恋に仕事……女子の悩みは酸いも甘いもかみ分けた男に聞け! 八嶋智人さんの2回目です。

【今回のお悩み】イヤなことを言われても顔に出さずついため込んでしまいます……

イヤミを言われたり、意地悪をされても表情には出さず、つい自分の中にため込んでしまいがちです。本当は、不快だと伝えたいけれど、その勇気もありません。どういうふうに気持ちをコントロールするといいのでしょうか? あるいは、どう伝えたらいいですか? (25歳・IT)
八嶋智人さんの、ネガティブな感情への対処の画像_1
自分の中にためられるって、すごく優秀な人だと思いますよ。その場の雰囲気を悪くすることもないわけでしょう? 忘れたり、上手に消化する方法がわからないだけですよね。

相手の言動の背景を具体的に想像してみる

僕自身はあまり人を嫌いにならないタイプですが、もし何かイヤなことを言われたら、相手の背景を具体的に想像します。家族はいるのかな、今日、ほかの何かがうまくいかなかったのかな……なんて想像すると、怒りが分散されて気が楽になるんです。

だから、同じ土俵に上がらず「こんなにイヤミなことを言うなんて、かわいそうな人だな」と思えば、何を言われてもすぐに忘れられますよ。

それから、僕は全員に対して「好き」という気持ちで仕事の現場に入ります。だって、嫌いな人と一緒にやりたくないもん(笑)。“好き”だからこそ相手をよく観察するし、気づけることも多いんですよね。「この人は、気の弱さを悟られないように強がっているだけなんだな」とか。それがわかると、逆にかわいく思えたりしてね。

現場では常に誰かと話しているせいか「ムードメーカー」なんて言われることもあるけど、人のためにやってるわけじゃないんです。僕が楽しく過ごせる条件として、みんなが楽しそうにしていることが重要なだけ。自分のエゴです。もちろん、そんな僕をうざがる人もいます。でも自分のためだから“ごめんなさいね”と思うしかない。

「言霊」という言葉があるように、話す時は嫌いな気持ちを抑えていても、絶対に伝わっちゃうじゃないですか。僕の経験上、自分が好意的に見ていると、相手もその空気を感じてイヤミが減るし、むしろいい面が見えてきたりするんです。

「言われなくてもわかっているんです」と思うかもしれない。でもね、本当にその人を見ていますか? 嫌いな人のメガネのフレームは何色ですか? そこまで見ていないでしょ?

何よりも強いのは争わない人だと思う

このご時世、自分の主張を通すために戦うような流れもあるけど、日本人のいいところって“丸く収める”能力だと思うんです。やり方によっては嫌われるかもしれないけど、争わないことは重要だと思うし、それができる人のほうが強いと思う。

だから、わざわざ「不快だ」と相手に伝えなくてもいいんじゃないでしょうか。怒りを分散したり、心のごみ箱に捨てることができればいいわけだから。「ごめんなさぁ〜い」ってバカなふりしたっていい。

イラッとしたら、いったんその場を離れるのも大事。これは僕も実践しています。リビングで妻に何か言われてカチンときたら、トイレへ行って、タオルを思いきりムギュゥゥゥッ! とねじって戻る。これで怒りの70%は軽減されます。僕は昔からやっていたけど、科学的にも実証されているんですよ。この間、テレビでそう言ってました(笑)。

大切なのは、自分がどういう状態でいたいのかということ。それを考えるには、心も体も健やかでないと難しい。だから、ほどよく食べて、たっぷり睡眠を取られたらいいんじゃないでしょうか。人生って、しょうがないことの連続だから。

【八嶋智人さんの回答】どんな自分でありたいか心身を整え、考えるべし

やしま・のりと●1970年9月27日生まれ、奈良県出身。1990年に劇団「カムカムミニキーナ」を主宰の松村武らと旗揚げ。以降、劇団の看板俳優としてはもちろん、映画やテレビドラマ、バラエティ番組やCMなど活躍は多岐にわたる。2月からは舞台『泣くロミオと怒るジュリエット』に出演


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取材・原文/国分美由紀 撮影/露木聡子 ヘア&メイク/藤原羊二(EFFECTOR)