話題のステージの中から、キーワードに沿ったイチ押し舞台、そして2本のおすすめをご紹介します。

【今月のキーワード】人気の蓬莱竜太、待望の新作!

日本演劇界で今、注目しておいて間違いない劇作家と言えば、蓬莱竜太。今年は、第20回鶴屋南北戯曲賞受賞作である『母と惑星について、および自転する女たちの記録』、蓬莱の評価を決定づけ岸田國士戯曲賞を受賞した『まほろば』、こまつ座公演『木の上の軍隊』と再演が続き、人気の高さをうかがわせる。と同時に、これだけ再演が続くことは、改訂や新演出などが加わっているにせよ、時の経過に耐えうる、普遍的で骨太な作品を蓬莱が生み出している証とも言えるだろう。新作にも精力的に取り組み、6月は座付き作家を務める劇団「モダンスイマーズ」による『ビューティフルワールド』、10月にも外部での新作公演が控えている。1999年、舞台芸術学院の同期生だった蓬莱と主宰の西條義将によって旗揚げされた「モダンスイマーズ」。『ビューティフルワールド』は劇団結成20周年記念公演でもある。これまで、作品ごとに違うカラーを提示し続けてきた蓬莱が、中年のオタクと愛されない主婦の純愛がテーマの新作でどんな新しい色を見せてくれるのか。演劇ファンの期待は膨らむばかり!

蓬莱は、中島裕翔×菅田将暉出演映画『ピンクとグレー』など、映像作品の脚本も数多く手がけている。WOWOWのオリジナルドラマ『コールドケース 〜真実の扉〜』の脚本にも参加、その巧みなストーリーテリングに多くのファンが魅了された。吉田羊率いる捜査チームが、未解決事件の真相を解明する謎解きの面白さに加え、心の機微に触れる本作。ここでも、愛憎入り乱れる人間ドラマを描くことに定評のある蓬莱の才能が発揮されている。
蓬莱竜太さんの才能に惚れぼれ。「モダンスの画像_1
【今月のイチ押し☆ステージ】モダンスイマーズ結成20周年記念公演『ビューティフルワールド』
仕事はできない、彼女も友達もいない。40歳を越えたアニメ&ゲームオタク。長年連れ添った夫から愛されず、娘からもバカにされている主婦。「このまま人生が終わり死んでいくのだろう」と思うふたりが、男の部屋で同棲を始める。寄り添うように暮らす世界に、何が残るのか。◆6/7〜23 東京芸術劇場シアターイースト ●ヨルノハテ ☎070・1483・2563
蓬莱竜太さんの才能に惚れぼれ。「モダンスの画像_2
【今月のイチ押し☆ステージ2】『連続ドラマW コールドケース 〜真実の扉〜』
吉田羊主演作であり、大ヒット海外ドラマの日本版。ブルーレイ コンプリートボックス(2枚組)¥24000・DVDコンプリートボックス(5枚組)¥19000・DVDレンタル中(ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント)
©WOWOW/Warner Bros. International Television Production

オススメステージは、『殺してもいい命』と『キネマと恋人』。

蓬莱竜太さんの才能に惚れぼれ。「モダンスの画像_3
舞台『アンフェアな月』第2弾 刑事 雪平夏見シリーズ『殺してもいい命』
映画化もされたヒットドラマ『アンフェア』の原作小説、刑事雪平夏見シリーズの舞台化第2弾。第1弾で、ハードボイルドな女性刑事役を好演した篠田麻里子が、引き続き主演を務める。同僚刑事役に、幅広いジャンルの演劇作品に出演経験があり、人気を集める松田凌。◆6/21~30 サンシャイン劇場 ●サンライズプロモーション東京 ☎0570・00・3337
蓬莱竜太さんの才能に惚れぼれ。「モダンスの画像_4
世田谷パブリックシアター+KERA・MAP#009『キネマと恋人』
初演に大好評を博したケラリーノ・サンドロヴィッチの人気作が、妻夫木聡&緒川たまきのオリジナルキャストで待望の再演決定。ウディ・アレン監督作をモチーフにした、ちょっとビターなファンタジック・コメディ。◆6/8〜23 世田谷パブリックシアター(ツアー公演あり) ●世田谷パブリックシアターチケットセンター ☎03・5432・1515 撮影/西村裕介

-------------------
MORE2019年7月号・さらに詳しい情報は雑誌MOREをチェック! 原文/小泉咲子
--------------------