【箱根駅伝 注目選手インタビュー】学生最強ランナー、鈴木健吾選手(神奈川大学)を直撃。「2区でいい流れを作り、チームを楽にさせることが1番の目標です!」

 箱根駅伝で見逃せない区間のひとつといえば、各校のエースが集う伝統の花の2区。前回大会では青山学院大学の一色恭志選手や駒澤大学の工藤有生選手ら強力なライバルたちとの熾烈なレースを制し、神奈川大学の鈴木健吾選手が見事区間賞を獲得して話題を集めました! 今シーズンは11月に行われた全日本大学駅伝で神奈川大学を20年ぶりの優勝に導くなど、チームの主将として、また学生長距離界のエースとしても注目を集めている鈴木選手。箱根駅伝を目前に控えた今の心境とチームの状況を、進藤やす子さんが直撃しました!
(取材日:2017年11月29日)
1990年代に総合優勝した当時から神奈川大学に注目している進藤やす子さん(左)と、今大会注目選手のひとり、鈴木健吾選手(右)。

12年ぶりにシード権を獲得した前回大会からチームの勢いに変化!

進藤 まずは全日本大学駅伝の優勝、おめでとうございます!

鈴木 ありがとうございます。アンカーとしてゴールテープを切ったのは僕ですが、ちょっといいとこ取りしちゃったなと思っていて(笑)。1~7区の選手が本当にがんばってくれたので、助けられた感じですね。

進藤 1区の山藤篤司選手(3年)からいい出だしでしたもんね。8区を2位で襷(たすき)を受け取ったとき、前を行く東海大学を抜けると思っていました?

鈴木 自分の力を出せればいけるかなという気はしていました。でも優勝は特に目標に掲げていたわけではないんです。大後監督も「シード権獲得や優勝という言葉は使わないから、とりあえず東海大学さんや青山学院大学さんにどこまでついていけるか試していこう」とおっしゃっていて。どの区間も外さなかったのが、他大学よりもよかったところかもしれません。

進藤 今の神奈川大学の強さって、どこから来ていると思いますか?

鈴木 前回の箱根駅伝で12年ぶりにシード権を獲得した勢いが一番大きいですね。それまではどうしてもシード権獲得に執着していましたが、今年はトラックシーズンを含めて、個人やチームが更なる高みを目指してのびのびと練習を積み重ねられたと思います。

進藤 私は箱根駅伝ファン歴が長いので、1997〜1998年に優勝した強い神奈川大学を知っているんです。だからシード権が獲得できたときは本当にうれしくて!

鈴木 その分、10月の箱根駅伝予選会がなかったのは個人的に初めてだったので、僕自身もちょっと変な感じなんです(笑)。

進藤 前回は2区で区間賞を獲得しましたけど、実は1年生のときには山下りの6区も走っているんですよね?

鈴木 はい……黒歴史ですけど(笑)。

進藤 区間19位と悔しい思いをしたんですよね。

鈴木 そこでいろんな方から厳しい言葉をかけられ、箱根駅伝は甘い気持ちでやってはいけない場所だと改めて実感しました。

進藤 そこから一躍、成長を遂げたキッカケは?

鈴木 特別何かがあったわけではなく、やっぱり1年生時の6区、2年生時の2区と地道に積み上げてきたことがあるからこそ、結果が出てきたのかなと。3年生のときは自分の中でも力をつけてこられたという自信があったので、1年間の集大成として箱根駅伝で挑戦していきたいという気持ちはありました。でも正直、2区で区間賞を取れるとは思っていなかったんです。

進藤 設定していた目標タイムよりは?

鈴木 全然よかったですね。

進藤 でも、先ほど大学グラウンドをお借りして写真撮影をさせていただいたとき、女子学生たちから握手をたくさん求められてましたよね(笑)。前回の箱根駅伝を終えてから、声をかけられることも増えたのでは?

鈴木 そうですね。遊びに行っても街で声をかけられることがあるので、悪いことはできないなって思います(笑)。地元の愛媛の方がみかんを送ってくださったり、たくさんの方から応援していただけていることはすごくうれしいです。
大後監督も絶賛する才能。美しく力強い走りもチェック!

