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今、MORE世代女子にじわじわと広がる和ブーム。6月号の「和ガール」特集では、相撲や落語、歌舞伎などにハマる女子たちとその魅力を紹介しましたが、まだまだあります、 おすすめが! その一つが和太鼓。大地を震わせ、肚の奥に直接響くそのリズムに、日本人なら血が騒ぐこと間違いなし! そんな和太鼓に演劇的な要素も取り入れ、日本のみならず世界の舞台で高い評価を得ている注目の集団、それが『鼓童』(こどう)なんです。今回はその本拠地・佐渡島から、新作に向けて稽古にはげむ若手イケメンメンバー3人のインタビューをお届けします!(前半から続く)

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インタビューに応じてくださったのは、こちらの3人。右から漆久保晃佑(うるしくぼ こうすけ)さん、坂本雅幸(さかもと まさゆき)さん、住吉佑太(すみよし ゆうた)さん。みなさん、MORE世代!

「邦楽なんて聞いたことなかったし、カッコ悪いイメージもありました」

MORE/ここからは、みなさんが鼓童に入ったきっかけや、修行時代のお話を伺いたいと思います。 漆久保/高校時代に兄が和太鼓部に所属していて、その影響で笛を始めたんです。そんな時に見た鼓童の公演に魅せられて、「この人たちに混じって演奏したい!」と。旅好きなので、全国や海外を公演で回るのも魅力でした。見たことのない景色を見て、現地の人たちに喜んでもらえるなんて最高だと思ったんです。 M/坂本さんは? 坂本/ドラムをやりたいと言ったら、親戚のおじさんが「それなら和太鼓をやってみれば?」と。 M/ドラムと和太鼓、だいぶ違いますよね! 坂/バンドでドラムもやりつつ、地元の和太鼓部にも入りました。邦楽なんて聞いたこともなかったし、最初は古いとかカッコ悪いイメージがあったんですが。やはり高校生のときに鼓童の公演を見て衝撃を受けたのが、この道に進んだきっかけです。 M/住吉さんはいかがですか? 住吉/小学生のとき地元に太鼓チームができて、友達につられて始めたんですが、どっぷりはまってしまいました。小3のときに鼓童の公演を見て、「太鼓を仕事にできるんだ。これだ!」と。それ以来、まっすぐにきたタイプです(笑)。

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(上・下)坂本雅幸さん
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3人とも、鼓童の公演に感銘を受け、高校卒業後すぐに研修所に入った生え抜き。ただその研修所、今どき携帯もテレビもお酒も、男女交際も禁止だそう! M/研修所での2年間の共同生活、振り返っていかがでしたか? 住/ひたすら眠かったです(笑)。というのは冗談ですが。5時前に起きて、まず体操、稽古場の雑巾がけ、10キロランニング。あとは23時ごろ寝るまでずっと稽古です。 漆/稽古は太鼓だけでなく、茶道、舞踊、お能なども一通りやります。食事も当番制で、すべて自分たちで作ります。 M/太鼓のバチはもちろん、お箸まで自分たちで作るとか? 住/まず最初に箸を作らないと、ごはんが食べられないので。 漆/世間で起きていることが全然わからないんですよ。唯一の情報源である新聞も二日遅れで届くから、台風がきていることすらわからない! 坂/そういえば、いつのまにか翌日の天気がわかるようになりました。野生のカンで(笑)。

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(上・下)住吉佑太さん
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研修所時代、恋愛は……「なかったです!」

M/その生活が2年間。嫌になったり、逃げ出したくなったことは? 坂/意外とないです。太鼓だけに集中できる2年間というのは、今思えばすごく貴重な時間だったなと。そう思えるようになったのは最近ですが。 住/さすがに戻りたくはないですが(笑)。でももっとキャリアを積んだら、もう一回そういう時間が欲しいと思うかもしれない。 M/女性メンバーも生活は一緒だそうですが、恋愛は本当に......? 全員/......なかったです! M/研修所を出るときは、すごい開放感を味わったのでは。 住/というより、浦島太郎状態です。ぼくの2年間は、ちょうどスマホが登場してツイッターなどが流行りだした時期。研修所に入る前はガラケーしかなかったので、“スマホ”はただの機種名だと思っていたくらい(笑)。別世界でした。 漆/僕はお笑い芸人がぜんぜんわからなかった。村の人たちと忘年会をやったんですが、流行っている芸人のモノマネを見せられても「は?」って。 坂/フェリーに乗った瞬間は、「よっしゃ、帰れる!」とテンション上がりました! でも眠たすぎて、乗ってすぐ寝ちゃいましたけど(笑)。

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(上・下)漆久保晃佑さん
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「自分に責任を持つ。それが舞台につながり、自分への評価につながります」

そんな研修所を卒業しても、鼓童に入れる人は実は少数。その狭き門をくぐって晴れてメンバーになった3人。 M/とはいえ、メンバーになってからもお稽古は厳しいですよね? 住/プロとして自分で自分に責任を持たなければいけないので、そういう厳しさはあります。それが信用につながり、舞台につながり、自分への評価にもつながるので。メンバーもみんな仲良しですが、ライバルでもありますから。 M/やはりみなさん、ライバル同士ですか? 漆/演奏者として、自分にないものを持っている人は素直にすごいと思います。 坂/ライバルといっても、ギスギスした感じはまったくないですよ! 華がある人も、地味だけど一生懸命やってる人も、いろいろな人がいて成り立っているので。 住/研修所の過酷な2年間を耐え抜いてきたファミリーという意識はあります。お酒飲んで太鼓の話なんて、他の人とはできませんし(笑)。素敵な仲間の集まりですよ。

本当に仲がよさそうな3人。MORE世代の男子らしい素顔を垣間見せながらも、厳しい修行で培われた自信とプロ意識がビシビシ伝わってきます。 M/最後に、MORE読者に鼓童をPRしていただけますか? 漆/太鼓は生で聴くほうが絶対いい! 音楽として耳で聴くだけでなく、打つ人の姿から内面までが伝わってくるものなので。ぜひ聴きにきてください! 坂/裸で太鼓を打ったりするので、ちょっと気持ち悪い……と思うかもしれませんが(笑)、意外と爽やかだしスタイリッシュです! 太鼓ってシンプルな分、肉体性と人間性をストレートに感じてもらうものだと思うので、ぜひ体感してほしいですね。 住/もっと日本を見直そう!と、女性に限らず同世代のみなさんに伝えたいです。世界に比べてまったく引けを取らない日本の文化を、もっともっと「かっこいい!」と思わせたいですね。 M/どうもありがとうございました。今後のご活躍を楽しみにしています!

●鼓童『打男DADAN 2015』(6月東京・浅草公演)
●鼓童『ワン・アース・ツアー2015 〜永遠』(6〜7月、9〜10月国内ツアー)

↓↓インタビューの前編はコチラ!

【インタビュー】太鼓芸能集団『鼓童』にハマれ!(前編)
写真/岡本隆史 (インタビュー写真/MORE編集部)