共感度、幸福度、期待以上! アラサーのリアルを描いた映画『29歳問題』

ただの数字なのに、どうしてこんなにも心がざわめくのだろう。“30歳”はまるで悪者を追うパトカーのように、漠然とした不安と恐れと後ろめたさ、そして逃れられないシビアな現実を乗せて、突如私たちの目の前に現れる。無限に広がっていると思っていた未来が、足止めを食らってしまったような感覚になるのも当然。本作は多くの女性たちの共感を集め、香港で7週連続ベストテン入り、20万人以上を動員する大ヒットを記録した物語。「え、これ私の話じゃないの?」と錯覚するくらい、文化や言葉や国境を超えて、悩める日本女子の心にもグサグサ〜ッと刺さるのは間違いありません。

香港の化粧品会社で働くクリスティは、やりがいのある仕事と尊敬できる上司、優しい恋人や友人に囲まれ、スタイリッシュなアパートで何不自由なく暮らす29歳。はたから見たら誰もが羨む都会のキャリアウーマンだけど、本音を言うと、毎日完璧にメイクをして出社するのはしんどいし、仕事のプレッシャーはきつい。彼氏とは結婚の話になるとギクシャクするし、実家の父親の認知症も気がかりだ。そんなある日、住み慣れたアパートが家主により売却され、退去を言い渡されてしまう。急遽仮住まいとして借りたのは、パリに旅行中のティンロという女性の部屋。彼女の日記によると、偶然にも同じ誕生日の同い年だった。好きな音楽と映画に囲まれ、どんなときでも笑顔を絶やさないティンロの自由で穏やかな生活は、一心不乱に人生を駆け抜けてきたクリスティとは真逆の生き方。常に上を目指し、自立した完璧な大人の女として踏ん張ってきたけれど、果たして選択してきたことは正しかったのか……。クリスティは初めて自分の人生を見つめ直すことになります。

ただし、ハッピーに見えるティンロにも、実はある秘密が。30歳目前でクリスティとティンロが直面するあらゆるエピソードは、他人事と思えないほど痛々しくてリアル。それでも、「人生は思い通りにいかない。でも受け止め方だけは自分で決められる」、「年は関係ない。毎日は命のカウントダウン」など、映画にちりばめられた言葉の数々がふっと心を軽くし、気づきを与えてくれます。友達が用意したケーキに描かれた“Birth”と“30th”の文字をひょいとすくい取り、「Happy everyday to me〜♪」と自虐的に、でも明るく歌うヒロインたちの生き様は、同年代はもちろん、すべての女性たちの人生を肯定し、祝福してくれるはず。


(文/松山梢)

●5月19日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー

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