二階堂ふみが金魚に変貌!? みずみずしいの画像_1
昭和の文豪・室生犀星が金魚に自分の理想の女性像を投影した「蜜のあわれ」は、老作家と金魚の恋模様を会話だけで描いた幻想文学。言葉のみずみずしさや官能的な表現は、50年以上も前に発表されたとは思えないほど新鮮です。高校時代にこの小説と出会い、「映画化したい!」と熱望していた二階堂ふみの想いが実現し、今回『シャニダールの花』の石井岳龍監督により映画化されました。 人間の姿に変貌した金魚・赤子の存在がおじさんの妄想だと思うと、ちょっと変態チックでシュールな世界観ですが、老作家を演じた大杉蓮の枯れた佇まいが抜群に魅力的で、エロティックではあるけれどいやらしくないのがすごい。自分のことを「あたい」と呼ぶ赤子はわがまま盛りの幼い子供のようでもあり、時にドキッとするような色香をふりまく妖艶な娼婦のようでもある。その絶妙なバランスが、男性を惹きつける極意なのだと納得させられます。 とにかく本作のいちばんの見どころは、優雅な立ち居振る舞いや天真爛漫な小悪魔ぶり、尾びれが舞うようにゆれる深紅の衣装など、どこを切り取ってもチャーミングな二階堂ふみ演じる赤子。特に独特の言葉遣いが美しく、「言葉自体に意味を持つ“漢字”ではなく、意味を持たない“ひらがな”で台詞を発するように心がけた」そう。劇中で披露されるダンスの振り付けや、衣装にぽっくりを合わせるアイデアも本人のもの。原作ファンらしいこだわりが詰まった赤子のかわいさに、男性のみならず女子もメロメロにさせられるはず♡ (文/松山梢) ●4月1日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
映画『蜜のあわれ』公式サイト