。でも、もはやその感じを訴えかけられること自体私自身も重く感じてしまう。努力して夢を叶えなきゃって必死に生きてきたけれど、できないことをできないと言えるようになってからは楽になれた。ダメな自分でも自分が心地よければそれでいい。“自分のための人生なんだから気楽にいこうよ!”というスタンスに。それでもみんな、十分周りに気を使って生きているし、誤った選択をしたら周りがきっと指摘してくれるはずだから。自分くらいは自分に優しく。そんな気持ちです。たとえば私ならお料理。ずっとうまくなりたいなと思っていたけれど、そもそも得意ではないので、背伸びするのをやめました(笑)」
そうして自分に優しくなったことで得たのは「早寝早起きが得意になったこと」だという。

伊藤さん「20代の頃は夜中まで起きて仕事などをしているのが普通だったけれど、すべてに対して無理をするのをやめ、子育て優先の生活をするように。最近では、朝5時に起きることも。早寝なので、夜に来た仕事の連絡を翌朝早くに確認して、うっかりスタッフさんにメールを送信。それでみんなを起こしてしまうという申し訳ない失敗もありました(笑)」

規則正しい生活を豊かな気持ちで楽しんでいる伊藤さん。それでも気持ちの整理がつかない時は?

伊藤さん「私は一日5分でも10分でもいいから“読書する時間”を持つことで、救われることが多いんです。焦った時や心のよりどころが見つからない時に、ピンとくる本のタイトルを見つけて手に取ってみる。そうすると、忘れていた言葉が飛び込んできて、もやもやが晴れたり、自分なりの幸せのあり方が見つかったり。読書という行為自体が、心も生活も潤わせてくれるもの。今は、ひろゆきさんの『1%の努力』を読んでいます」

『sheer』

『sheer』ジャケ写
構想から携わった、1年半ぶりとなるミニアルバム。タイトルの『sheer』にこめられたさまざまな思いを、本人とつながりの深いクリエーターたちが、それぞれの解釈で制作した新曲4曲を含む全7曲入り。●発売中 通常盤(CD+DVD)¥5500/avex trax
撮影/Nobuko Baba(SIGNO) ヘア&メイク/松永奈巳 スタイリスト/Hideaki Tatematsu(TEN10) 取材・原文/通山奈津子 構成/加藤朋子(MORE)