華やかさはないけど総合力はある! 風通しのいい明るさが神奈川大学の強み

インタビューは神奈川大学、白楽キャンパスより徒歩1分(!)にある陸上競技部の寮で。
進藤 箱根駅伝まで残りわずかですが、今のチームの状態はいかがですか?

鈴木 優勝候補である青山学院大学さんや東洋大学さん、東海大学さんに比べると、戦力的な部分ではまだまだ劣っていると思います。でも今の勢いはしっかり箱根駅伝につなげたいですね。

進藤 各校の大学にはカラーがあると思いますけど、神奈川大学の特色は?

鈴木 青山学院大学さんや東海大学さんに比べると、華やかさはないかもしれないですね(笑)。その分、淡々とやっていく渋いチームです。

進藤 鈴木くんというエースはいるけれど、それぞれの選手もしっかり外さない総合力は神奈川大学のカラーのような気がします。

鈴木 そうですね。監督も一人ひとりに合った練習メニューを作ってくれますし、長い距離を走った方がいい人、短い距離で追い込んだ方がいい人など、選手一人ひとりの特性を見て大事にしてくれます。

進藤 大後監督は、鈴木選手のことを「これまで約600人指導してきたランナーの中でダントツで強い選手!」と言っていましたが。

鈴木 直接言われたことはないですけどね(笑)。いつもはあまりほめてくれないんです。

進藤 こわい監督なんですか?

鈴木 いいえ、全然! 監督は、箱根駅伝の優勝も、途中棄権や予選会落ちも経験されているので、いろんなことを教えてくれます。実は2年前のユニバーシアードで大後監督が日本代表のコーチとして帯同したとき、「神奈川大学の選手を誰も連れて行けなくてさみしかった……」とおっしゃっていたんです。そのときのお話をいろいろ聞く中で、「僕も2年後に目指したい!」と強く目標に掲げました。だから今年8月のユニバーシアードは、やっとつかんだ出場だったんです。

進藤 ハーフマラソンで銅メダルを獲得したんですよね!

鈴木 だいぶ気合いが入りすぎて、試合前にケガをしてしまったんですけどね。でもケガで厳しい状況の中で戦えたことは、得るものが大きかったと思います。2月には4年生の大野日暉と大塚倭が世界クロスカントリー選手権大会に日の丸をつけて出場するなど、僕ら上級生が世界を経験したことで、下級生たちも「先輩に追いついたら世界で戦うチャンスがある」と捉える選手が増えてきました。全日本大学駅伝の5区区間賞を獲得した越川堅太や、荻野太成、安田共貴などの2年生も勢いがあります。選手とスタッフの間に立ってリーダーシップを発揮してくれる2人の4年生マネージャーの力強いサポートも含めて、みんなが高いところを見ているバランスが取れたチームだと思います。

進藤 主将である鈴木選手は、チームの中でどんな立ち位置なんですか?

鈴木 僕は結構いじられるというか、そんなに気をつかわれていませんね(笑)。最低限の礼儀はありますが、今は上下関係フラットに、風通しよくやっています。

進藤 そういえば神奈川大学の選手がSNSで投稿するとき「#神大いやほい」というハッシュタグをつけているのを見かけますが、あれは?

鈴木 関東インカレでは、各大学で応援歌を作るんです。そのときに短距離の選手たちも含めて話し合いをして、きゃりーぱみゅぱみゅさんの「原宿いやほい」という歌をもとに「神大いやほい」を作ろうとみんなで決めたんです。それをSNSでも使ってたら、だいぶ注目されるようになってしまいました(笑)。

進藤 その風通しのいい明るさも、今年の神奈川大学の魅力かもしれませんね!

箱根駅伝の先に見据えるのは、東京オリンピックでのマラソン出場!

キャンパス内で撮影をしていると、在校生から握手と撮影を求められる注目度。箱根駅伝のコース近くにある地元大学として、神奈川大学への期待も高い!
進藤 今大会、チームで掲げている目標は?

鈴木 「往路優勝。総合3位以内」です。とはいえ、やっぱり総合優勝も目指したいなという気持ちも捨てていません。

進藤 鈴木選手はもちろん今回も2区?

