「箱根駅伝」に出場する各チームのエントリーメンバー16人が発表された12月10日。監督の個性や素顔が垣間見える恒例の「監督トークバトル」が行われました。多くの「箱根駅伝」ファンが見守る中、前回大会上位5チームの監督たちが今大会にかける意気込みや、お互いの戦略を探り合うギリギリのトークを展開。大いに盛り上がりを見せたイベントの様子を、“駅女”として知られるイラストレーター・進藤やす子さんがレポートします!
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登壇したのは、東海大学の両角速監督、青山学院大学の原晋監督、東洋大学の酒井俊幸監督、駒澤大学の大八木弘明監督、帝京大学の中野孝行監督の5名。東海大学のエントリーは、チームの主力として注目を集めてきた4年生の關颯人選手(1年次の93回大会で花の2区)、中島怜利選手(前回大会まで3年連続6区に起用)がはずれるという意外なオーダーに。「応援してきた關選手がエントリーされなかったのは残念でしたが、出雲駅伝と全日本大学駅伝を故障で欠場していた主将の館澤亨次選手や鬼塚翔太選手、阪口竜平選手たちラストイヤーとなる黄金世代の4年生が8人もエントリーされていました。もう1チーム作れるんじゃないかというくらい、層の厚さは圧倒的です」(進藤さん)
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有力選手を擁していても、東海大学が掲げた目標は“往路3位以内・総合優勝”。「優勝争いはアンカーまでもつれ込む。それくらい戦国駅伝だと思います」と両角監督が語るなど、レベルの高さも目立つ今大会。青山学院大学“往路3位以内・総合優勝”、駒澤大学は“往路・総合共に3位以内”、帝京大学は「5位以内を狙い、隙があれば上位の一角を崩したい」と語るなど、お互いを牽制するような目標が目立ちました。

そんな中で会場の喝采を浴びていたのが、“往路1位・総合1位”を堂々と目標に掲げた東洋大学の酒井監督。「混戦が予想されていますが、1位を狙うくらいじゃないと戦えない。往路で主導権を握り、シンプルに挑んでいきたい」と熱く語っていたのが印象的でした。

駒澤大学の大八木監督を、いじり倒し⁉️ 実は仲良しの監督たち

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今回は、監督同士が質問をし合うコーナーも。駒澤大学の大八木監督からは「選手とのコミュニケーションの仕方は?」、東洋大学の酒井監督からは「選手に声をかけるときに最も使うキーワードは?」など、お互いの指導法についての質問が。
 
それぞれの監督が共同生活をする選手へ細やかな声かけを心がけていると語る中、大八木監督は「私はいつも寮にあるサウナの中で選手とコミュニケーションをとっています」と回答。すかさず青山学院大学の原監督から「サウナは説教部屋じゃないですよね?」と突っ込まれると、「私も選手との年齢差が開いてきたので、常に優しい言葉をかけていますよ」と答え、会場の笑いを誘う場面も。

今大会で「運営管理車からの声かけの参考にしたい」と言う酒井監督からの声かけのキーワードに関する質問に対しては、両角監督が「選手の夢を聞き出す」、原監督が「『時代を作るぞ!』など希望を与える言葉をかける」と回答。そして大八木監督が「選手の個性や気質を見ながら、終わったら『よくがんばったね』など優しい言葉をかけます」と答えると、にわかに会場がザワザワ。かつて大八木監督がよく運営管理車から選手たちに檄を飛ばしていた言葉としてファンに広く知られている「男だろ!」という名セリフを、他の監督たちから促されて再現する一幕もありました。
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「原監督が『大八木さんは美容院にどのくらいのペースで行っているんですか?』と質問するなど、あれだけキャリアのある名監督に対して、他の監督たちが愛あるいじりをしているのが印象的でした(笑)。どんなにいじられてもニコニコ顔の大八木監督の様子を見ていると、“往路・総合共に3位以内”という目標を掲げていながらも、優勝争いができる目処が立っているような自信を感じましたね。東京2020オリンピックのマラソン日本代表選考レース(MGC)で優勝したOBの中村匠吾選手の存在も、チームにいい影響を与えていると思います。久しぶりにすごい大物が出てきたなと思った、スーパールーキー田澤廉選手の活躍にも期待です」(進藤さん)
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駒澤大学・田澤廉選手 写真提供/月刊陸上競技

進藤さんが予想する優勝チーム。そして注目選手は?

