『なぜオ・スジェなのか』は辣腕女性弁護士と健気系年下男子とのラブロマンス【韓ドラオタクおすすめの1本】
過酷な境遇も、一途な愛も、全部吸い込んで前に進むヒロインがクール
韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する不定期連載コラムです。
今回は、成功のためには手段を選ばないエリート弁護士オ・スジェ(ソ・ヒョンジン)が、暗い過去を抱えたロースクール院生のコン・チャン(ファン・イニョプ)と出会い、人生を見つめ直していく……という『なぜオ・スジェなのか』のあらすじと見どころを紹介します。あらすじと見どころを紹介します。
『なぜオ・スジェなのか』
全32話
出演:ソ・ヒョンジン、ファン・イニョプ、ホ・ジュノ、ぺ・イニョクほか
©SBS @PLAN K Entertainment
あらすじ
韓国最大の法律事務所「TKローファーム」のオ・スジェ(ソ・ヒョンジン)は、手段を選ばない非情さで勝訴をもぎ取る凄腕弁護士。チェ・テグク会長(ホ・ジュノ)の右腕として、事務所のトップ就任も内定していたある日、国会議員による性的暴行事件を巡る醜聞に巻き込まれ、ロースクールの教授職に左遷されてしまう。スジェが教授として指導を担当するロースクールの学生たちの中には、10年前に弁護を担当したコン・チャン(ファン・イニョプ)や、チェ会長の息子であるユンサン(ペ・イニョク)が学んでいた。スジェと学生たちは性的暴行事件の真相解明へと乗り出すが……。複雑に絡み合う2人の過去と現在。企業売却、土地再開発を取り巻く、権力者たちの欲望と悪事。上へとのぼり詰めるため、スジェは何を捨て、何を得て、何を悟るのか。
ここが見どころ!
女性弁護士を描いた話題の朝ドラ『虎と翼』を観ていて、もう1回見たくなったのがこの作品。「この話を観たらやめよう」「次の回を観たら寝よう」というループに陥って(各話30分ほどなのがうらめしい)、リモコンのボタンを押す手が止まらず、イッキ観してしまいました!
『女神降臨』で大人気のファン・イニョプの熱烈な健気ワンコっぷり、そしてソ・ヒョンジンとホ・ジュノの演技対決(本作で2022年のSBS演技大賞、演技賞を受賞)があまりにも素晴らしかったので、ご紹介します。
理不尽と巨悪を相手に戦うヒロイン
国の支配までをも目論む権力者たちの果て無き欲望のために人生を狂わされた女性弁護士オ・スジェが、彼らを踏みにじるまでに上り詰めようとする姿を描いた、ミステリーあり、復讐あり、成長あり、ロマンスありのサスペンス。狡猾で貪欲な権力者たちと互角に渡り合うスジェが、強く美しくカッコいい!
勝利のために手段を選ばないスジェの辣腕ぶりは、第1話から堪能できます。
ある時は、依頼人の弁護のために、性的暴行被害者の素性を調べ上げて「ネットに公表されたら死にたくなるかも」と追い詰め、またある時は、自分を引きずり降ろそうとする同僚たち(しかも、全員男性)が数多く集まる会議室で「この中で私より収益をあげた人は? 私より裁判で勝った人は?」と啖呵を切る。
最初からギラッギラしているスジェの野心にドン引くでしょうが、回を追うごとに、彼女がなぜそういう人間になったのかが明らかになっていきます。
片親の貧困家庭で育った高卒のスジェ。死に物狂いで弁護士になるも、立ちはだかっていたのは、学歴・性・階級といった、本人の努力ではどうにもならない差別の高い壁。踏みつけられる日々の中、泥水で口を濯いでいたスジェは、その後泥水をがぶ飲みしながら、捨て駒にされるピンチを、自らの機智でチャンスに変え、のし上がることで自らの地位を築いていくのでした。
「見下ろしてやる! 一番上に立って、全部見下ろしてやるから!」と、全身全霊を込めたスジェ渾身のカウンターパンチが、男社会の巨大ローファームの闇を白日の下にさらしていきます。上り詰めるためには手段を選ばない彼女の賢さに感嘆し、ずる賢い権力者たちを鼻であしらう姿にほれぼれ。スジェの悲しい過去が明らかになってからは、その目的と復讐劇から目が離せなくなり……という、様々な感情がミルフィーユのように幾重にも折り重なるドラマがたまりません!
