チェ・ウシクとソン・ソックの神がかり的共演を見逃さないで!

韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する不定期連載コラムです。

今回は、チェ・ウシクソン・ソックのW主演クライムサスペンス『殺人者のパラドックス』のあらすじと見どころを紹介します。

殺人者のパラドックス バイト中のタン(チェ・ウシク)ソロカット

バイト中のタン(チェ・ウシク)。全身からにじみ出る、やる気のなさが自然!

殺人者のパラドックス
全8話
出演:チェ・ウシク、ソン・ソック、イ・ヒジュン、キム・ヨハンほか
Netflixシリーズ「殺人者のパラドックス」独占配信中

あらすじ

平凡な毎日に飽き飽きしている大学生のイ・タン(チェ・ウシク)。授業も真面目に受けず、ゲームに明け暮れ、コンビニのバイトも遅刻気味でやる気はない。ただなんとなく生きる毎日にうんざりしていたある日、タンは、ひょんなことから人を殺めてしまう。事件を担当していた刑事のチャン・ナンガム(ソン・ソック)は、被害者に関する驚くべき情報を得て……。

ここが見どころ

連日の猛暑、まいっちゃいますよね……。そんな時は、涼しいお部屋で韓国ドラマを視聴するのが一番!
今回紹介するクライムサスペンス『殺人者のパラドックス』は、全8話とコンパクトながらも、息を飲む展開の連続に、時間と暑さを忘れること請け合いの作品です。
本作はダブル主演。無気力な大学生から殺人者へと変貌を遂げるタンを演じたのは、米アカデミー賞で4冠に輝いた映画『パラサイト 半地下の家族』で、ソン・ガンホの息子役を演じた演技派俳優チェ・ウシクタンを追う刑事ナンガム役には『D.P. -脱走兵追跡官-』や『私の解放日誌』などで注目された遅咲きの個性派俳優ソン・ソックが。唯一無二の魅力を持つ俳優2人の演技対決の見どころに迫ります!
(ネタバレあります)

パッとしない大学生が、ある日突然、連続殺人犯に⁉

殺人者のパラドックス タン(写真奥。チェ・ウシク)と後ろ姿のナンガム(ソン・ソック)

タン(写真左)の元へ聞き込みにきた刑事ナンガム(ソン・ソック)。背中だけでデキる刑事ってわかる。

「こんなに冴えない主人公でいいのか」と思うほど、主人公の大学生タン(チェ・ウシク)は卑屈で無気力。そんなタンは、ある日男性に暴力を振るわれ、反撃したところうっかり殺してしまう。パニックになった後、深い罪悪感に苛まれるタンですが、幸か不幸か殺害した人物は凶悪な犯罪者でした。そんなことが何件か続いた後、タンは自分に悪人を見極める能力があると気付くのでした。そんな中、犯罪への嗅覚が鋭い刑事ナンガムに目を付けられ……。

驚くべきはタンの能力。彼が起こす殺人は、すべて証拠が消えてしまうんです。作品タイトルの“パラドックス(逆説)”が意味する通り、指紋を残しても、現場に凶器を置き忘れても、なんならタンが自首しようとしたって捕まらない。
恐るべきこのチート能力と無害そうな見た目が、次第に彼自身と周囲の者たちの運命を狂わせていきます。途中から登場する、タンのバディのノ・ビン(キム・ヨハン)と、猟奇的な元刑事ソン・チョン(イ・ヒジュン)、そして、ナンガムの運命は絡み合って、もつれ合って。特に中盤からは、まるでリュージュに乗せられたかのように、先が見えないまま最終回まで駆け抜ける! 見事に張られた伏線によって「え、そういうことだったの⁉」と納得できるので、最後の最後まで観てくださいね。

チェ・ウシクの変貌ぶりに注目!

殺人者のパラドックス 道端に倒れ込むタン

人生が変わった運命の日。ここからタンは殺人者として覚醒していく。

チェ・ウシクと言えば、穏やかで柔和なルックスの、おっとり天然キャラ。実際、あの“ウガウガファミリー”の中では、年上のパク・ソジュンにかわいがってもらうだけでなく、年下であるBTSのVにも世話を焼かれるほどの愛されっぷりです。
そんなチェ・ウシクが演じたタンは、崇高な正義感を持つわけもなく、殺人にエクスタシーを感じているわけでもない。ただ、痛いことや死ぬことを怖がる、頼りなげな今時の若者。なのに〝殺人に特化した”特殊能力を持っている……という複雑な役。
普段は覇気ゼロの青年が、人を殺める瞬間だけひょう変する演技と、コトを終えた後、精神的に追い詰められて真っ青になっていく演技の振り幅がすごすぎる!

