ガンコ親父の過去に隠された感動の愛のドラマとは!?  スウェーデンで大ヒットした映画『幸せなひとりぼっち』

ガンコ親父の過去に隠された感動の愛のドラマとは!?  スウェーデンで大ヒットした映画『幸せなひとりぼっち』_1
昨年のクリスマスに本国スウェーデンで公開されると、160万人を超える動員を記録しスウェーデン映画史上歴代3位となる興行成績を樹立した作品です。主人公であるひとりぼっちの老人オーヴェは、とにかくガンコで無愛想な変わり者。ルールや規律に厳しく常に近所の人たちの行動に目を光らせ、ちょっとでも違反をしようものなら誰彼かまわず怒鳴り散らす始末。見ているだけでとにかく胃が痛くなる、強烈なキャラクターなのです。なぜこんな可愛げのない主人公の映画がヒットしたのかと言うと、オーヴェのキャラはスウェーデンの古典的な男らしさを象徴しているから。

その証拠に、作家のフレドリック・バックマンは父親と買い物に行ったときの口論の様子をブログに投稿したところ、読者から「まるで自分の父親そっくり」とコメントが寄せられ、これがキッカケとなって原作小説を書き始めたそうです。昭和のガンコ親父的な概念が、スウェーデンにもあるとは驚きです。そもそもなぜオーヴェがなぜいつも不機嫌なのかと言うと、長年連れ添った妻が亡くなったことで人生に絶望していたから。映画では徐々にこれまでの人生も描かれていき、実は優しく正直な性格だったこと、そして妻との強く結ばれた絆のドラマが明らかになり、憎らしいキャラも愛らしく見えてくるから不思議です。

妻の墓の前で「すぐにそっちに行くよ」と語りかけ、毎日自殺を試みるのにご近所トラブルで断念せざるを得ないオーヴェの日常はブラックなユーモアに満ちていますが、そんな生活に変化が訪れるのは、隣に越してきた移民女性とその家族との出会い。怒鳴られても邪険にされてもめげずに頼ってくる隣人の人なつっこさが、徐々に頑なだったオーヴェの心を溶かしていきます。人は決してひとりぼっちでは生きられないというリアルを、優しく、時にシュールに描いた良作。生きる希望を失うのも、再び取り戻すのも、人との出会いだということを教えてくれます。

(文/松山梢)

●12/17〜新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー

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