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人生のクライマックスが楽しみになる!? 破天荒な老夫婦のロードムービー『ロング,ロングバケーション』

老後なんてまだまだ先。そう思っている人にとってはちょっぴり早いかもしれないけれど、だまされたと思ってぜひ観てもらいたい作品をご紹介。ボストンからスタートし、アメリカ最南端のフロリダ・キーウェストを目指して珍道中を繰り広げる、老夫婦の破天荒な旅を描いたロードムービーです。運転を担当する夫のジョンは、現実と妄想の間をのらりくらりと行き来する認知症。そして妻のエラは末期がんという、旅をしている場合ではないふたりが主人公。当然、入院させるつもりだった子供たちはふたりの突然の失踪にパニックに陥ります。

周囲の心配とは裏腹に、旅するふたりはなんとも楽しそう。蛇行運転をして警察官に呼び止められたり、ナイフを持った若者に襲われたりするハプニングが起こるものの、エラは「こんな冒険の旅は初めて」と笑い飛ばします。映画を貫くトーンはカラッと晴れたフロリダの空のように明るいけれど、もちろん、若く健康的なカップルの物語では決して描かれない現実も。老いによって数々の失態をおかしたり、ジョンの記憶の混乱によって墓場まで持っていく予定だった過去が明らかになるなど、観ていてせつなくなる出来事に次々直面します。それでも見て見ぬふりをせず、怒りをぶつけたり、嫉妬したり、絶望したりしながら、真正面から向きあって乗り越えていくふたりの姿に、半世紀以上共に過ごしたパートナーの絆の深さを痛感させられました。

ジョンを演じたのは、本年度のアカデミー名誉賞を受賞したドナルド・サザーランド。そして妻のエラを演じたのは、アカデミー賞に4度ノミネートされ、『クイーン』で主演女優賞を獲得したヘレン・ミレン。ふたりのレジェンドが夫婦役を演じているだけでも観る価値アリ! 老いることは恐いことのように思うけれど、こんな風にいくつになっても自分で人生のハンドルを握り、生きることを貪欲に楽しむことができたら。そして、愛する誰かと明るく、華やかに人生のエンディングを迎えられたら。やみくもに恐いと思っていた人生の終わりも、なんだか楽しみに思えてくるから不思議です。ちなみに、どんな映画よりも滑稽でチャーミングで美しく、そしてせつないラブシーンも必見! ギュッと胸がしめつけられるはず。

(文/松山梢)

●TOHOシネマズ日本橋他にて公開中

© 2017 Indiana Production S.P.A.

映画『ロング,ロングバケーション』公式サイト


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