【二拠点生活のリアル】知りあいが誰もいない土地で、20代女子がコーヒースタンドのオーナーになるまで
MORE編集部
二拠点生活を楽しむ20代女性に二拠点ライフのリアルをインタビュー。今回は和歌山と横浜を行き来するReikaさんにお話を伺いました。
「Reikaにぴったりな街がある」という友人の言葉で飛行機を即手配
「手づくりパンを販売しながら日本をめぐっている友人から『Reikaにぴったりな街がある』と電話をもらったんです。まずは自分の目で確かめたくて、すぐに飛行機のチケットを取って旅行に行きました。その時に見た海に沈む夕日が本当にきれいで、『この景色が日常になったら、人生がより豊かになる!』と思ったことがきっかけです」
Reikaさんが和歌山県白浜町と横浜の二拠点生活を始めたのは26歳の時。もともと「旅をするように暮らしたい」という思いが強く、24歳の頃にも神戸のクリエイターオフィスと地元・埼玉との二拠点生活を1年半ほど経験したそう。
和歌山にてイベントに出店するReikaさん
「神戸と埼玉を行き来する中で『二拠点生活』という言葉を知りました。白浜を拠点に決めた理由は、海辺であること。私はフリーランスとして複数の仕事をしていて、どの仕事も好きなのでワークライフバランスを保つどころか、ワークライフ“カオス”になりがちで(笑)。せっかくなら都会とのギャップが大きい場所でワーケーションができたら、オンとオフもメリハリがついて一石二鳥じゃないかと思ったんです。もちろん電源やWi-Fiを使って仕事ができるカフェやコワーキングスペースがあるかどうかもチェックしました」
羽田空港からの直行便や白浜町と横浜を結ぶ夜行バスが出ていること、仕事でよく訪れる大阪行きの特急があることなど、アクセスの利便性も現実的な後押しになったと言います。白浜町での住まいは、旅行時に利用したゲストハウス兼シェアハウス。
和歌山・白浜のカフェにて
「賃貸でも横浜に比べたら家賃は安いし条件もすごくいいけど、私は仕事で東京や関西に行くことも多いので、ほとんどいない月でも家賃がかかるのは負担が大きいなと思って。最初に宿泊したゲストハウス兼シェアハウスは、利用した日数分だけ支払えばいいから生活コストも押さえられるし、何より人が集まるハブのような役割を持っているカフェでもあったので、地域の人とつながるきっかけも多いはず!と思って決めました。実際、町役場の方や住民の方たちと出会って街のことを教えていただき、一気に生活しやすくなりました」
海で夕日を眺めながら「自分はいい選択をした」と言い聞かせた日々
とはいえ縁もゆかりもない場所での生活。最初から順風満帆だったわけではありません。
「当初は白浜町での仕事もなければ、友達も知りあいもいない状態。引っ越してはみたものの、ちゃんと生活していけるのか、知らない街で飽きてしまわないか、いろんな不安がありました。毎月かかる最低限のコストを計算して、最初の3カ月ぐらいは自分の仕事と滞在先のカフェのアルバイトを並行していたのでハードでしたね。交通費も、コスパやベストな使い分け方を知るために、飛行機、夜行バス、新幹線、青春18きっぷ、特急…全部試しました。10時間かかる夜行バスがいちばんつらかったです(笑)」
知りあいや友達がひとりもいない日々に、寂しさや孤独を感じたことも。
「そういう時はひとりで海へ行って夕陽を眺めながら、『こんなに美しい景色を味わえるんだから、自分はいい選択をしたんだ』ってポジティブに考えるようにしていました。寂しすぎて、お世話になっているカフェで、『友達がいなさすぎるので誰か紹介してください』とお願いしたこともあります。ちょうどその頃、MORE WEB内のMORE JAPANで公開された私のブログ記事を街の人たちが読んでくれたのをきっかけに、声をかけられたり、つながりができたりするようになったんです」
コーヒースタンドで出会った仲間と一緒に
そしてなんと、MORE JAPANの記事をきっかけに空き家を紹介してもらえることになり、その建物でコーヒースタンド「VENCHI」の運営をスタート! 今では一緒に働くスタッフも増えてワークライフバランスもコントロールできるように。
「『今は仕事を頑張りたいから、東京で3日間がっつり作業しよう』とか『ちょっと疲れているから白浜に帰って海を見ながらのんびりしよう』とか、自分のコンディションを確認しながらベストな過ごし方を選べるようになったのは、自分にとって大きな変化だと思います。それから、意外だったのは白浜町にも私のような生活をしている20代〜30代の人が多かったこと。考え方や働き方に共感できる人たちと出会えたことで『ひとりじゃない』と思えました。私は運転免許を持っていないけれど、友達がたくさんできたおかげで移動する時は常に誰かの助手席に乗せてもらえるようになって。それがすごくありがたいし、感謝できるようになりました」
白浜でオープンしたコーヒースタンドの店先
地方にはいろんな“素材”がある。その豊かさに気づけた
白浜での生活を通じて、「地方」に対する認識も大きく変化したというReikaさん。
「二拠点生活を始めるまでは、『地方=何もない場所』っていう勝手なイメージがあったけれど、暮らしてみるときれいな海や新鮮な野菜があって、あたたかい人たちもいる。地方にはいろんな“素材”があって、実はすごく豊かなんだって気づくことができました。今は、一日の終わりに白浜の海でサンセットを眺めたり、友達とお酒を片手に散歩しながらきれいな星空を楽しんだりするひとときが至福の時間。二拠点生活って、旅行の延長にあるような気がするんですよね。だから、もし暮らしてみたい場所があるなら、旅行を兼ねてまず訪れてみるのがおすすめです」
美しい夕日とビールのセットで最高のチルタイム
二拠点生活の決め手となった白浜の海辺でなごむReikaさん