有力校の戦力と監督の本音がわかった! 大盛り上がりの「箱根駅伝 監督トークバトル」レポート【モア的箱根駅伝ガイド】

監督同士がストレートに戦略を語る、例年にない展開に!

 箱根駅伝のチームエントリーが行われた12月10日。前回大会の上位5校の監督が出席する「箱根駅伝 監督トークバトル」が都内で開催されました。チームの今の状況を知ることができ、また個性あふれる監督たちの魅力もわかる貴重な機会としてファンからも大人気のイベントなんです。毎年このトークバトルを取材しているイラストレーター進藤やす子さんがレポートします!
毎年、チームエントリーの日に行われ、多数の箱根駅伝ファンの応募があるこのトークバトル。進藤さんも楽しみにしています。

神奈川大学は「1、2区は山藤、鈴木で!」、順天堂大学は「往路は塩尻、栃木、山田の三本柱で!」と明言!

 いつもは大喜利のように会場を沸かせながら、お互いの腹の探り合いをするのが恒例なのですが、今年のトークバトルは初めて各監督の真意を聞けた感じで、期待する選手や注目してほしいポイントをストレートに語り合う姿が印象的でした。その流れを作ったのは神奈川大学の大後栄治監督。前回大会で1区、2区を走った山藤篤司選手、鈴木健吾選手について「1、2区でいきます!(シード落ちしていた)12年間で一番苦労していたのが出だしの出遅れ。今大会はガンガン攻めてハイペースに持ち込みたい!」と戦略を隠すことなく宣言し、会場から大きな拍手が沸き起こりました! さらにエースの鈴木選手に関しては「30年間指導してきた中でエースと呼べるのは彼だけ」と語るほど、信頼感は抜群。今年8月に行われ、鈴木選手も出場したユニバーシアードにコーチとして帯同していた東洋大学の酒井俊幸監督も「将来マラソンを走れる基礎力ができている。2区で自分のペースを守れるなら鈴木選手に軍配が上がると思う」と太鼓判を押していたのも印象的でした。

 鈴木選手と同様に、他大学の監督から注目選手として名前が挙がっていたのが、リオ五輪の3000m障害に日本代表として出場したオリンピアンでもある、順天堂大学3年生の塩尻和也選手。酒井監督とともにユニバーシアードにコーチとして帯同していた大後監督は、「走りからは想像もつかないような温和な性格。そんな選手がレースになった瞬間すごい走りをするのがおもしろい」と意外な素顔も披露していました。そんな順天堂大学のチーム目標は「総合3位以内」。塩尻選手の他にも前回4区区間賞の4年生、栃木渡選手がいますが、長門俊介監督が注目してほしい選手として挙げたのが前回5区5位の3年生、山田攻選手! 「前回の山だけのタイムを計算すれば区間トップ。今年は苦手な平地も練習が積めているので、名前の通り山を攻めたいと思います」と力強く語り、往路はこの3本柱で戦うことを明言していました。

 8人の4年生部員全員がエントリーされた神奈川大学と同じく、6人の4年生すべてがエントリーされたのは早稲田大学。「4年生がすごくいい緊張感でグラウンドの雰囲気を作ってくれている。安井雄一(4年)、永山博基(3年)、新迫志希(2年)というチームの核になる選手はもちろん、4年生がコツコツ積み上げてきた努力の結晶も出せれば」と相楽豊監督。4年生がしっかり牽引している大学は、多少ピンチな状況になったとしても立て直しができるイメージ。チームの雰囲気のよさは駅伝でかなりの強みになると思います!
(左より)過去の3大会を「ワクワク大作戦」「ハッピー大作戦」「サンキュー大作戦」のスローガンで制した青山学院大学。今大会はどうなる?

王者、青山学院大学のスローガンは「ハーモニー大作戦」

 前回2位、酒井監督率いる東洋大学の目標は「10年連続3位以内」。前回大会までの9年間で優勝4回、2位4回、3位1回という圧倒的な成績はさすが強豪校。ただし、今回の16人中12人が1~2年生というフレッシュなオーダーには驚きました! 注目ルーキーである1年生の西山和弥選手はもちろん、「スタミナ系やアップダウンに対応できる選手など、多才な子たちが1〜2年生に出てきています」と酒井監督。“アップダウンに対応できる”ということは、山上りの5区を走れる“新・山の神”がいるってこと……? 期待がますます膨らみます! そして2区に起用すると名言したのがエースの山本修二選手(3年)。前回は彼を育成するために2区に起用したそうで、東洋大学の黄金期をもう一度作るためにチームを再構築していることは明らか。エントリーされた1、2年生12人中半分以上は起用すると言っていたので、恐れを知らない若手ならではの勢いある駅伝が見られると期待しています。

 そして、4連覇を目指す王者、青山学院大学の目標はもちろん優勝。出雲駅伝、全日本大学駅伝と優勝を逃している今シーズンの結果をふまえ、おなじみのスローガンは「ハーモニー大作戦」と命名。下田裕太選手、田村和希選手という4年生の2枚看板を中心に、監督が指揮を取って美しいハーモニーを奏でると、原晋監督らしいユーモアを交えて宣言していました。10000メートルのエントリー選手上位10人の平均タイムが28分52秒で、28分台のランナーを6人擁している青山学院大学。やはり選手層の厚さは抜群。今回も上位争いすることは間違いありません。
各大学のエントリー選手と、10000mの平均タイムなどのデータも準備され、トークバトルを盛り上げます!

