篠井英介さん「ささやかな喜び、慎ましい満足、それを叶えるために、働く」。【お悩み相談室『俺の人生論』】

恋に仕事……女子の悩みは酸いも甘いもかみ分けた男に聞け! 今月からのゲストは篠井英介さん。

【今回のお悩み】やりたい仕事が見当たらず、仕事が長続きしません。

社会人になって7年たちますが、その間に4回転職しました。上司と合わない、待遇が悪いなど理由はさまざまですが“やりたい!”と思える仕事がないのも原因のひとつかも。このままじゃダメ人間。どうしたらやりがいのある、長続きできる仕事とめぐりあえますか?(29歳・医療事務)
篠井英介さん「ささやかな喜び、慎ましい満足、それを叶えるために、働く」。【お悩み相談室『俺の人生論』】_1
普通は『仕事にイヤなことはつきものだ、頑張れ!』って言うのかもしれませんけど、僕はそんなこと、言ってもしょうがない気がします。この方は、イヤな上司とか職場への不満があるとすぐに『あ、ダメだ』と思って諦めてしまう方なのでしょう。だから4回も転職したのでしょうね。でも僕はそれを、否定したくないんです。否定はしませんけれど、そういう自分を自覚することがまず、大事なのではないでしょうか。

働くのをやめて働く意味を考える

仕事がつらいからやめる。でもやめたことで自己嫌悪になる。悪循環ですよね。だから僕は、いっそ何カ月か、働かずにいたらどうかな、と思います。

家にずっといたり、本を読んだり散歩をしたり。当然、収入もなくなりますよね。そういう状況に身を置いて、自分にとって働くということの意味を、もう一回考えてみる。原点に立ち返ってみるんです。

人間は何もしないでいると、何のために生きているのかわからなくなる。毎日やることがあり、ストレスもあるけれど何かしらやり終えて家に帰って、ほっとするという営みは貴いものなんです。働いて人さまの役に立つとか充実感を得ることも大切です。そのことにもう一回、気づくべきではないかな、と。

逆に、働かずにいると幸せで、これがいちばん、と思うのなら、それはそれでいい。だったら働かずにいかに暮らしていくかに今度は全力を傾ければいいんです。

何が好き? 何がしたい? そのためになら、働ける

僕自身は演じることが好きで、10代の頃から「女形」を目指してきました。女性の役を得意とする種類の俳優になろうと決めていました。若い頃は生活のためにアルバイトをしていましたが、31歳の時、正社員にならないか、と誘われました。

定収入が保証されるし、親も安心する。心は揺らぎましたが、そこで考えたのはイヤな出来事とか問題にぶつかった時、演劇の道と正社員の道、自分はどちらで頑張りがきくのだろう、ということでした。

どの世界にいても、問題が起きるのは当たり前です。でもその時立ち向かうエネルギーが出るのは、やはり演劇でした。そういう意味では、本当にやりたいことがある僕は、とてもラッキーな人間だと思います。

この方のように、やりたい仕事がわからないという人は、何をやっている時が楽しいか、ワクワクするか、エネルギーがわくか、自分に問いかけてみてください。

もちろん、好きなことがそのまま仕事に結びつくのは難しいかもしれません。でもそれを知っていると人生が楽しく、豊かになります。

自分の喜びとか楽しさを得るためなら、働きがいがあります。自分を喜ばせるためなら、どんな仕事でも頑張れるのです。ささやかな喜び、慎ましい満足、それを叶えるために、働く。人生って、そういうことの積み重ねではないでしょうか。

現代は情報があふれていて、物質的にも恵まれています。だから自分は何が欲しいのか、何が必要なのか、何を求めているのか、見えにくくなっています。自分ときちんと向きあって、そこを一回、徹底的に探ってみることを、僕はおすすめします。

【篠井英介さんの回答】ささやかな喜びの積み重ねが、頑張れる自分をつくる

ささい・えいすけ●1958年12月15日生まれ、石川県出身。1984年に劇団「花組芝居」を旗揚げ。退団後も『欲望という名の電車』をはじめ数多くの舞台に出演し、女形として活躍。唯一無二の存在感で『昭和元禄落語心中』などドラマへの出演も多数


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