デジタルだからこそ、読書の幅が拡がった!

モアの連載をまとめたデジタルエッセイ『恋愛名言博物館』をリリースした作家・ブロガーのはあちゅうさん。40周年を迎えたモアの歴史の中でも、本誌連載がデジタルのみでリリースされることは初めてのこと! まだまだデジタルブックを読んだことのない女子も多いなか、紙とウェブを横断して活躍する彼女はどんな風にデジタルブックと付き合っているのか? また、モア世代の働く女子のデジタルブックの上手な活用法についてなど、いろいろ聞いてみました。

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(撮影/岩城悠哉)

――まず、デジタルブックを読むようになったきっかけを教えてください。 「Kindleのアプリがスマホで使えるようになったことですね。当時はまだ会社員で、満員の通勤電車だと本を開いているだけでいやな顔をされていたし、バッグには常に2、3冊紙の本をいれて持ち歩く生活だったので、読書は大好きだけどつらかったんです。そこで、最初にKindleのランキングで無料のデジタルブックを試してみたら、すごく便利で! たとえば、印象に残った文章には、カラーマーカーをつけることができるし、とにかくスマホで読めるので軽いし、スキマ時間を有効に使えるようになりましたね」 ――紙の本とデジタルブックの使い分けってなにかあるのですか? 「何度も読み返したい小説などは紙で、ビジネス書で注目されている本など、空き時間にまとめて読みたい本や、マンガなどはデジタルが多いですね。マンガは全巻まとめ買いできる作品も多いし、読むスピードも速いのでデジタルとの相性がいいんですよ。 ただし、明確な使い分けはなく、書店に買いにいけない時間とか、早く読みたいものなどはまずKindleで買うことが多いです。最近だと紗倉まなさんの小説は、最初デジタルで買ったのですが、すばらしかったので紙の本をすぐ買い直しましたし」 ――デジタルブックに出合って変わったことはありますか? 「読書の幅が確実に拡がりましたね。以前はマンガはあまり読まなかったんですが、デジタルブックのおかげで読むようになったんです。マンガは冊数がある作品も多いので、自宅に保管したり移動時に持っていって読むのも大変なので。マキヒロチさんの『いつかティファニーで朝食を』や、東村アキ子さんの『東京タラレバ娘』や『ママはテンパリスト』、学生時代に読んだ『花より男子』も全巻まとめて買ったりしてます。あと、男性マンガもよく買うようになりました。最近買ったもので一番おすすめなのは『エリートヤンキー三郎』(笑)。男性マンガを書店で買いづらい女子も多いでしょうから、そういうところもデジタルは便利ですよね」

活躍している人たちは、とにかく本を読んでいる!

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「平均すると1日1冊以上はデジタルの本を購入していますね」というはあちゅうさんのKindleアプリを見せてもらいました!

――しかし、作家として小説やエッセイの執筆、各種メディアでの出演や取材などなど多忙な日々でもやはり読書の時間は欠かせないんですね。 「本が大好きなんです。スキマ時間はほぼ読書にあてていますし、たとえばツイッターなどSNSで誰かがおすすめしている本とか、気になった作品はまず買うので、平均すると間違いなく1日1冊以上は購入していますね。もともとKindle以外でもアマゾンをよく使うので、そのポイントも使えるしとってもオトクなんです。 新幹線や電車での移動中はもちろん、自宅での執筆中でも、書く気分があがらないときにほかの人の文章を読むとやる気がでるので、さっとデジタルブックを読んだり。私は何冊か併読するほうがよいタイプなので、その意味でも、たくさんの本をひとつのスマホで持てるデジタルブックはいいんです」 ――お話をうかがっていると、本当にいいことが多いのですね。では、まだデジタルブックを使ったことのない同世代女子にアドバイスをするなら? 「とにかくスマホだけで購入から保管、読書まで完結できるのは本当に便利です。たとえば、 あるツイッターやブログに気になる本の情報が流れてきたとき、そこから数回クリックすればもう購入できて読むことができる。また昔の本や書店で探すのが難しい作品にも触れることができる。本を読んでいて気になることがあれば、ウェブで検索もできる。私のようにブログを書く人なら、心に残った言葉や文章をマーキングしておけば、コピーしてくれるので引用もすぐできる。使うとすぐ慣れるので無料のものから一度試してみてほしいです。 本当におすすめなので、私は自分のツイッターなどで、よく期間限定の無料作品情報をシェアしているんです。興味を持って体験してくれる人がひとりでも増えてくれるといいな、と思って。かつては、どちらかいえば読書は”孤独な体験”でした。いまは、ウェブやSNSで本の情報をシェアしたり、本のレビューを書いている方を可視化できたりするので、みんなの本棚が見えるというか読書が”共通の体験”になってもいるんですよね。 いろんな分野で活躍している方たちはやっぱり本をたくさん読んでいるんですよ。本を読んでいるからこそ語彙力があがり、語彙力があがるから、会話にも文章にも説得力が増すんだなと実感しています」

