公開中&近日公開予定の話題作の中から、キーワードに沿った2本のイチ押し映画と、その他のおすすめ映画をご紹介します。

【今月のキーワード】SNSの危うさに思わずゾクッ!?

スマホを落としただけなのに,北川景子,田中圭
中年男がAIに恋をする『her/世界でひとつの彼女』など、ここ数年はテクノロジーの進化をテーマに描いた映画が多く誕生している。ほとんどが近未来を舞台にしたファンタジーのため、観ていてもどこかひとごとのような感覚が強いのに対し、『スマホを落としただけなのに』は私たちの生活に欠かせない“スマホ”を題材にしたかなりリアルな物語。スマホを落とすというありがちなトラブルが原因で個人情報が丸裸にされてしまう展開は「もし自分だったら……」と思わずにはいられない。しかも落としたのは主人公ではなくその彼氏。悪質なハッカーに拾われたことで、彼氏がこっそり撮影していた自分の裸の写真を拡散すると脅迫されるなど、知らないところで被害が拡大する展開も恐怖をあおる。ただし、この映画の魅力はSNS時代に警鐘を鳴らす一方、スマホによって窮地を救われる部分もしっかりと描いている点。結局は便利なツールそのものではなく、距離感と使い方が大事だということ。ある意味ホラー映画より怖いミステリーで、スマホやSNSとのつきあい方を見直してみては。

【今月のイチ押し★シネマ1】『スマホを落としただけなのに』

スマホを落としただけなのに,北川景子,田中圭
派遣社員の麻美(北川景子)が彼氏の富田(田中圭)に電話をかけると、たまたまスマホを拾ったという男が電話口に出た。その後、無事富田のスマホが戻ってきて安心したのもつかの間、麻美の周辺では次々不可解な出来事が起こるようになる。●11/2〜全国公開 ©2018映画「スマホを落としただけなのに」製作委員会

【今月のイチ押しシネマ2】『ステータス・アップデート』

ディズニー・チャンネル出身の人気スター、ロス・リンチ主演の青春映画『ステータス・アップデート』は、願いが叶う魔法のアプリによって恋人や友人、名声や才能など望むものをすべて手に入れ、学校一の人気者に上り詰めた青年カイルの物語。しかし結局は周囲を傷つけ、イヤな人間に成り下がっていたことに気づいてしまうカイル。彼が最後にたどり着く答えには、SNSで「いいね!」を集めること以上に大事な人生の喜びが詰まっている。
ステータス・アップデート
転校先の高校でスクールカースト最下位になったカイル(ロス・リンチ)は、ある魔法のアプリを手に入れる。『ヘアスプレー』製作陣による最新作。●11/3〜渋谷シネクイントほか全国公開 ©2017 STATUS UPDATE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

【まだまだあります、おすすめシネマ!】

ビブリア古書堂の事件手帖,野村周平,黒木華
『ビブリア古書堂の事件手帖』

祖母が遺した夏目漱石の『それから』に記されたサインの秘密を探るため、大輔(野村周平)は『ビブリア古書堂』の店主、栞子(黒木華)を訪ねる。謎を解く鍵を握る50年前の美しくも悲しい恋のパートを、夏帆と東出昌大が情緒たっぷりに熱演。●11/1〜全国公開 ©2018「ビブリア古書堂の事件手帖」製作委員会
旅猫リポート,福士蒼汰
『旅猫リポート』

『図書館戦争』などで知られる有川浩の原作を映画化。愛猫ナナを手放す決意をした悟(福士蒼汰)が、新しい飼い主を探すために旅に出る様子をコミカルに、ときにせつなく描いた物語。自由奔放で誇り高いナナの声を演じた高畑充希がはまり役。●公開中 ©2018「旅猫リポート」製作委員会 ©有川浩/講談社

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MORE2018年12月号・さらに詳しい情報は雑誌MOREをチェック! 原文/松山 梢
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