ひと口にコメディと言っても、底抜けに明るい作品からシニカルなものまでさまざま。そしてその表の笑いの裏には、必ずと言っていいほど人生の悲しみや痛みなどが描かれています。ぜひ、極上コメディで苦境を笑いに変えるたくましさと強さを感じてみて!

魅力的なヒロインに夢中になるはず!『マーベラス・ミセス・メイゼル』

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主人公は1958年のニューヨークに住むミリアム・“ミッジ”・メイゼル。高級マンションに住み、恵まれた生活をするまさにセレブです。ところが夫はビジネスのかたわらスタンダッップ・コメディアンになる夢が捨てきれずに舞台に立つのですが、才能は皆無。しかも夫が秘書と不倫関係にあったことが発覚し、ミッジは捨てられてしまうのです。自暴自棄になった彼女がワインをがぶ飲みして向かった先は、これまで夫が舞台に立ってきたカフェ。そこで自分の悲劇的な現実をぶちまけて大爆笑をさらったことから、期せずしてスタンダップ・コメディの業界に足を踏み入れていきます。世間知らずだったお嬢様が、思わぬ才能を発揮して独り立ちしていく姿は勇気をもらえるはず。50年代のメイクやファッションもキュートです。
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ティグ・ノタロをぜひ知ってほしい『ワン・ミシシッピ〜ママの生きた道、ワタシの生きる道〜〛

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スタンダップ・コメディアンとして活躍するティグ・ノタロが、自身の体験を元に描いた半自伝的ブラックコメディ。ティグは、2012年に乳がんを患っていることを公表し、闘病生活や乳房切除手術という話題をネタにしてきた人。今回のドラマでも身体的に様々なトラブルを抱える姿をリアルに演じながら、母親の突然の死をきっかけに故郷のミシシッピに戻った彼女が、継父との微妙な関係、母親の知られざる秘密など、これまで目を背けてきた現実と向き合う様子が描かれていきます。ドラマで起こることは決して明るい出来事ばかりではないけれど、常にローテンションなティグがシリアスな出来事をクスッと笑えるネタに変換していく姿はなんだかほっこり。困難を自分のペースでじっくり、ゆっくり、受け入れて人生をおかしむ姿勢は、見習いたいことがぎゅっと詰まっています。
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こんなヒーロー、ほかにない! 『The Tick/ティック〜運命のスーパーヒーロー』

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クモやアリ、コウモリなど、スーパーヒーローには虫や動物をモチーフにしたものが多いけれど、この作品のヒーローはなんとダニ! 平凡で内気な会計士のアーサーは、長らく死んだと思われていたスーパーヴィラン(最強の悪党)が生きているのではないかという疑問を持っていました。陰謀を暴くべく奮闘するアーサーの前に現れたのが、銃弾を跳ね返す強靭な肉体を持っているものの、頭の中は抜けている、真っ青なスーツに身を包んだティックと名乗る青いおじさん。戸惑うアーサーは、流れでなぜかタッグを組むことになってしまいます。王道のアメコミヒーローもいいけれど、ダサいコスチュームや抜けまくりの登場人物たちにニヤニヤさせられる、ゆるすぎるヒーローのドタバタの活躍を楽しんでみて。
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話題沸騰。本作にはまる人続出中!『ザ・ボーイズ』

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一風変わったヒーローものとして忘れてならないのがもう1本。普通の人間たちが世界を救う「ザ・ボーイズ」です。この物語の鍵は、ドラマに登場するスーパーヒーロー軍団“セブン”が、欲と名声に取り憑かれた腐敗したヒーローだということ。そんなセブンの一人に恋人を殺され、復讐に燃える青年のヒューイが、ザ・ボーイズというアンチヒーロー集団のリーダー、ビリーに会い仲間に加わったことから、特殊能力を持たない一般人とブラック企業のスーパーヒーローたちとの熾烈な戦いが繰り広げられます。とにかく清廉潔白に装っているヒーローたちが揃いも揃ってクズなのがおもしろい。能力も資金も何もかも劣っている一般人ヒーローたちは、果たして巨大な組織とどう戦うのか。ちなみにザ・ボーイズの一員となるミステリアスなキミコ役に、日本人女優の福原かれんが扮しているのも見どころです!
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まつやまこずえ●映画誌『ROADSHOW』の編集を経て、フリーライターに。現在は映画や演劇に関する記事を中心に、スポーツや美容、ライフスタイルに関する記事まで幅広く執筆。
取材・文/松山 梢