心にしみる“かき氷”の甘さ。映画『海のふた』

心にしみる“かき氷”の甘さ。映画『海のふた』_1
仕事が忙しかったり恋愛で頭がいっぱいのときは毎日が慌ただしく過ぎていくものですが、ふと立ち止まって自分自身を見つめ直す瞬間が、人にはときどき訪れますよね。そのきっかけは、誰かとの会話だったり偶然手にした本だったりいろいろ。映画がきっかけを与えてくれることもあります。『海のふた』はまさにそんな映画で、自分が本当にやりたいことって何だろう? いま私は幸せかな? と、考えさせてくれます。

原作はよしもとばななの同名小説。都会からふるさとの西伊豆の小さな街に帰ってきた主人公まり(菊池亜希子)が、閑散とした町で小さなかき氷屋さんをはじめるお話です。ものすごく悲しい過去があるとか、お店をオープンするのに大きな問題が立ちはだかるとかこれといった事件はなく、あると言えば、とある理由でまりの家にはじめちゃん(三根梓)がしばらく滞在する出来事ぐらい。そういう穏やかな日々だからこそ、些細なことが見えてくる。まりの気持ち、はじめちゃんの気持ちが、「あぁ、何となくわかるなぁ」と自分に自然と重なってきます。そして心に浮かぶのは、私はどうだろう? という問いかけ。でも、たとえ答えが出なかったとしても、今の自分を見つめることに意味があって、ほんの少し背中を押してくれる。とってもあたたかい映画です。

もうひとつ見どころなのは、最近雑誌でも特集が組まれるなど、何かと話題のかき氷が登場すること。まりが作るかき氷はシンプルで、こだわりがあって、美味しそう! 映画を観終わった後は間違いなくかき氷、食べたくなります!

(文/新谷里映)

●7/18〜新宿武蔵野館ほか

ⓒ2015 よしもとばなな/『海のふた』製作委員会

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