• 栗原 聡先生
    慶應義塾大学理工学部管理工学科教授。人工知能、ユビキタスコンピューティングなどの研究に従事。著書には、『AI兵器と未来社会 キラーロボットの正体』など多数 栗原 聡先生 慶應義塾大学理工学部管理工学科教授。人工知能、ユビキタスコンピューティングなどの研究に従事。著書には、『AI兵器と未来社会 キラーロボットの正体』など多数 「人工知能(AI)の得意分野は大きく分けてふたつ。『大量データの解析』と『平均的な判断・作業』です。定型的な事務作業をいかに正しく行うか、たとえばデータを入力するといったことや、より感覚的に言えば人間が『単調でつまらないな、面倒だな』と思いがちなことを得意としています。一方で、個性を出したり人の気持ちを汲み取ることが要求される仕事は苦手。そのため、共感力、感性、多様性、人間力、ネットワーク力などのスキルが、AIに取って代わられないための武器になるでしょう。そして、これらはまさにモア世代のみなさんこそ得意なことなのです! また、看護や福祉、保育、接客など、人と人との間で成り立っている仕事は、今のところAIに奪われにくいと言えます。近年、メディアで『AIに人の仕事が奪われる』とあおられていますが、むしろ、AIと共生していけばいいんです。AIが得意とする作業は積極的にAIにやってもらえばいい。それによって、人間は個性を磨く時間、好きなことにチャレンジする時間をつくればいいと思えば、ワクワクしませんか?」(栗原 聡先生、以下同)
  • AIに負けないために磨きたいスキルは、人間力も育む! 【1】 相手の気持ちに寄り添う共感力 「人間は社会性の生き物。みんなで社会を組み立てるからこそ、感情が生まれ、お互いの共感力が“人間らしさ”になります。職場などでの人間関係を面倒に感じる人もいるでしょう。しかし、人間関係を排除すればするほど、私たち人間のほうがAI化(無感情化)してしまう。そうすると、AIに負けてしまう可能性が高まります」 【2】 小さな変化に気づく感性 「たとえばコーヒーを注文した際、紙コップに『お疲れさま』というメッセージが書かれていたら、心が温かくなりますよね? その温かい感情の変化は、AIには生み出すことができません。相手を気遣って、寒い日は温かいお茶、暑い日は冷たいお茶を出したりするのも定型的な事務作業ではありません。感情を揺さぶる気配りが人間の強みです!」 【3】 柔軟に対応する多様性 「人は周りと同じ働き方や生き方ではなく、それぞれ“自分らしい選択”をすることができます。今、副業が当たり前の時代になっているようにやりたいことや興味もひとつじゃなくていいんです。AIが得意な定型的な仕事の代わりに、私たちは多様性を持つ働き方が求められていきます」