12星座全体の運勢
「大きな物語に取り込まれていく」
山羊座(やぎ座)
今週のやぎ座のキーワードは、「縁の不思議」。

それが熊楠が27歳の時にロンドンで出会った真言僧の土宜法龍(ときほうりゅう)であり、彼は明治期における最も開明的な仏教学者にして、後に高野山管長も務めた大人物でした。
彼らは科学と宗教という立場や分野の違いも超え(ついでに歳も土宜が13歳年上)、じつに死が二人を分つまでの30年間にわたって膨大な量の書簡を定期的に送り合い、そのどれもが大論文のごとき長さと密度であったそうで、その様子について、熊楠はのちにこう書いています。
「小生は件の土岐師への状を認むる(したたむる)ためには、一状に昼夜兼ねて眠りを省き二週間もかかりしことあり。何を書いたか今は覚えねど、これがために自分の学問、灼然と上達しおり候」
熊楠は人智を超えた不思議や縁の論理についてこそ、いま学問をやる人は研究せねばならないとも手紙に書いていましたが、純粋な意味でのパートナーシップや何かに自分を全力でぶつけていくことがテーマとなっている今季のやぎ座にとって、彼らの姿を追うことは何よりの励みになるのではないでしょうか。
参考:中沢新一/編『南方マンダラ』(河出文庫)
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。