10000mの平均タイム1位! 監督たちが注目する東海大学

 そんな青山学院大学の平均タイムを上回るのが、今回のトークバトルには出席していなかった両角速監督率いる東海大学。10000mの上位10人の平均タイム28分43秒は、出場大学の中でNo.1。28分台のランナーが8人いる、出雲駅伝を制したタレント集団です! 「意識せずにいられない大学は?」との質問にも、原、酒井、大後監督が名前を挙げるほど、注目度はダントツでした。鬼塚翔太選手、關颯人選手、館澤亨次選手ら力のある2年生の中でも、原監督が注目選手として挙げていたのが阪口竜平選手。11月にオランダで行われた15キロのレースでは、神奈川大学の鈴木健吾選手よりも40秒速いタイムでゴールをしているなど、秘めた力を持っている注目選手とのこと。大後監督にいたっては「他大学とはいえ、これだけ力のある選手たちをどう配置してくるのか、ワクワクしちゃうんです」と、イチ駅伝ファンの視点から両角監督の采配に期待していたのも印象的でした!

5人の監督にいろんな質問をぶつけるトークボトル。「今大会、意識せざるをえない大学は?」の質問への回答。「あえて申すなら・・・」に神奈川大学の大後監督の控えめなキャラクターが垣間見えます。長門監督の「中央学院大学」にもこっそり注目!

やはり山の5区? いやいや復路の7区、8区? 監督が考える勝負をわける区間とは!?

 各校の力が拮抗している今大会はどの監督も「混戦になる」と予想。ただし勝負を分けるポイント区間に関しては、見方がそれぞれ違っているのも面白かった! まず、過去に神野大地選手の5区の力走で、連覇した経験を持つ青山学院大学の原監督は、「5区、6区がポイント。山を制する大学が今回も勝負を制すると思います」と語り、早稲田大学の相楽監督も「山の中に入って前後の選手が見えなくなる5区は、大きく流れを変えることができるリセット区間」と解説。山上りの特性を持った職人気質の山田攻選手を擁する順天堂大学や、アップダウンが得意な1〜2年生がいるという東洋大学を要チェックです!

 自ら「渋いのですが……」と前置きしつつ「4区と7区、8区」を挙げたのが東洋大学の酒井監督。「どの大学も1区~2区、そして5区には適性のある選手を投入しますが、さらに優勝を狙う大学になると5区に繋がる4区に準エース級を起用するはず。となると、手薄になりがちな復路の7区、8区あたりに力のある選手を持ってこられるかが優勝のポイントに。こういう区間でどの大学が区間賞を取っているか見てほしい」と、具体的な観戦ポイントも指南してくれました。

 そして、順天堂大学の長門監督は、「1区、2区が終わったあとの3区で、さらに勢いを加速できるかで勝敗が決まってくる」と語り、神奈川大学の大後監督にいたっては、「9〜10区まで三つ巴、もしくはそれ以上の混戦になってしまうのではないか」と大胆予想。つまり今大会は“繋ぎ区間”のない勝負区間ばかり! とにかく相当おもしろい大会になることは確実です。
会場のファンからはこんな質問も。東洋大学・酒井監督が「同郷の福島出身なので、駒澤大学の大八木監督。『男だろ!』と言われてみたい(笑)」、早稲田大学の相楽監督が「自分は真面目でネガティブなタイプだったので、ポジティブな渡辺康幸さん(前早稲田大学監督)かな」など興味深い回答が。

チーム内にも選ばれた者、選ばれなかった者という相反するドラマがあることを知ってほしい

 1時間半のトークバトルを終えて、特に印象的だったのは、東洋大学の柏原竜二選手や青山学院大学の神野大地選手など、山上りの5区に圧倒的なエースがいた大会とは違い、混戦だからこそ、どの監督からも「うちのチームも勝てる!」という自信が感じられたこと。特に東洋大学の酒井監督のリラックスした表情からは、ある程度戦える目処が立っているのかなと感じました。若いチーム編成なので、次回以降も楽しみが増えそう♪

 イベントの最後に上田監督(関東学生陸上競技連盟駅伝対策委員長であり、山梨学院大学の監督)が語った「レースの中で勝敗があるように、チームの中にも選ばれた者、選ばれなかった者という相反するドラマがあります。それぞれのチームがテレビに映らない仲間たちの思いもたすきにかけて、必死に一歩一歩進んでいることを思いながら観戦していただきたいです」という言葉も印象的でした。学生たちの熱戦に、今大会も目が離せませんね!
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「箱根駅伝」は、テレビ観戦で盛り上がろう!

サッポロビール 新春スポーツスペシャル  『第94回 東京箱根間往復大学駅伝競走』(日本テレビ)

■往路
1月2日(火)7:00~14:05(7:50~全国ネット)
■復路
1月3日(水)7:00~14:18(7:50~全国ネット)
*関連番組もチェック!
『箱根駅伝 絆の物語(仮)』 12月23日(土)16:00~16:55(日本テレビ)
『箱根駅伝 区間エントリー徹底分析SP(仮)』 12月30日(土)24:54~25:24(日本テレビ)
『箱根駅伝 直前情報大公開SP(仮)』 1月1日(月)24:59~25:29(日本テレビ)
『箱根駅伝 絆の物語 スタート直前生情報(仮)』 1月2日(火)5:50~6:45(日本テレビ)
『続報!箱根駅伝(仮)』 1月3日(水)14:18~15:00(日本テレビ)
『もうひとつの箱根駅伝(仮)』 1月7日(日)16:10~17:25(日本テレビ)
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