話題のステージの中から、キーワードに沿ったイチ押し舞台、そして2本のおすすめをご紹介します。

【今月のキーワード】この舞台、きっと伝説になる!

タイトルを見てハッとし、キャストを知ってワクワクし、スタッフの名をチェックして「絶対観なきゃ!」と焦りさえ覚える。製作が発表されてから注目を集めていた話題作の上演が、ついに近づいてきた。原作は、姿を消した妻を取り戻すために主人公が世界の悪と対峙していく村上春樹の小説。岡田トオルを演じるのは、演劇モンスターの異名を持つ歌も踊りも演技もバツグンの成河と、2018年に活動休止した「黒猫チェルシー」のヴォーカルとして知られ、俳優としても存在感を発揮している渡辺大知のふたり。死への興味を持つ女子高生・笠原メイには、舞台『わたしは真悟』や映画『さよならくちびる』などで透明感のある歌声を披露してきた門脇麦が扮する。そしていちばんのサプライズは『100万回生きたねこ』や『百鬼オペラ「羅生門」』などを手がけ、日本でも絶大な人気を誇るイスラエル人振付師インバル・ピントとアミール・クリガー、そして劇作家・藤田貴大が共同で演出すること。革新的な舞台を生み出してきた天才たちが壮大な原作の世界観をどう描くのか。もう、期待しか抱けない!

物語が完結する第3部が出版されるまで、なんと4年半の歳月が費やされた『ねじまき鳥クロニクル』は、村上春樹の8作目の長編小説。1980年代中頃の日本を舞台に、1939年の「ノモンハン事件」をはじめとした戦争を概念としての“悪”と位置づけ、失踪した妻を取り戻すために奔走しながら悪にも立ち向かっていく。そんな主人公のドラマティックな運命を描いている。妻の兄の国会議員や霊媒師など、個性あふれる脇役も魅力的!
成河、渡辺大知、門脇麦らが出演! 村上春の画像_1
【今月のイチ押し☆ステージ】『ねじまき鳥クロニクル』
岡田トオル(成河/渡辺大知)は、近所のあき地で女子高生の笠原メイ(門脇麦)と出会い、“ねじまき鳥さん”と呼ぶ彼女と不思議な絆で結ばれる。そんな中、妻クミコが忽然と姿を消し、トオルはクミコの兄ノボルから、妹と離婚するよう一方的に告げられてしまう。◆2/11〜3/1 東京芸術劇場プレイハウス(地方公演あり)●ホリプロチケットセンター ☎03・3490・4949
成河、渡辺大知、門脇麦らが出演! 村上春の画像_2
『ねじまき鳥クロニクル 第1部 泥棒かささぎ編』
無職の岡田トオルと雑誌編集者の妻クミコの平穏な結婚生活は、クミコが姿を消したことで一変。トオルは、妻の失踪に彼女の兄、綿谷ノボルが関係していることを突き止めていく。(新潮社 ¥630)

オススメステージは、『志の輔らくご PARCO劇場こけら落とし』と『ブロードウェイ・ミュージカル ドリームガールズ』。

成河、渡辺大知、門脇麦らが出演! 村上春の画像_3
『志の輔らくご PARCO劇場こけら落とし』
1996年から2016年までの20年間、旧PARCO劇場で毎年高座を務めてきた立川志の輔が、このたび新しく生まれ変わったPARCO劇場の幕開け公演“こけら落とし”の大役を務めることに。渋谷のど真ん中の劇場で、なかなかチケットが取れないことで知られる落語の名人の話芸を、生で堪能してみて! ◆1/24〜2/20 PARCO劇場 ●パルコステージ ☎03・3477・5858
成河、渡辺大知、門脇麦らが出演! 村上春の画像_4
『ブロードウェイ・ミュージカル ドリームガールズ』
ビヨンセが主演した映画版で知られる伝説的大ヒットミュージカルの来日公演。N.Y.でのオーディションで選ばれた才能あふれるキャストたちのダイナミックな歌声は必聴! 女性コーラスグループの栄光と友情を描いた物語から前向きなパワーをもらえるはず。◆1/29〜2/16 東急シアターオーブ ●Bunkamuraチケットセンター ☎03・3477・9999
ⓒTsuyoshi Toya
原文/松山 梢