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今まで読まなかった本や買いづらかった本とも出合えるのも、デジタルだからこそ! はあちゅうさんなら、大人気男子マンガ『エリートヤンキー三郎』はそのひとつ。

伝えたかったのは、「恋愛って楽しい!」ということ

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――今回、モアの連載をまとめた『恋愛名言博物館』をデジタルブックでリリースしてみてどうでしたか? 「感想としては、やはり本の製作開始から発売までの期間がすごく短いのが気持ちよかったですね。また、私はSNSを使っているので、デジタルだと宣伝もしやすいですし、価格も当然、紙に比べるとかなり安価なので読者の方も購入しやすくていいですよね」 ――この本は、はあちゅうさんの周りでリアルにあった恋愛の名言を集めたエッセイ集になっています。女性の言葉もあれば、男性の言葉もあり、笑える言葉もあれば、なるほど!と納得する言葉まで実にさまざまな言葉がありますが、改めて、この本に込めた想いを教えてください。 「『恋愛って楽しい!』ことですね。社会的な立場がある人でも、ふだんはカッコつけている人でも、こと恋愛になると、愛らしい言葉や恥ずかしい言葉を言っているんです。だから、『みんな恥ずかしくないんだよ。それが恋愛の楽しさなんだよ』ということを一番伝えたかった。 名言に値する言葉を探すのは難しかったけれど、ひとつ名言が見つかると、この言葉のどこに興味をもったのか、どこが面白いのかを分析していく作業も楽しかったです。まわりの人の言葉に敏感になって、日常が宝探しになっていました。よく、ツイッターとかで友人の面白い話をシェアすると『はあちゅうさんのまわりには面白い人が多くていいですね』と言われるんですが、実はそうじゃなくて、みんな気づいてないだけなんだよ、と思うんです。この本には『みんなのまわりにある名言に気づいてないだけかもよ。それを面白い!とキャッチするアンテナも大切にしてね』というメッセージも込められていますね」 ――では最後に。本では取り上げなかった、はあちゅうさん自身の恋愛での名言ってなにかありますか? 「いろいろあるんですけど、『俺、カッコいいと自分で思ったことがなかったんだよね……』と言われた言葉は思い出に残っています。かつての彼の言葉なんですが、私は彼のことを本当にイケメンでカッコいいと思っていたので、写真集が作れるくらい毎日写真を撮っては、『カッコいい! カッコいい!』と伝えていたんです。 でも、実は彼には”自分はカッコよくない”というコンプレックスがあったみたいで。『俺、本当に自分のことをカッコいいと思ったことがなかったけど、毎日そう言われたから、街を歩くときも自信がもてるようになったよ』と言ってくれて。自分が意識せずに言っていた言葉で相手が自信をもってくれたのがうれしかった。実は心で思っていても、言葉として伝えない人も多いみたいなんですよね。でも『カッコいい!』とか『ありがとう!』とか『大好き!』を口にして伝えることが、相手にとっては本当にうれしくて心に残る言葉になるんだな、と実感することができましたね。 名言って別に特別な言葉じゃなくて『その人にとっての名言』でいいと思うんです。そういう『なんでもない一言が、名言に思える』エピソードが今回の本の中にはたくさん載っているので読んでもらえると嬉しいです」

(プロフィール) はあちゅう/ブロガー・作家。慶應義塾大学法学部卒。電通コピーライター、トレンダーズを経てフリーに。「ネット時代の新たな作家」をスローガンに、ネットと紙を中心に媒体を横断した発信を続ける。著作に「半径5メートルの野望」(講談社)など。月額課金制個人マガジン「月刊はあちゅう」が好評。趣味は読書と旅先での可愛いもの採集。インスタグラム・ツイッター:@ha_chu

MORE digital book 「はあちゅうの恋愛名言博物館」

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『MORE』2015年1月号~2017年3月号での好評連載「はあちゅうの恋の名言博物館」が、加筆修正されモア初のデジタルブックに! 「どんな人でも、恋愛シーンにおいては、必ずひとつやふたつの名言を残します。(中略)どんな言葉も、誰かの真剣な人生の一部。ひとつの名言の裏には、膨大な量のストーリーがあるということをたまに思い出しながら、じっくりと鑑賞していただければうれしいです」(「はじめに」より) 小説家・エッセイスト・ブロガーとして、縦横無尽に活躍する「はあちゅう」さんが、様々なシーンを通じて“採集”した、男女の恋愛に関するリアルな名言(迷言)について分析。きっとあなたも恋したくなる、楽しくて、笑えて、でもタメになる27の恋のエッセイ集。

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