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不幸な事件に遭遇したスジェ。
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謀略によって重要参考人となったスジェは、警察に連行される。
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冤罪によって拘置されるが……。
クール・ビューティーなソ・ヒョンジン
“ラブコメの女神”の称号を持つソ・ヒョンジンは、どちらかと言えば、ほんわかした清純派のイメージ。しかし、本作ではラブコメでの愛らしい魅力を封印して、冷徹非情な弁護士を熱演。白い大型ベンツを悠々と転がし、狡猾なおじさまたちと堂々と渡り合う。危機的状況にあっても顔色ひとつ変えず、交渉を仕掛ける冷淡さと、ソ・ヒョンジンの淡々とした声が、スジェのイメージにぴったり。
また、スジェの衣装にも注目を。シャネル、ブルガリ、ルイ・ヴィトン、ルブタンなど、毎回、ハイ・ファッションで固めている姿はシックかつゴージャス! スタイル抜群のソ・ヒョンジンが、スジェの“戦闘服”を華麗に着こなし、その攻撃力を高めてくれています。
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オフィススタイルのお手本のようなスジェ。スタイルの良さが服の美しさを際立たせている。
知的な悪鬼、ホ・ジュノ降臨
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会長テグクと向き合うスジェ。この後、とんでもない事態に見舞われる。
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自分の右腕スジェに、釘を差すテグク。まるでハブとマングース……。
韓国ドラマを観ていると、悪役に対して「想像の斜め上を行くクズだなぁ」と思うことってありませんか? そんな気持ちいいくらいの悪役っぷりを見せてくれたのが、スジェが務めるローファームの会長チェ・テグク(ホ・ジュノ)。
登場シーンから既にラスボスの香りがプンプン。回を追うごとにマトリョーシカのように飛び出してくる悪事や罪にも、毎度びっくりさせられますが、身長が180cmもあるホ・ジュノの凄みある演技が相まって、スジェの次に印象に残るほどの存在感。
高級料亭で出された料理の魚の目玉を箸で執拗に突き刺したり、薬とエビスナックをむしゃむしゃと食べたあとに焼酎でイッキに煽ったり、息子たちを恫喝するシーンでは平手で“会心の一撃”を叩き出したり。ホ・ジュノの神経質そうなルックスと、大手ローファームの会長という知的悪役キャラとの相乗効果で爆上がりの恐怖度でした……。
コン・チャンの海よりも深い愛
ヒリヒリ、ハラハラする本作での心のオアシスは、『女神降臨』でのアウトローな役で注目されたファン・イニョプ。『アンナラスマナラ-魔法の旋律-』では一転、優等生を演じたけれど、本作では、スジェを支え続ける健気な年下男子コン・チャンを好演しています。
普通のロマンス作品なら、2人が出会って、誤解したり、衝突したり、わかりあったり、ぶつかりあったりをくり返してロマンスが進展していくもの。しかし、本作は最初からラブ度フルスロットル! チャンによるスジェへの一方的な片思い、それも“好き”をすっ飛ばしてのメモリ最大値の“愛”で始まります。
雨が降れば、自分の傘をスジェに差し出し、コップが割れる音が聞こえるとすぐに駆け、「危ないから」と言って彼女を抱き上げてデスクに座らせる。傷付いていれば、「良くないことばかり押し寄せてくるように感じる時があります。でも、少し待って、まわりを見渡すと、いいことがすぐ横にあったりします。出来事も、人も」と慰める。まさに天使!
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チャンのスタイル、良すぎません…?
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法服姿のチャン。凛々しい!
この揺るぎないスジェへの愛の始まりは、チャンが孤立無援の地獄にいた10年前、スジェだけが自分を信じてくれたことからでした。「(スジェの)“信じる”という言葉で息ができ、生きることができた。信じてくれる人がいたんだから、それで十分です」と、チャン。一心に愛し続ける彼の愛の深さよ……(号泣)。
2人のロマンス描写はあまり多くはないけれど、だからこそチャンの愛が、スジェの過酷な人生に与えられた、たったひとつの癒しであり救いのように思えるのでした。
いかがでしたか?
演技派俳優たちの鬼気迫る競演に、人気俳優ファン・イニョプの健気ワンコっぷりが光る本作。
「ラブストーリー、大好き!」と言う方には重めな内容でラブ不足かもしれませんが、ヒロインの生き様や筋の通し方に、きっと心を動かされるはず。
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『なぜオ・スジェなのか』
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発売元・レンタル販売元:PLAN K エンタテインメント
セル販売元:ハピネット・メディアマーケティング
Ⓒ SBS
Kカルチャー・旅・お酒・漫画・音楽・スポーツ観戦好きのライター。ドハマりしたK沼が旅沼に直結し、年間十数回は海外へ。マイブームは「海外の大衆食堂をめぐること」。2023年は釜山&ソウル(韓国)、バンコク&ブリーラム(タイ)、ホーチミン&ハノイ&ダラット(ベトナム)、コロンボ(スリランカ)、リヤド&ジェッダ(サウジアラビア)で食べまくりました。