娘の一番の味方は、いつだって母親。2組の母娘が人生の先輩後輩として向き合う『古都』

娘の一番の味方は、いつだって母親。2組の母娘が人生の先輩後輩として向き合う『古都』_1
美しい京都の街を舞台に、生き別れた双子の姉妹の数奇な運命を描いた川端康成の名作「古都」。これまで1963年に岩下志麻、1980年に山口百恵の主演で2度映画化されてきましたが、本作は原作のその後を描いた現代の物語。20年前に生き別れ、その後母親になった双子の姉妹を松雪泰子が1人2役で演じ、橋本愛と成海璃子がそれぞれの娘を凛とした美しさで演じています。

舞台は京都とパリ。伝統の継承に生涯を捧げる呉服屋の千重子(松雪)は、娘の舞(橋本)に店を継がせるつもりだったものの、舞は自分が本当は何を成し遂げたいのかに悩み、抵抗する。一方、北山杉で林業を営む苗子(松雪)は、画家を志す娘の結衣(成海)をパリに送り出したが、結衣は異国の地で自分の才能に疑問を持ち、誰にも相談できずに苦しんでいた。千重子と苗子は、娘のために何をしてやれるかを自分に問いかける……。

母親と娘は精神的な距離の近さ故に、結託すれば最強に、衝突すれば手に負えない溝を作ることもあるもの。この作品でも、娘のためを思って取った行動が逆に娘を追いつめたり、期待をかけられているからこそ母に悩みを打ち明けられなかったり、2組の母娘の葛藤が静かに描かれます。それでも、結局最後に娘を救うのも、母親。同じ女性として生まれ、同じような悩みに直面したことのある人生の先輩だからこそ、娘を救うことのできる圧倒的な包容力と言葉の説得力は“偉大”のひと言。母が自分と同じ年の頃、何を思い、何に悩んでいたのか。普段は恥ずかしくて話せないことも無性に聞きたくなる作品です。人が人と出会うことの奇跡を再認識する、ラストに流れる名曲「糸」も泣けます!

(文/松山梢)

●12/3〜全国ロードショー

©公益財団法人川端康成記念會/古都プロジェクト

Ranking