お芝居を始めてから、いつかLGBTQを扱った作品に出たかった。

【宮沢氷魚さんインタビュー】男性同士の恋の画像_1
ドラマ『偽装不倫』で演じたカメラマン伴野丈役で、多くの注目を集めた宮沢さん。街で声をかけられるようになったものの、「僕自身は何も変化はないです」と平常心。「特別モテるようになったわけでもないですしね」と笑う。

「強いて言えばモテ期は大学1年生。アメリカの大学だったんですが、違う寮の子からもパーティーに誘われたりして。後から聞いたらファンクラブができていたらしいです。本当かどうかはわかりません」

俳優デビューからわずか2年で初主演を務めるのは、男性同士の恋を描いた『his』。ゲイであることを隠し田舎で暮らす井川迅を演じた。

「幼稚園からインターナショナルスクールに通っていたので、思春期の頃からゲイであることをオープンにしている友達も多くて。それが自然だと思っていたけど、いざ社会に出てみたら、友達が生きづらい環境にいることを知ってショックを受けたんです。この映画を監修してくださった弁護士の方からも、電車の中では同性カップルの隣に誰も座ってくれないことがあると聞いて。僕はクォーターなので、小さい頃に近所の小学生にからかわれてしんどいなあって思ったこともあったけど、比べものにならないと思いました」

だからこそ、お芝居を始めてからは、ひとりでも多くの人に知ってもらうために「いつかLGBTQを扱う作品に出たかった」と熱をこめる。

「撮影前には役づくりの糸口を見つけるためにゲイの友達と一緒に過ごしました。といっても、飲みにいったり恋バナを聞いたり、僕にとっては普通の日常だったんですけどね」

透き通るような美肌の持ち主で美容マニアでもある宮沢さん。自然豊かな岐阜県白川町で行われたロケにもお気に入りを持参した。

「疲れが肌に出てしまうのでフェイスマスクを持っていきました。あとはフェイシャルスプレー。お風呂上がり服を着る前にプシューッてするんです。その数秒が勝負ってよくいいますからね」

ちなみに劇中では、「誰かに会って影響を受けるのが人生の醍醐味」という金言が。宮沢さんが大きな影響を受けたのは両親だという。

「子供の頃からザ・ポリスを聴かされていたので、たまにカラオケで歌っても古すぎて誰も知らないっていう(笑)。映画だと、最近は『イエスタデイ』を2回観ました。よく父が車の中で『ザ・ビートルズ1』ってアルバムを聴いてたんです。自然と僕も、両親の好みに引き寄せられているかもしれないですね」


みやざわ・ひお●1994年4月24日生まれ、アメリカ出身。雑誌『MEN'S NON-NO』専属モデル。2017年にドラマ『コウノドリ』で俳優としても活動を開始し、ドラマ、映画、舞台で幅広く活躍。3月13日からは渡辺謙が主演する舞台『ピサロ』(PARCO劇場)に出演予定

『his』

【宮沢氷魚さんインタビュー】男性同士の恋の画像_2
田舎でひっそりと暮らしていた井川迅(宮沢)の前に、8年前に一方的に去っていった元恋人の日比野渚(藤原季節)が突然現れる。しかも彼は、6歳の娘を連れていた。●1/24〜新宿武蔵野館ほか全国公開
©2020映画「his」製作委員会
取材・原文/松山 梢 撮影/森脇裕介 ヘア&メイク/スガタクマ スタイリスト/秋山貴紀 ニット¥55000/アンシングス(ヘリル) パンツ¥36000/スタジオ ファブワーク(シュタイン)