男の子になりたいトランスジェンダーをエル・ファニングが熱演! 映画『アバウト・レイ 16歳の決断』

エル・ファニングといえば、今ハリウッドでもっとも売れている若手女優。19歳と思えないほど出演作は多く、『マレフィセント』ではオーロラ姫、『ネオン・デーモン』ではトップモデル、『パーティで女の子に話しかけるには』では宇宙人、ソフィア・コッポラ監督の新作『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(2/23〜公開)では、大人の男を誘惑する早熟な少女など、幅広い役柄を熱演。そして今回紹介する『アバウト・レイ 16歳の決断』では、トランスジェンダーという難役に挑戦しています。

16歳になったレイ(エル・ファニング)は、心も体も男の子になるためにホルモン治療を決意。母親のマギー(ナオミ・ワッツ)は、レイのいちばんの味方でいたいと思いながらも、いざ治療の同意書を手渡されると動揺し、「焦らないで」と言うことしかできません。しかも面倒なことに、もう何年も会っていない元旦那のサインも必要だと言われてしまいます。体を鍛えて髪を短く切り、本当の自分になりたいと願うレイのかたくなさには胸を打たれますが、特に感情移入できるのは母マギーのほう。これまで経験したことのない難題に直面しながらも、拒絶したり、寛容ぶってわかったふりをせず、理解できないことを素直に打ち明けて子供の考えを尊重しようと奮闘する姿は切実。親子に限らず、人間関係において大切な“違いを受け入れる”ことの難しさを実感させられます。

ちなみに、レイに対して「レズビアンじゃダメなの?」とあけすけな疑問をぶつけるおばあちゃん(スーザン・サランドン)の存在もインパクト大。実は彼女自身レズビアンなのですが、性愛的志向を指す同性愛と、体の性と心の性が異なるトランスジェンダーはまったく別。リベラルな考えを持つ家族でも混乱するのだから、レイが普段、家の外で直面している悩みはどれほど大きいのか……。これから私たちが知っておくべき社会のリアルを、個性的な家族の愛を通してユーモアたっぷりに教えてくれる良作です。

(文/松山梢)

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