鈴木 また挑戦したいですね。2区は大学のキャンパスがある横浜を走るので、応援がすごいんです。走っているときもうれしくてニヤニヤしちゃいます(笑)。

進藤 アハハ! そうなんですね(笑)。注目してほしいポイントは?

鈴木 全日本大学駅伝では本当に1〜7区の選手に助けられたので、箱根駅伝では僕が2区でいい流れを作り1秒でも貯金をして、チームに楽をさせてあげることが一番の目標です。日本人最高記録を更新する66分台など爆発的な走りを期待されているとは思いますが、そこは冷静に、自分の力を発揮できればタイムはついてくると思うので、しっかり流れを作ることを大事にしてのぞみたいと思います。

進藤 2区は自分に向いていると思いますか?

鈴木 2区は誰が走っても難しいコースだと思います。前半は集団で走ると思うんですけど、ハイペースだと権太坂の上りや最後の3キロの上りで疲れてしまって足が止まってしまうので、前半はうまく足を使わず、流れに乗っていくことが大切で、そこは難しいところではありますね。

進藤 注目している大学やライバルは?

鈴木 東海大学さんや青山学院大学さんは恐い存在。東洋大学さんや駒澤大学さんも駅伝慣れしていますから、意識しなければならないと思っています。個人的には、駒澤大学の工藤有生選手と仲がいいんですが、ユニバーシアードで負けてしまった(工藤選手は銀メダル)ので、2区で競うことになったら負けられないです(笑)。

進藤 ちなみに、鈴木選手の将来の目標は?

鈴木 東京オリンピックでマラソンに出場することです。

進藤 憧れているマラソン選手はいますか?

鈴木 瀬古利彦さんですね。3月に若手のマラソン選手を育成するニュージーランド合宿に参加させてもらったんです。そこに瀬古さんもいらしていて。瀬古さんの時代のようなすさまじい練習量はできないですけど、お話をうかがう中で、そこまでやったからこそマラソンのスタートラインに立つ自信に繋がったんだろうなと感じました。また、その合宿で青山学院大学OBの神野大地選手ともお会いしたんです。食事や身体のケアひとつにしても、結果を出すことを常に考えている意識の高さは刺激になりました。箱根駅伝で注目された後も、しっかり実業団で活躍されているのもすごいと思います。

進藤 箱根駅伝の後は、東京マラソンに挑戦する予定だとか。

鈴木 はい。しっかりそこを見据えた練習をするようにしています。

進藤 マラソンの適正があると言われている鈴木選手。これからの活躍も楽しみにしています! 最後に、将来マラソンを目指している鈴木選手にとって、チームで戦う駅伝のおもしろさはどこにあるか教えてください。

鈴木 陸上競技は基本的に個人スポーツですし、駅伝も走り始めたらひとりです。でも、終わったときに仲間と喜びあったり悔しがったりできるのは一番の魅力。青春だなって思います。今年は大学生活最後の箱根駅伝なので、しっかり上位争いできるようにがんばりたいです!
すずき・けんご/1995年6月11日生まれ。愛媛県宇和島市出身。宇和島東高校から神奈川大学に進学。神奈川大学では、1年生から箱根駅伝のメンバー入り。3年生から駅伝主将も務める。前回の第93回箱根駅伝では、2年連続2区を担当。1時間07分17秒と歴代8位の記録で自身初の区間賞を獲得。今年3月の日本学生ハーフマラソンでは、1時間01分36秒の日本人学生歴代7位を記録。
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「箱根駅伝」は、テレビ観戦で盛り上がろう!

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■往路
1月2日(火)7:00~14:05(7:50~全国ネット)
■復路
1月3日(水)7:00~14:18(7:50~全国ネット)
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『箱根駅伝 絆の物語(仮)』 12月23日(土)16:00~16:55(日本テレビ)
『箱根駅伝 区間エントリー徹底分析SP(仮)』 12月30日(土)24:54~25:24(日本テレビ)
『箱根駅伝 直前情報大公開SP(仮)』 1月1日(月)24:59~25:29(日本テレビ)
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『続報!箱根駅伝(仮)』 1月3日(水)14:18~15:00(日本テレビ)
『もうひとつの箱根駅伝(仮)』 1月7日(日)16:10~17:25(日本テレビ)
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