話題のステージの中から、キーワードに沿ったイチ押し舞台、そして2本のおすすめをご紹介します。

【今月のキーワード】三島文学に東出昌大が挑む!

東出昌大といえば『ごちそうさん』で大ブレイク後、ドラマや映画で大活躍。映像世界を走るトップランナーのひとりだが、意外にもこれまでの舞台経験は2015年の『夜想曲集』だけ。そんな彼がこの秋、2 度目となる舞台に挑む。しかも今回は、三島由紀夫による最後の長編小説『豊饒の海』が原作。三島が約6 年の歳月を費やし、美、生死、「私」といった人間の根本に迫った絶筆の巨編を舞台作品にするという初の試みに、果敢にも挑むと決めた。出演が決まった際に発表された「役者になって最大の試練になる」という言葉にも、彼の覚悟がうかがえる。必ずや俳優人生のターニングポイントになるであろう本作は、ファンのみならずとも見逃せない! 東出が演じる松枝清顕に生涯執着する本多繁邦役には、日本だけでなく海外の演劇ファンからも熱狂的な支持を受けるカリスマ的演劇人の笈田ヨシ。最大の試練を前に、これほど頼もしい共演者もいないだろう。清顕の生まれ変わりを演じるのは、宮沢氷魚。ともにモデル出身であり、大いに舞台に映えるであろうふたりの出演にも注目が集まる。

本作は、三島由紀夫の小説を舞台化するプロジェクトの「2018 PARCO PRODUCE“三島×MISHIMA”」の第1 弾。その第2 弾となるのは同名小説が原作の『命売ります』。連載されていたのが『週刊プレイボーイ』ということもあって、『豊饒の海』と対照的に、展開がスリリングで、エンタメ色が強い。生をめぐるふたつの三島の舞台作品を対比してみるのも面白いはず。舞台版の『弱虫ペダル』や『刀剣乱舞』で人気を博す、主演・東啓介にも注目!
東出昌大が覚悟して挑む舞台は三島由紀夫の豊穣の海が原作
【今月のイチ押し☆ステージ1】『豊饒の海』

20歳で自ら命を絶った清顕。その美に取りつかれた男、本多を軸に描く。本多を年代ごと3人の俳優が演じる。若年時代は期待の若手俳優・大鶴佐助、中年時代はバレエダンサーの首藤康之、そして老年時代が笈田ヨシ。◆11/ 7 ~12/ 2 (11/ 3 ~ 5 はプレビュー) 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(地方公演あり) ●パルコステージ ☎03・3477・5858
東出昌大が覚悟して挑む。三島由紀夫によるの画像_2
【今月のイチ押し☆ステージ2】『命売ります』

自殺に失敗した男が、なんとか命を絶つために「命売ります」という広告を出す。それを見て現れた怪しい男女たちとの間で巻き起こる様子を、ユーモラスに描く。◆11/24~12/ 9  サンシャイン劇場 ●パルコステージ ☎03・3477・5858

【オススメステージは『民衆の敵』と「M&O playsプロデュース『ロミオとジュリエット』」!】

東出昌大が覚悟して挑む。三島由紀夫によるの画像_3
シアターコクーン・オンレパートリー2018DISCOVER WORLD THEATRE Vol.4 『民衆の敵』

“近代演劇の父”とも称される劇作家イプセンの代表作にして社会派ドラマの傑作。主演を務める堤真一は、「正しさ」ゆえに窮地に陥る孤高の男を演じる。演出家ジョナサン・マンビィと堤は、2 度目のタッグとなる。共演に安蘭けい、谷原章介、段田安則ら。◆11/29~12/23 Bunkamuraシアターコクーン ●Bunkamura ☎03・3477・3244
宮藤官九郎が初めてシェイクスピアに挑む
「M&O playsプロデュース『ロミオとジュリエット』」

宮藤官九郎が初めてシェイクスピアの作品を演出! コメディの名演出家が普遍的な悲恋の物語をどう料理するのか、関心が高まる。ロミオ役には宮藤とともにバンド「グループ魂」を組む朋友・三宅弘城。ジュリエットを演じる森川葵は、本作が初舞台となる。◆11/20~12/16 本多劇場(地方公演あり) ●M&O plays ☎03・6427・9486 撮影/三浦憲治

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MORE2018年11月号・さらに詳しい情報は雑誌MOREをチェック! 原文/小泉咲子
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