「大人」とは? その本当の意味を教えてくれる映画『ヤング・アダルト・ニューヨーク』

「大人」とは? その本当の意味を教えてくれる映画『ヤング・アダルト・ニューヨーク』_1
『イカとクジラ』や『フランシス・ハ』など、ちょっとダメな登場人物たちを鋭い観察眼で皮肉たっぷりに描いてきた注目の映画監督、ノア・バームバックの最新作です。ニューヨークのブルックリンに暮らすドキュメンタリー映画監督のジョシュと妻コーネリアは40代のカップル。ある日、映画監督志望のジェイミーとその妻ダービーと知り合い、常識にとらわれずに自由に生きる20代の彼らから刺激を受けます。若者と共に過ごすうち、物足りなさを感じていた日常が一変していくのを感じるジョシュたち。ところが、ジェイミーがジョシュに近寄ったのには、ある思いがけない理由がありました……。

20代のセンスに影響を受け、似合わないハットを被ったりヒップホップのダンスを始めたり怪しいパーティに参加したりする40代の必死さはかなりイタいのですが、主人公と近い年代ほど「時代遅れのダサい大人になりたくない」と思う己の欲望とリンクして傷つく本作。20代のモア読者は彼らを大いに笑っていただいてOKなのですが、実はミドルエイジじゃないと共感できないわけではないのがおもしろいところ。なぜなら、「30歳までに〜しなきゃ」とか「先輩らしさを見せたい」など、20代だって自分の理想や見え方、ルールを決めつけ、無自覚に首をしめていることがあるはずだから。

40代のジョシュとコーネリアは、子作りを強く勧める同年代の友人にうんざりして「私たちは子どもを作らないと決めた」と宣言したり、20代とフランクに付き合えることこそが寛容なイケてる大人だと信じています。ところがその裏には、“努力したけど子どもができなかった”という傷ついた過去や、“尊敬してくれる弟子が欲しい”という下心を隠しているのです。理想とかけ離れた現状や幼いメンタルと本気で向き合ったら、そりゃあ傷つきます。それでも、自分を肯定するために表面的に繕っていてはいつまでもジョシュのように“イタい大人”のまま。治りにくくなった傷も付きやすくなった贅肉も大人になりきれない自分も全部素直に受け入れることこそが、本当の意味で大人になることだと教えてくれます。シニカルだけど温かい、極上の大人のコメディを堪能してみて。

(文/松山梢)

●7月22日(金)よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国ロードショー

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