12星座全体の運勢

「淀みや停滞を吹き流せ!」

いよいよ梅雨が明け、本格的な夏の到来に向け日に日に太陽がパワーを増していく二十四節気の「小暑(しょうしょ)」に入るのが7月7日。そして今回はその直前にあたる7月5日にやぎ座で満月を迎えていきます。テーマは「禊ぎと祓い」。

 すなわち、すでに時代遅れで何の支えにもなっていない空っぽの言説や価値観に絡まったままもがき続けるのか、それともまやかしやごまかしを切り捨てたところに今後の活動の土台や、大切にすべき礎(いしずえ)を見出していけるか。いずれかに分かれていくことになりそうです。

 かつて7月は、涼しい風が吹くのを待つことから「風待月」とも言われたそうですが、今回の満月前後にかけては、自分の内部や周囲に漂うよどみや停滞、行き詰まり感をどれだけ爽やかに吹き流していけるかが問われていくでしょう。

山羊座(やぎ座)

今期のやぎ座のキーワードは、「自己主張する美」。

山羊座のイラスト
美というものを論じようとすれば、日本ではどうしても調和や静謐さが称揚され、声高な自己主張や、奇抜さや外連味(おおげさなごまかし)のようなものは「邪道」で「正統でない」と考えられがちです。

しかし、例えば三島由紀夫は代表作である『金閣寺』の中で、「美というものは、そうだ、何と云ったらいいか、虫歯のようなものなんだ。それは舌にさわり、引っかかり、痛み、自分の存在を主張する」と書いています。

「虫歯」を比喩に、三島はここで周囲がどうしたって無視できないよう「自分の存在を主張する」というきわめて異例な美についての見解を説いている訳ですが、この「自己主張する美」というモデルは、どうしたって注目を集めやすくなっている今期のやぎ座の人たちにおいて大きな指針となっていくのではないでしょうか。

歴史的にも、日本社会では応仁の乱で京都の街が灰燼に帰す前は、絢爛たる極彩色の美が競われた訳で、何も「余白の美」や「自然体の美」だけが美ではない訳です。

体を震わせてでも一歩前に出ていく美や、即座に斬り返す美、ソリッドで的確な言葉選びで核心に迫っていく美というものがもっと肯定されてもいいし、自分の中にそうした美の姿かたちを積極的に認めてもいいはず。

今期のやぎ座はそうした自分自身の打ち出し方について、あらためて問われていくことになるでしょう。


出典:三島由紀夫『金閣寺』(新潮文庫)
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<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