拳vs初恋⁉ 潜入捜査の中で絡み合うシンプルな緊張感と複雑なノワールロマンスに沼る『最悪の悪』【韓ドラオタクおすすめの1本】
拳vs初恋⁉ 潜入捜査の中で絡み合うシンプルな緊張感と複雑なノワールロマンスにハマる!
韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する不定期連載コラムです。今回は、複雑に絡み合う泥沼の人間模様を、極上イケメン&イケボでお送りするアクションノアールドラマ『最悪の悪』を紹介します。
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ギチョル(ウィ・ハジュン)とジュンモ(チ・チャンウク)による、素敵なガンのつけ合い(笑)。
『最悪の悪』
全12話
出演:チ・チャンウク、ウィ・ハジュン、イム・セミほか
ディズニープラス スターで全話独占配信中
© 2024 Disney and its related entities
あらすじ
1990年代、韓国の江南、中国、日本の麻薬密売トライアングルを捜査するために日韓合同捜査本部が設置された。刑事パク・ジュンモ(チ・チャンウク)は捜査本部の一員となり、昇進を狙って新興の麻薬組織に潜入捜査を決意する。一方、ジュンモの妻であり、麻薬保安官のユ・ウィジョン(イム・セミ)も、夫を助けるために同捜査に志願していた。ジュンモは、江南の元DJで現在は犯罪組織リーダーのチョン・ギチョル(ウィ・ハジュン)の信頼を得るため、彼の犯罪組織に順応していこうとするが、彼らは、やがてジュンモに疑いを持ち始め……。このゲームで最後に笑うのは誰なのか。最悪の悪は誰なのか?
ここが見どころ
すっかり秋ですね。気づけば上着なしでは外出できなくなるほど冷え込む時期に。そんな中、心が冷えていませんか? あたたかさ、足りていますか? そんな季節におすすめしたいのが今作。
チ・チャンウクとウィ・ハジュンという、イケメンでイケボなメンズたちが、ある日突然運命の歯車に巻き込まれて、自身の仲間や家族、そして大切な人と泥沼展開を余儀なくされる物語です。観るだけで、目頭と胸が熱くなりますよ!
1話目から、韓ドラ沼にドボン!
本作は、韓国ドラマによくある、「面白くなるまでが長い」がありません。第1話から惹きつけられ、「バレる? バレない?」「あの関係、どうなるの⁉」とハラハラドキドキしながら、最終回までノンストップ! ただ、本格的なアクションシーンが多く、目をそむけたくなるような場面もありますが、それらを中和するシーンもあるのでご安心ください。
なぜ序盤から引き込まれるのか。それは魅力的なキャラクターと説得力のあるストーリーにあるんです。
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潜入捜査官のジュンモ。
舞台は1995年の韓国。田舎町の刑事ジュンモ(チ・チャンウク)は、妻で麻薬保安官エースのウィジョン(イム・セミ)と違い、なかなか昇進できず、憂鬱な日々……。そんな時、麻薬密売組織を解体するための合同捜査に引き入れられることになります。彼の任務は、ソウルを牛耳る犯罪組織・江南連合への潜入捜査。ボスのギチョル(ウィ・ハジュン)に取り入り、仲間となったジュンモでしたが、ギチョルとウィジョンの過去を知ることによって、思いもよらない運命に巻き込まれていきます。
「罪を犯した人だけが悪?」
「人の心を利用した人も、悪ではないの?」
裏切り、信頼、愛、友情……。さまざまな思惑が渦巻く中、“最悪の悪”になるのは誰?
一瞬たりとも目が離せません!
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犯罪組織のトップ、ギチョル。
悪と正義の間で揺れるジュンモに釘付け
本作では、潜入捜査によって悪の世界に足を踏み入れたことで人生が変わっていくジュンモの葛藤と、彼を取り巻くギチョルとウィジョンの複雑な関係が、ドラマにより熱くしています。
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田舎町でくすぶっているときの刑事ジュンモ(チ・チャンウク)。
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潜入捜査を決意してからのジュンモ。気を張ってるのが伝わってきます……!
麻薬組織を潰す潜入捜査官パク・ジュンモを演じるのは、『ヒーラー~最高の恋人~』、『サムダルリへようこそ』など、数多くの人気ドラマの主演を務めてきたチ・チャンウク。今回は、爽やかな笑顔を封印して熱演しています。
ジュンモは、ソウルの警察官にはない泥臭さとクセの強さを持った男。悪党を捕まえるのではなく、悪党になりきる潜入捜査官として適役でしたが、少しでも疑われると、命を脅かされるという危険な任務。一度は潜入捜査の任務を断るも、妻に見合う自分になるため、命懸けの潜入捜査に挑みます。ギチョルや強者だらけの組員たちに対して、一歩も引かないジュンモの度胸と気迫と狂気に引き込まれます!
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血しぶきを浴びたジュンモ。その心は……
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どの回もジュンモが体を張っています!
組織トップにのし上がったカリスマDJ・ギチョルの秘めた思いに注目
一方、ジュンモが潜入する麻薬組織のリーダー・ギチョルを演じるのは、『イカゲーム』、『シスターズ』、『卒業』で脚光を浴びたウィ・ハジュン。
ケンカが強く、江南の悪ガキたちを率いるギチョルを、暴力団のトップが目をつけて利用するのですが、ギチョルは自らの野望を叶えるために下克上を起こします。自分を見下す者たちを片っ端からコテンパンにし、江南連合のトップへ。ギチョルは、ただケンカが強いのではありません。カリスマDJであり、仲間思いで人情深いリーダーであり、そして初恋の人を思い続けている、魅力的なワルなんです!
