公開中&近日公開予定の話題作から、キーワードに沿った2本のイチ押しと、おすすめ映画をご紹介します。

【今月のキーワード】青春は、こじらせるから美しい! ?

青春は、こじらせるから美しい!? 『レデの画像_1

青春時代とは、渦中にいる時よりも大人になって振り返るほうがずっとキラキラ輝いて見えるもの。『レディ・バード』で描かれる青春は、誰もが「わかる!」とひざを打つエピソードが満載だ。

とにかく魅力的な17歳の主人公クリスティンが、閉塞的で何もない故郷を恥ずかしく思ったり、口うるさい親を疎ましく感じたり、ダサい親友よりも美人でイケてる女子とつるんだり、恋に恋してこっぴどい仕打ちを受けたり……。田舎を飛び出したい思いで爆発しそうになっている様子は、見ていてハラハラさせられる。特にお互いの愛は痛いほど伝わるのに、素直になれない母親との関係は、どちらの気持ちも理解できる大人こそキュッと胸が痛むはず。ままごとのような初恋なんかより、母娘の物語のほうが断然魅力的なラブストーリーに見えるのもおもしろい。監督と脚本を務めたのは、女優としても活躍するグレタ・ガーウィグ。故郷のサクラメントにラブレターを書くつもりで、自伝的な要素を織り込んで執筆したそう。本年度のアカデミー賞で監督賞に紅一点でノミネートされた期待の新鋭だ。

ガーウィグの名が注目されるきっかけになったのは、2014年に公開され、主演と脚本を担当した『フランシス・ハ』。サクラメントからダンサーを夢見てニューヨークへやってきたフランシスの挫折を軽やかに演じ、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされた。直情的で純粋で、ちょっぴり運が悪いけど決してめげない。そのキャラクターはまるでニューヨークへ進学したクリスティンのその後を見ているよう。2 作続けて見ると愛おしさ倍増だ。

【イチ押しシネマ1】『レディ・バード』

青春は、こじらせるから美しい!? 『レデの画像_2

2002年、カリフォルニア州サクラメント。失業した父と看護師の母、スーパーで働く養子の兄とその恋人の5 人で暮らすクリスティン(シアーシャ・ローナン)は、片田舎のカトリック系高校から“文化のある”大都会ニューヨークへ大学進学することを夢見ていた。● 明日6 / 1 〜全国公開 ©Merie Wallace, courtesy of A24

【イチ押しシネマ2】『フランシス・ハ』

青春は、こじらせるから美しい!? 『レデの画像_3

ニューヨークのブルックリンに暮らすフランシス(グレタ・ガーウィグ)は彼と別れ親友との同居も解消となり、居場所を求めニューヨーク中を転々とするはめに。DVD ¥3800・Blu-ray¥4700(ポニーキャニオン) ©Pine District, LLC.

【まだまだあります、おすすめシネマ!】

『Vision』

青春は、こじらせるから美しい!? 『レデの画像_4

奈良県の吉野の森を舞台に、フランス人エッセイスト(ジュリエット・ビノシュ)と山守の男(永瀬正敏)の運命が思わぬ形で交錯していく、河瀨直美監督によるヒューマンドラマ。神秘的な若い山守として登場する岩田剛典の熱演にも注目。● 6 / 8 〜全国公開 ©2018『Vision』LDH JAPAN, SLOT MACHINE, KUMIE INC.

『犬ヶ島』

青春は、こじらせるから美しい!? 『レデの画像_5

舞台は犬の伝染病が流行した近未来の日本。12歳の少年アタリは、犬ヶ島に隔離された愛犬を救うためにたったひとりで島に降り立つ。ウェス・アンダーソン監督が手がけたストップモーション・アニメ。渡辺謙や村上虹郎などヴォイスキャストも豪華! ●公開中 © 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

--------------------- MORE2018年7月号・さらに詳しい情報は雑誌MOREをチェック! 文/松山 梢 ---------------------