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戦国駅伝と言われる今大会で、進藤さんが優勝候補筆頭として挙げるのが東海大学。「終始物静かな両角監督はなかなか心の内が垣間見えなかったのですが、黄金世代の主力が出場できなかった出雲駅伝や全日本大学駅伝でも活躍していたので、やっぱり選手層が厚い東海大学は盤石だと思います。前回大会でアンカーを任された郡司陽大選手が、今シーズンの全日本大学駅伝で区間賞の力走を見せるなど、それぞれの選手が自信をつけているはず」(進藤さん・以下同)

青山学院大学は、94回大会・95回大会と連続で5区を任された竹石尚人選手がエントリーからはずれる驚きの展開も。「もちろん竹石選手や、4年連続6区を走った山下りのスペシャリストでOBの小野田勇次選手が抜けたのは大きいと思いますが、原監督は山要員の目処が立っていると語っていたので、誰が起用されるのか気になります。今回掲げたスローガンは“やっぱり大作戦”。『やっぱり青山学院大学は強かったと言われる結果を残したい』と語っていましたし、戦力的にはエースの吉田圭太選手や1年生の岸本大紀選手がいるので大崩れはしなそうです」※吉田圭太選手の「吉」はつちよしが正式表記。
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そして進藤さんが一番注目しているのが、東洋大学のエースで、学生長距離界のエースでもある相澤晃選手の起用区間。「個人的には、相澤選手がいるうちに東洋大学の優勝が見てみたいんです! あれだけ安定感のあるエースって、最近はあまりいない気がするし、ファンとしては花の2区で快走する姿が見たい。ただ、トークバトルでは『(2年連続1区を任されている)西山(和弥選手)を復路に起用して、思い切って相澤を1区に持ってくるとか……』という発言が飛び出したのが気になっていて。酒井監督は奇襲をかける采配をする、なかなかなギャンブラーだと聞いたので(笑)、東洋大学の区間配置には注目しています。帝京大学はもちろん、今大会は國學院大學の往路優勝も期待されているので、まさにどこが優勝してもおかしくない戦国駅伝。本番が楽しみです!
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<プロフィール>
しんどう・やすこ●マラソン完走経験もあるアクティブなイラストレーター。MOREではこれまで9年にわたって「箱根駅伝」のガイドを担当し、毎年その魅力を熱く発信し続けている。選手たちの大学時代だけでなく、卒業後の活躍もウォッチするほど陸上競技への愛情も深く、そのマニアックな知識は駅女随一。
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「箱根駅伝」は、テレビ観戦で盛り上がろう!
サッポロビール新春スポーツスペシャル
『第96回東京箱根間往復大学駅伝競走』(日本テレビ)

■往路
1月2日(木)7:00~14:05(7:50~全国ネット)
■復路
1月3日(金)7:00~14:18(7:50~全国ネット)
*関連番組もチェック!
『箱根駅伝 絆の物語』
12月22日(日)13:45~14:40(日本テレビ)

4夜連続事前番組『夜な夜な箱根駅伝』
12月23日(月)~26日(木)各日24:54~25:04(日本テレビ)

『箱根駅伝 区間エントリー徹底分析SP』
12月30日(月)24:59~25:29(日本テレビ) 

『箱根駅伝 絆の物語&スタート直前生情報』
1月2日(木)5:50~6:45(日本テレビ)

『箱根駅伝 往路ダイジェスト&復路直前生情報』
1月3日(金)5:50~6:45(日本テレビ)

『続報!箱根駅伝』
1月3日(金)14:18~15:00(日本テレビ)

『もうひとつの箱根駅伝』
1月12日(日)13:15~14:30(日本テレビ)

※番組名、放送時間は予定です。
※番組は地域によって、放送日・放送時間が異なる場合があります。また、放送していない地域があります。
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取材・文/松山梢 撮影/富田恵