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ジュンモと相対しても、一歩も怯まないギチョル。
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多くの手下を引き連れて歩くギチョル。漂うオーラは、まさにカリスマボス。
キーマンは、過去と現在に翻弄されるジュンモ妻
ジュンモの妻・ウィジョンを演じるのは、『女神降臨』、『天気がよければ会いにゆきます』のイム・セミ。
ウィジョンは、エリート警察一家の娘というプレッシャーの中、ソウル警察庁の保安課に昇進した優秀な警察官。ウィジョンは夫を支える献身的な妻でしたが、夫婦生活は潜入捜査によって一変します。なんと、彼女はギチョルの初恋の人で……。ジュンモ、ギチョル、ウィジョンを巡る三角関係によって、潜入捜査には大波乱が!
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ウィジョン(イム・セミ)が選ぶのは、夫ジュンモなのか、ギチョルなのか……。
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ジュンモとウィジョン、寝室で語り合うの巻。
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ウィジョンに、何かを必死に訴えるギチョル。
“初恋ファースト”なウィ・ハジュンを見逃すことなかれ
ウィ・ハジュンのファンの方ならば、きっとこう言うに違いありません。
「こんな彼が見たかった!」と。
そうです、ギチョルの初恋の人=ウィジョンという本作での設定が、これでもかというくらいに、ウィ・ハジュンの魅力を引き出しているのです!
2人のなれそめは教会。礼拝に通う過程で恋心を募らせていったという初恋の王道です。
このパターン、教会で知り合った年上のメンズに年下ヒロインが恋することが多いのですが、今作では逆。
“教会でよくしてくれる(多分、よくおごってもくれたはず)お姉さん”パターンなのですよ!
ギチョルにとってのウィジョンは初恋の人であり、十代の時から顔見知りで何でも話せる唯一無二の人であり、堅気だった頃の自分が大切に胸にしまっていた、叶わなかった恋心を捧げる相手。「男の初恋は引きずる」と聞きますが、ギチョルも例に漏れず。江南を裏で取り仕切っている組織のトップなのに、このヌナに対しては、そのへんの高校生よりも「純情か!」とツッコみたくなるほどのピュアっぷりを見せてくれます(笑)。
その姿は、ワンコが飼い主にだけ、「好き好き大好き! ずっと好き!!!」と、目を輝かせてじゃれつきまくるそれ。観ている側は胸キュンが止まりません。
しかし、登場人物たちは違います。部下は目がハートになっているボスを見て「マジ⁉ 相手は警官だよ?」とドン引き(そりゃそうだ)。ジュンモはジュンモで「俺の妻をなんて目で見るんだ!」と、胸中では怒り心頭なのが、おもしろかったです。
また、「ヌナを好きだったあの頃に戻りたい純情ボーイなボス・ギチョル」と「ボスに認められたい潜入捜査中のジュンモ」の構図を作ることによって、潜入捜査ドラマに新しい風を吹かせているなあと思いました。
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ウィジョンの前では、従順なワンコのようになるギチョル。
ウィ・ハジュンと言えば、『卒業』で、高校の時に恋した恩師を同僚になった今でも想い続けるイ・ジュノを演じ、そのまっすぐな想いと屈託のないかわいい笑顔が年上女子の心をくすぐりましたが、『最悪の悪』のウィ・ハジュンも負けていません。むしろ、悪の親玉なのに、初恋の人の前では「ご主人様、大好き!」な大型犬に変身するウィ・ハジュンのギャップの破壊力は、劇中の乱闘シーンよりも印象的でした。
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ギチョル、感情ダダ漏れです!
最後に、もうひとつ。
中国の麻薬工場の重役、イ・ヘリョンというキャラクターがいるのですが、演じているのはキム・ヒョンソこと、歌手BIBI。彼女は、TWICEの『MORE & MORE』への作詞参加や『その年、私たちは』、『二十五、二十一』といった人気ドラマへのOST(オリジナルサウンドトラック)に参加するなど、韓国のエンタメシーンで活躍中。彼女が気になったら、楽曲やOSTもチェックしてみてくださいね。
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ジュンモに思いを寄せるイ・ヘリョンを演じたキム・ヒョンソこと、BIBI。素敵!
いろんな魅力がつまった『最悪の悪』。ぜひ、次の週末のお供にどうぞ。
作品概要
『最悪の悪』
全12話
ディズニープラス スターで全話独占配信中
© 2024 Disney and its related entities
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Kカルチャー・旅・お酒・漫画・音楽・スポーツ観戦好きのライター。ドハマりしたK沼が旅沼に直結し、年間十数回は海外へ。マイブームは「海外の大衆食堂をめぐること」。2023年は釜山&ソウル(韓国)、バンコク&ブリーラム(タイ)、ホーチミン&ハノイ&ダラット(ベトナム)、コロンボ(スリランカ)、リヤド&ジェッダ(サウジアラビア)で爆食。2024年はソウル、ソウル、台湾、ソウルへ。