【今月のキーワード】野田秀樹の最高傑作が再び
今作の下敷きになっているのは、作家・坂口安吾の短編『桜の森の満開の下』と『夜長姫と耳男』。安吾のエッセンスを大胆に“剽ひょうせつ窃(=リミックス)”して“贋にせさく作”をつくり上げた野田は「安吾の生まれ変わり」を自称する。ふたりの根底に共通して漂うものは何なのか。観劇を前に、原作に触れおくとヒントを得られるかも。さらに野田作品は、台詞量が膨大で展開もスピーディ。特に初観劇の人には原作を読んでおくことをおすすめしたい。

ヒダの匠の弟子、耳男(妻夫木聡)と山賊のマナコ(古田新太)、オオアマ(天海祐希)はヒダの王(野田秀樹)の娘の夜長姫(深津絵里)と早寝姫(門脇麦)のため、仏像を彫る命を受けた。日仏連携のイベント『ジャポニスム2018』の一環でパリ公演も行われる。◆ 9 /1 ~12、11/ 3 ~25 東京芸術劇場プレイハウス(地方公演あり) ●NODA・MAP ☎03・6802・6681 ※当日券販売あり

安吾の死後、評価が高まり代表作となった作品。山賊が、器量のよい女に惚れ、その夫を殺して妻にしたことから始まる妖艶で怪奇な物語。冒頭、山賊は桜の木をなぜか恐れるのだがやがてその理由が明らかに。(岩波文庫 ¥910)
【オススメステージは「KERA・MAP #008『修道女たち』」と「現代能楽集 Ⅸ『竹取』」】

『グッドバイ』や『キネマと恋人』など近年名だたる演劇賞を受賞しているケラリーノ・サンドロヴィッチが作・演出を務める「KERA・MAP」。新作は修道女たちの群像劇。出演陣には鈴木杏、緒川たまき、鈴木浩介、犬山イヌコ、高橋ひとみら多彩な女優陣と実力派俳優が揃う。◆10/20~11/15 下北沢本多劇場(地方公演あり) ●キューブ ☎03・5485・2252

シリーズ第9 弾。小林聡美、貫地谷しほりらが挑むのは、『竹取物語』が題材のおとぎ話。演出は、マイムと台詞劇を融合させた独自のスタイルで注目を集める小野寺修二。意欲作に期待が高まる。◆10/ 5 ~17 シアタートラム(地方公演あり) ●世田谷パブリックシアターチケットセンター ☎03・5432・1515
-------------------
MORE2018年10月号・さらに詳しい情報は雑誌MOREをチェック! 原文/小泉咲子
--------------------