しかも、回を重ねるたび、キャラクターの性格が変貌していきます。
殺人を犯した当初は恐れおののき、悔いてばかりいたタンは、次第に積極的に殺人を犯す人間へと変わっていく。そして、悪と善の境目にいるような矛盾したキャラクターを演じるチェ・ウシクの顔つきも、何かに取り憑かれたようになって、キリリと引き締まってくるんです。
観ていくとわかると思うのですが、序盤と中盤、そして終盤のタンは、まるで別人で震えます……。

殺人者のパラドックス シャワー室にいるタン

自分のしでかしたことに恐れ慄くタン。

全身で語る俳優ソン・ソックに注目!

殺人者のパラドックス ガム風船を膨らます刑事ナンガム(ソン・ソック)

ガム風船を膨らましながらタンに事情を聞く、刑事ナンガム。カッコいい♡

一方、そんなタンの前に現れるの刑事が、ソン・ソック演じるナンガムだ。ガタイが良くて、カンのいい、いかにも有能な刑事の役は彼にピッタリ。
最初は、一匹狼的な暴走系刑事だと思っていたのですが、アウトローどころか、警察という組織の一員として、人間味溢れる人柄がクローズアップされていきます。
執拗で高圧的な捜査の裏に秘められた苦悩。それも、目線や息づかいだけで、その辛さや苦しみを表現するソン・ソックの絶品演技に圧倒されます。クライマックスで、長年の呪縛から解き放たれ、新たな選択をするナンガムの変貌ぶりにもご注目を。
しかし、このナンガム、ワイルドなヒゲ姿で、たたずまいは大人の魅力たっぷりなのに、時折見せる笑顔はとってもキュート♡ このギャップは反則です!

殺人者のパラドックス 現場調査するナンガム

現場を調査するナンガム。何をしても、だだもれてくる色気。

  • 殺人者のパラドックス ひょっこりナンガム

    タンのバイト先に現れたナンガム。“ひょっこり”も素敵だなんて!

主演以外の演技もトラウマ級に素晴らしい!

実は主演の2人以外にも、物語を盛り立てる重要なキャラクターが。この人たちもとんでもなく演技が上手いんです!
先程もお話しましたが、中盤から登場するイ・ヒジュンが演じたソン・チョンと言う元刑事のキャラクターも強烈。“後半の裏主人公”といってもいいくらい、記憶に残るというか、トラウマになりそうな悪役で、終始ドン引き(ほめてます)。「罪悪感って知ってます?」と問いただしたくなるくらい、サクサクと人を殺していくチョンの狂気に戦慄。それなのに目が離せないというか、気が付いたら、チョンを目で追っている自分に、また戦慄……。

また、タンの相棒となる、“バットマン”オタク(役名もバットマンの相棒・ロビンにちなんだ名前)の、ノ・ビン役(キム・ヨハン)も重要人物。ビンは“本物のヒーローになりたかった男”なのですが、彼の生い立ちや、一貫した正義感からくる活躍(暗躍?)っぷりが、作品をよりドラマチックに仕上げています。
もし、ビンの存在がなければ、本作は「ドキッ! 殺人鬼だらけのパラドックス☆」になってしまい、視聴者の共感度はダダ下がりだったと思います。ナイス、ビン

ほかにも、殺される人物がほぼ犯罪者、それもクズ・オブ・クズばかりという設定だったり、「正義とは何ぞや」「断罪とは何ぞや」といった答えのない問いかけがあったり、殺人シーンで突然スローになったり。タンの見る悪夢の中で、殺した相手が突然踊り出したり、生首状態で語りかけてくるなど、不穏でシュールな幻覚の数々が、物語にスパイスを添えていて素晴らしいです♡

殺人者のパラドックス 銃を構えるナンガム

ナンガムが銃口を向けているのは誰なのか。本編でチェックを。

ちなみに、カナダ国籍を持つチェ・ウシクと、アメリカとカナダでの留学経験のあるソン・ソックは、ともに英語が堪能。
というわけで、2人が出演している本作の番組宣伝の英語版動画を見つけたので、お時間あればこちらもどうぞ♡ 韓国語で話すときより、2人の空気感がセクシーさが倍増。いい感じです!

作品概要

殺人者のパラドックス
全8話
Netflixシリーズ「殺人者のパラドックス」独占配信中

殺人者のパラドックス Netflix(ネットフリックス)公式サイト
ライター
中川薫

Kカルチャー・旅・お酒・漫画・音楽・スポーツ観戦好きのライター。ドハマりしたK沼が旅沼に直結し、年間十数回は海外へ。マイブームは「海外の大衆食堂をめぐること」。2023年は釜山&ソウル(韓国)、バンコク&ブリーラム(タイ)、ホーチミン&ハノイ&ダラット(ベトナム)、コロンボ(スリランカ)、リヤド&ジェッダ(サウジアラビア)で爆食。2024年はソウル、ソウル、台湾、ソウルへ。最近は念願の「漢江ラーメン」を食べました。漢江のたもとで食べるラーメンは、控えめに言って最高!