別れは寂しいだけじゃない。『出会いなおし』 森 絵都

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「再会」ではなく、「出会いなおし」。この違いは、大きい。「再会」には、もう一度会えたという純粋な喜びがにじむけれど、「出会いなおし」には、もう一度“出会う”までの道のりや、また訪れるかもしれない別れが見え隠れして、ハッと胸をつかれるからかもしれない。 お互い変化変貌しながらの出会いなおし、運命の相手との出会いなおし、“救世主”との出会いなおし、忘れえなかった過去との出会いなおし……。ある日突然、ときに時空を超えて起こる出会いなおしが詰まった6編に触れると、「だから人生って面白いんだよな」とつぶやかずにはいられない。出会いなおしの数だけ人生の引出しが増えるのでは、とさえ思える。望むと望まざるとにかかわらず、別れがあるからこそ出会いなおせる――そう考えれば、今まで踏み出せなかった一歩も怖くなくなるはず。(文藝春秋 ¥1400)

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